階段の上り下り「楽ちん」 釜石市の公共施設3カ所 いす式昇降機設置
平田生活応援センターに設置されたいす式階段昇降機
釜石市平田町の平田地区生活応援センター(小笠原達也所長)はこのほど、施設を利用する高齢者らの利便性を確保しようと階段に昇降機を設置した。集会スペースとして活用される大会議室は施設の2階にあるが、エレベーターなどは設置されておらず、高齢で足腰が弱っている利用者らから不便さ解消を求める声が寄せられていた。
設置されたのは、いす式階段昇降機「楽ちん号」。既存の階段に取り付けたレールに沿っていすが昇降する構造で、高齢者らの移動をサポートする。いすに腰掛ける要領で座り、手元の操作ボタンで移動。使用しない時には折りたためるので、ほかの利用者らの邪魔にもならない。
折りたたみ式でコンパクト(写真左)。操作方法を教えてもらう高齢者(写真右)
独居老人らの支え合いサロン「平田はまなす」が開かれた12月某日、参加者に試乗してもらった。サロンは年10回開催されるが、歩行につえを使う90代の女性は、昇降機が設置されたことを聞いて半年以上ぶりに参加。階段を上るのが大変なうえ、下る際は後ろ向きで時間をかけていて、参加の足は遠のいていた。試し乗りした感想は「本当に楽ちん。幸せ。音も静か」。顔なじみの住民と会話を弾ませ、「これからは気軽に来ることができる。いっぱい交流を楽しみたい」とうれしそうに笑った。
階段がUの字型に折り返す部分もスムーズに移動し、ほかの高齢者も「思ったより揺れない。シートベルトもするし、安心」と高評価。昇降機には箱型のスイッチがコードで接続されていて介助者が移動をサポートすることもできる。
座った状態で階段の移動ができ、うれしそうな施設利用者
接続のスイッチで介助者が移動をサポートする方法も
小笠原所長は「階段を理由に利用を控えていた人も少なくなかった。昇降機の設置でより多くの住民にセンターを使ってもらいたい。高齢者らが少しでも外に出る機会が増えればうれしい」と見守る。
昇降機は市が宝くじ助成金を活用し整備。平田のほか、甲子地区生活応援センター(甲子町)と市立図書館(小佐野町)にも設置した。
釜石新聞NewS
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