ふるさと釜石での演奏に大きな喜び 高橋碧伊さんピアノリサイタル


2021/11/03
釜石新聞NewS #文化・教育

高橋碧伊さんによるピアノリサイタル=TETTO

高橋碧伊さんによるピアノリサイタル=TETTO

 

 釜石市出身のピアニスト高橋碧伊さんのリサイタルが10月24日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。フランス留学を経て、東京を拠点に演奏活動を続ける高橋さん。今回は、同ホールの自主事業、釜石・大槌ゆかりの演奏家による「地域アーティストコンサート」シリーズの第1弾に招かれた。市内外から約150人が鑑賞。高橋さんの思いがこもった曲の数々を素晴らしい演奏技術と共に堪能した。

 

 プログラムは、ライフワークにしているフランス音楽を中心に組んだ。クープラン(フランス)のチェンバロ(鍵盤楽器)曲「シテール島の鐘」で幕開け。シューマン(ドイツ)の「子供の情景」は、高橋さんが生まれた時に父親が枕元で聞かせてくれていた曲。現在、自身も2人の愛娘(1歳、5歳)の育児真っ最中で、親としての思いを重ねながら演奏した。

 

留学などで培った技、表現力で観客を魅了。音の響きの良いホールで最高の演奏を届けた

留学などで培った技、表現力で観客を魅了。音の響きの良いホールで最高の演奏を届けた

 

 後半はフランスの作曲家ドビュッシー、プーランク、ラベルの作品を集めた。プーランクは15の即興曲集から、有名な「エディット・ピアフを讃えて」など6曲を披露。ラベルの「ラ・バルス」は19世紀の華やかな舞踏会に思いを巡らせた曲で、ワルツの高揚感や優雅さをピアノの調べで届けた。

 

衣装を替え、フランスの作曲家の曲を奏でた後半

衣装を替え、フランスの作曲家の曲を奏でた後半

 

 ピアノを習って3年という高橋杏奈さん(小佐野小5年)は「強弱の付け方や滑らかな演奏がすごかった。迫力があって憧れる」と刺激を受けた様子。奥州市から駆け付けた千田陽子さん(53)は「感動しました。碧伊さんとは親戚関係。活躍はうれしいし、さらに有名になってほしい」とエールを送った。

 

 高橋さんは1986年生まれ。小佐野小・中、釜石南高から桐朋学園大音楽学部に進んだ。卒業後渡仏し、オルネー・スー・ボア音楽院、パリ地方音楽院最高課程で学び、優秀な成績を修めた。2013年に帰国後は東京を拠点に活動。歌曲伴奏や室内楽奏者として活躍するほか、ピアノ教室を開き、後進の指導にも力を入れる。

 

演奏後、観客の拍手に笑顔で応える高橋碧伊さん

演奏後、観客の拍手に笑顔で応える高橋碧伊さん

 

 釜石でのリサイタルは、15年に平田の古民家で行って以来6年ぶり。震災後に新設された市民ホールでは初めての演奏会となった。「子どものころからお世話になってきた方々も多くみえられ、家族的な雰囲気の中で演奏できた。感謝と幸福感でいっぱい」と高橋さん。

 

 自身にとっても久しぶりのリサイタル。2人の幼子の世話をしながらの準備は大変だったというが、「母親になって曲への思いや音楽に関して深まる部分があったり、新たな発見が多い。抱っこで筋力が鍛えられ、演奏時の体の使い方にも変化が」と思わぬ深化を口にする。今後、挑戦したいこととして「子ども向けのコンサート」を挙げ、「ぜひ、このTETTOでもやってみたい」とふるさと愛をにじませた。

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