地域医療を守る 釜石地域母親大会 改善を目指す行動への思い共有
地域医療をテーマにした釜石地区母親大会
釜石市、大槌町の母親や女性が集い、平和や教育、生活について考える釜石地域母親大会(同実行委員会主催)が11日、釜石市中妻町の昭和園クラブハウスで開かれた。67回目となる大会には約20人が参加。県立釜石病院が循環器内科診療体制の縮小や産婦人科の分娩休止という問題で揺れる中、「地域に信頼される充実・安心の医療を」をテーマに命と暮らしを守る行動について意見を交わした。
地域医療を守る会幹事の岩鼻美奈子さん(69)が県立釜石病院の病床数、患者数、医師数の変遷、病院の機能低下により住民が受ける影響などを解説。人口減少でも住みたい街、安心して暮らせる街を目指すため、「社会の仕組みと現実の動きを知り、改善を目指して発信し、行動する必要がある。主体は自分として市、町政に積極的に関わっていこう」と呼び掛けた。
参加者は住民の安心を守る地域医療について意見を交わした
実行委員長で県立釜石病院の助産師森優子さん(45)=県医労釜石病院支部長=は同会が行った署名活動、市や県への要請活動について報告した。医師確保の難しさから昨年10月に休止された循環器内科の入院受け入れ、今年3月の分娩休止の方針発表を受け始めた署名活動では約1万6000筆を集め、6月に県議会に請願書を提出。病院関係者との懇談や県議との意見交換を重ねてきたが、8月に「特定の地域の問題での請願では不採択になる可能性がある」と返答があったという。「市民に大きく影響が出る問題なのに」とやるせなさを覚えたというが、「医療機能の低下は私たちの命、生活に直結する。住民や現場の声を聞いて考えるべき」と語気を強めた。
報告などを受けた意見交換で、参加者からは「政策は男の人たちが考えている。簡単に決められるのは困る」「本来、病院は命を助けるところ。助かる命も助からない方向に行っているのでは」と懸念の声が聞かれた。「働いている世代も問題意識はあるが、行動しづらい」「地域の現状に目を向け、当事者意識を持ち、万一に備えて考えなければいけない」という指摘もあった。
森さんは「皆さんの声を聞き、安心して子どもを生み育てられるため取り組む運動の力にしたい」と気分を一新。大会開催をばねに地域医療を守る活動が広がることを期待する。
釜石新聞NewS
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