震災十三回忌前に 毛越寺(平泉)の僧侶ら 釜石・鵜住居観音堂で「復光」祈り法要


2022/12/09
釜石新聞NewS #地域 #防災・安全

震災の犠牲者供養と被災地復興を願って手を合わせる人たち

震災の犠牲者供養と被災地復興を願って手を合わせる人たち

  
 東日本大震災から来年で十三回忌を迎えるのを前に、釜石市鵜住居町の「鵜住居観音堂」で11月30日、犠牲者供養と復興を祈る法要が営まれた。観音堂再建の歩みを知る平泉町・毛越寺の藤里明久貫主(72)が協力。「復興は進んでも心の中には震災の爪痕が残っていると思う。観音堂が気持ちの落ち着く場所になってほしい」と願いを込めた。
   
 同寺の従業員研修旅行の一環。震災後、毎年3月11日に平泉でも震災物故者の法要を行っており、被災地の現状に理解を深め、「忘れない」「伝える」との思いを共有して、その日を迎えようと、約20人が来釜した。
  
藤里貫主(手前)の話に耳を傾ける毛越寺の従業員ら

藤里貫主(手前)の話に耳を傾ける毛越寺の従業員ら

  
 観音堂は震災の津波で流失。本尊「十一面観音立像」(県指定文化財)は破損したものの流失を免れ、故大矢邦宣さん(震災当時、盛岡大教授)らが見つけて修復した。修復作業の間、本尊の代わりに地域を見守ってもらおうと模刻「身代わり観音像」も制作。本尊とともに今年3月に再建された観音堂に安置する。
   
 大矢さんの遺志を継ぎ、被災地に心を寄せてきた藤里貫主が、その歩みを従業員らに紹介。「光が差し込んで、心豊かに暮らせるよう『復光』を願う」と、身代わり観音像を前に般若心経を唱え、従業員らが手を合わせた。
  
震災十三回忌を前に鵜住居観音堂で営まれた法要

震災十三回忌を前に鵜住居観音堂で営まれた法要

  
 地域住民も足を運び、思いをはせる機会にした。齋藤清子さん(78)は「もうすぐ12年。あっという間、早いね。観音堂は気持ちのよりどころ。子どもたちの声が聞こえるまちになってほしい」と目を細めた。
  
 観音堂を管理する別当の小山士(つかさ)さん(79)は「毛越寺からは毎年のように法要に来ていただきありがたい。先祖代々、500年守ってきた観音様をしっかりお守りしていかなければ」と言葉をかみしめた。
  
研修旅行で来釜した毛越寺の従業員、出迎えた鵜住居町の住民

研修旅行で来釜した毛越寺の従業員、出迎えた鵜住居町の住民

  
 「3月11日に平泉を訪れる方々にも被災地を忘れず、思いを寄せてもらいたい。そのためにもわれわれが現状を知り、伝える役目を果たしたい」と藤里貫主。一行は、陸前高田市の高田松原津波復興記念公園や宮城県南三陸町なども訪ねた。

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