根浜海岸を彩る紅紫の大輪 震災津波に耐えた「ハマナス」今年も開花!


2022/05/25
釜石新聞NewS #地域

震災津波を乗り越え、毎年花を咲かせる根浜のハマナス=21日撮影

震災津波を乗り越え、毎年花を咲かせる根浜のハマナス=21日撮影

 
 釜石市鵜住居町、根浜海岸の松林の一角に自生する「ハマナス」が今年も咲き始めた。2011年の東日本大震災で津波に襲われながらも奇跡的に生き残った地域の宝。紫がかった濃いピンク色の花が海辺風景に彩りを添える。花は6月上旬ごろまで楽しめそうだ。
 
 震災前、ハマナスやハマボウフウなどの海浜植物が自生し、美しい景観を広げていた同海岸。津波で約1・3キロの砂浜の半分以上が流失し、多くの植物が姿を消したが、防潮堤内側の松林では生き残ったハマナスが、毎年花を咲かせている。今年も1週間ほど前から咲き始め、通行するドライバーや防潮堤を散歩する人たちの目を楽しませている。
 
日当たりのいい場所で元気に育つハマナス。周辺には震災後に植樹されたマツの苗木も育つ

日当たりのいい場所で元気に育つハマナス。周辺には震災後に植樹されたマツの苗木も育つ

 
ハマナスはバラ科の落葉低木。香りの良い花は香水の原料にも

ハマナスはバラ科の落葉低木。香りの良い花は香水の原料にも

 
ハマナス
 
 地元の旅館「宝来館」の女将(おかみ)岩崎昭子さんは、震災から約2カ月後に津波で倒されながらも芽吹き始めたハマナスを発見。必死に生きようとする姿に被災した自身も大きな力をもらった。当初、確認できたのは5~6株程度だったが、がれきの撤去が進み、周辺の緑が増えてきた2年目以降、群生が分かるようになってきたという。
 
 「根浜の原風景を取り戻したい」と願う地元住民らの思いを受け、市内外の支援者も再生活動に協力。北海道の支援団体などが根浜のハマナスから取った種を地元で育成し、苗を根浜に戻す取り組みを進め、群生範囲は徐々に拡大してきた。
 
青い海、白い砂浜、新緑に映えるハマナスの花

青い海、白い砂浜、新緑に映えるハマナスの花

 
赤く膨らんだつぼみもこれから次々に咲き出す

赤く膨らんだつぼみもこれから次々に咲き出す 

 
 岩崎さんら地元有志は昨春、根浜ハマナスプロジェクト実行委を立ち上げ、市民と共に進める再生活動を本格化。2年目の今年もすでに種まきや苗木の植樹が行われ、多くの人たちがハマナスへの関心を高めている。
 
4月16日に行われた種まきイベントで笑顔を輝かせる岩崎昭子さん(前列左から2人目)

4月16日に行われた種まきイベントで笑顔を輝かせる岩崎昭子さん(前列左から2人目)

 
 プロジェクトの代表を務める岩崎さんは、18年から地元由来の海浜植物再生に学校ぐるみで取り組む釜石東中の生徒らにも元気をもらう。「きれいな鵜住居を未来につないでいきたいと願う子どもたちに私たちも励まされる。みんなで思いを共有しながら、また一歩一歩、魅力的な古里を作り上げていければ」と期待を込める。

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