すこぶる元気、佐藤敏子さん(釜石・野田町)100歳 「好きなことをやってきた」


2022/05/23
釜石新聞NewS #地域 #福祉

100歳の佐藤敏子さん(前列中)、長寿を喜ぶ親族ら

100歳の佐藤敏子さん(前列中)、長寿を喜ぶ親族ら

 
 釜石市野田町の佐藤敏子さんが20日、100歳の誕生日を迎え、市から特別敬老祝い金5万円と記念品の羽毛肌掛け布団、野田武則市長が筆をとった「寿」の額入り祝い状が贈られた。自宅では実妹や親族らが集まって、「ますます元気に」と佐藤さんの長寿を祝った。
 
 市保健福祉部の小笠原勝弘部長が佐藤さん宅を訪問。祝い金などを受け取った佐藤さんは「わざわざ来てもらって、申し訳ない気持ち。(親族や地域住民ら)みんなに世話になり、いたわられて、ここまできた。この年で祝ってもらうなんて、本当は恥ずかしい」とはにかんだ。
 
小笠原部長から祝い金などを受け取った佐藤さん(右)

小笠原部長から祝い金などを受け取った佐藤さん(右)

 
 佐藤さんは1922(大正11)年に東京で生まれ、2歳頃に父親の仕事の関係で釜石に移り住んだ。20歳で小学校教員となり、釜石や大槌の学校で60歳まで働いた。教員生活を始めた頃は太平洋戦争中で、初任地中妻小に勤務していた45(昭和20)年4月、児童が遠野市に集団疎開することになり引率。同年9月に戻ったため、米英連合軍による2度の艦砲射撃を実際には経験していないが、変わり果てたまちの様子に心を痛めたという。
 
 退職後はボランティア活動に励み、障害者施設などで洗濯物をたたんだり、布巾づくりに取り組んだ。ものづくりが好きで木目込み人形、ステンドグラス、墨絵など習い事に熱中。通信教育で習字や色鉛筆画などにも挑戦した。新型コロナウイルス禍で外出の機会は減っているが、現在もコーラスに行ったりと、「好きなことをやる」という充実した日々を過ごす。
 
祝いに訪れた人たちを見送ろうと外に出る佐藤さん

祝いに訪れた人たちを見送ろうと外に出る佐藤さん

 
 旅行も好きな佐藤さん。沖縄以外の日本各地を巡ったという。93歳の時には、教え子たちに招待され東京で行われた同窓会に参加。年賀状のやり取りも続いていて、「いい生徒、仲間に恵まれ、素晴らしい教員生活を送ることができた。本当にいい思い出」と穏やかな笑みを浮かべた。
 
 佐藤さんは「コロナさえなければ、みんなで旅行したいね」と、すこぶる元気。自力で歩き、家事のほとんどを自分でこなす。妹の井上市子さん(83)、中島澄子さん(81)=ともに小川町=は買い物などをサポートしていて、「元気で頭のいい姉。何でも自分でやるのがすごい。好きなことを好きなように楽しんでいるのがいいんだろうね。まだまだ頑張って」と寄り添う。
 
 釜石市の高齢化率(65歳以上)は4月末現在で40・3%。100歳以上は佐藤さんを含め29人(男性1人、女性28人)おり、最高齢は106歳の女性。

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