被害拡大の「磯焼け」 県沿岸部の漁業者、研修会で藻場再生の対策学ぶ


2022/02/04
釜石新聞NewS #産業・経済

磯焼け対策の研修会。藻場再生の手法を探った

磯焼け対策の研修会。藻場再生の手法を探った

 

 県沿岸部では近年、藻場が減る「磯焼け」を背景に、海藻を餌とする貝類の資源不足が課題となっている。藻場の回復に向けては水産業関係者が一丸となった取り組みが必要で、県沿岸広域振興局水産部などは1月27日に大槌町文化交流センター「おしゃっち」で磯焼け対策の研修会を開催。洋野町から陸前高田市までの自治体や漁協の職員、漁業者ら約50人が効果的な対策を探るため三陸沿岸の状況や藻場再生の動きなどに理解を深めた。

 

 水産研究・教育機構水産資源研究所水産資源研究センター沿岸生態系寒流域グループの高見秀輝グループ長は「三陸沿岸の磯焼けがエゾアワビに及ぼす影響」と題して講演した。冬場の海水温が高いためにアワビなどの餌となるマコンブが育たないうえ、ウニの摂食活動も活発になり磯焼けが生じていることを説明。「マコンブが発芽、成長する冬場の管理が重要だ。藻場の再生を促すためにはウニを1平方メートル当たり1個程度に管理。ウニの密度を低くする必要がある」と指摘した。

 

 県水産技術センター増養殖部の及川仁技師は、磯焼け状態の漁場にコンブ科の海藻スジメを人工的に投入した実証試験の結果を紹介。「スジメの設置によりワカメが育ち、ウニの生殖巣重量も増加。対策の有効性が示された」と強調した。

 

専門家の話に真剣な表情で聞き入る漁業者ら

専門家の話に真剣な表情で聞き入る漁業者ら

 

 漁業関係者や行政機関などが構成員となり本年度設立した大槌町藻場再生協議会は船越湾・大槌湾における藻場のモニタリングと再生活動の取り組みを説明。近年問題になっているホタテガイの大量へい死について、沿岸振興局水産部が2019年度から継続する調査結果の報告もあった。

 

 釜石湾漁協に所属する男性漁師は「釜石の海も磯焼けが深刻。広範囲で対策を講じるのは難しく、自然任せの状態。研修会の学びを参考に、漁場を守るためにできることを検討したい」と話した。

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