多彩な創作活動 個性輝く 釜石の美術集団サムディ45 節目の60回記念展

個性豊かな作品で来場者を楽しませた「サムディ45」の60回記念展=6月20日
釜石市の美術集団「サムディ45」(大野晃平代表)による60回記念展は19日から21日まで、同市大町の市民ホールTETTOで開かれた。市内外の風景や独自の世界観を表現した日本画、洋画、デザイン、切り絵、工芸など幅広いジャンルの作品がずらりと並んだ。その数、150点余り。テーマを決めた企画展示という新たな試みもあり、変化を楽しむ会員たちの熱量が感じられた。
同集団は1967年に結成。メンバーが最初に集まったのが土曜日だったことからフランス語の土曜日「サムディ」と、沿岸の美術愛好家をつなぐ意味で国道45号にちなんだ名称にしたのだとか。創作分野の垣根を超え、個々に活動する表現者たちが参加しているのが特徴だ。現在の会員は20代から80代まで約20人で、年代の幅も広い。県内外の公募展などに出品し入賞入選したり、それぞれが活躍中。そうした中でも作品を持ち寄って展示会を毎年開催しており、節目の60回を迎えた。

60回目の展示会を開いたサムディ45のメンバー。笑顔“輝く”

イカ釣り船や漁港の風景など身近な景色を描いた作品が並んだ
今回は15人が出品。県内外の自然風景、四季折々の植物、沿線を走るSL銀河の雄姿などを描いた水彩画や油彩画のほか、繊細な切り絵、フェルトで作った小物作品、コンピューターグラフィックス(CG)といったデジタル技術を駆使して身近な日常や想像の世界をカラフルにポップに表現したイラスト画など、個性あふれる力作がそろった。

絵画、イラスト、銅版、彫金などジャンルは多彩。画材もさまざま

ずらりと並んだデジタルアート作品に来場者は興味津々
若手会員の発案で、ある画題にちなんだ作品を集めた企画展示コーナーが初めて設けられた。初回のテーマは「釜石の風景」。ショッピングセンターを中心にした街並み、春の漁港、甲子川の夕景、曳(ひ)き船や虎舞といった祭りの様子など9点(7人が出展)を紹介した。会場には、共に腕を磨いた故鈴木睦さん、故菅野幸夫さんの遺作計4点も掲示。どれも会員が所有する作品で、筆致や色づかいの味わい深さを懐かしむ人たちの姿が見られた。

「釜石の風景」をテーマにした作品を集めた展示コーナー

緻密な技で仕上げられた切り絵作品。体験コーナーもお目見え

フェルトを使った作品に見入る来場者。プレゼントも用意
来場した人に喜んでもらおうと、ガラスタイルなど多彩なバーツを使ったデコ写真立てや、花をあしらったちぎり絵のしおりなどのプレゼントを用意するメンバーも。気に入った1点を手に取った人たちは作品との出合いを楽しみ、嬉しそうに持ち帰った。
4月に入会したばかりの木村房子さん(79)は、植物を題材にしたちぎり絵や鳥をモチーフにした木彫りの置物などを多数持ち込んだ。好きな手仕事を独自に続けてきたが、一堂に紹介するのは初めて。「作品を見てもらえてうれしい」と感激した。「きれいだね」との言葉、ものづくりに興味を示してくれる様子をじかに感じられたのも収穫。何かを作り出す楽しさに触れた人たちに「一緒にやりましょう」と声をかけていた。

ちぎり絵の作品は柔らかなぬくもりを感じさせ女性に人気

簡潔なイラストと文言で訴えかける小田島凌一さんの作品
結成当初から在籍している小田島凌一さんは「よく続いてきたな。みんなの協力があってのこと」と感慨深げに会場を見渡した。出展数の多さに驚いたのに加え、さまざまな刺激を受けてか作風が変わった人がいれば、これまでの活動にさらに力を入れ完成度を高めた人もいて、「みんなの頑張りが見える」と会員それぞれの成長、発展に頼もしさを感じている様子だった。
この集団は、当初4人でスタート。今なお精力的に作品を創り出し続けているのは小田島さんだけ。今年出せなかった年賀状や、もう破ることができないはずであろう「ギネス世界記録」として登録されている世界一短い手紙を題材にしたデザイン画など6点(うち4点が新作)を並べた。中東情勢を踏まえ「WARやめろ」と訴える作品も。展示会の看板制作も変わらず担当し、まもなく87歳になろうとも意欲は衰え知らずだ。

人が集う一角に展示された大野晃平代表の作品「安養寺」
それに負けず意欲的な大野代表(51)は、50点以上を公開。最新作は大船渡市の安養寺をモチーフにしたデジタルイラストで、檀家や地域との距離感の近さを表現したアットホームな雰囲気に心が和む一作だ。仕事として受けたもので、制作するうえで関係者からヒアリング。そして絵をイメージした後に“忘れる”という作業を幾度か繰り返して仕上げたという。
代表を担い3年目にして、今年から事務局業務も若手が引き継いだ。大野代表は「新生サムディの初めての展示会で、準備にバタバタ…何とか形になった」と息を吐いた。「新しい風を」と考えてはいるが、行動に移すには課題も多いと認識。作品を見てもらうことで会員が創作への意欲を高める機会にする一方、「仕事につながるきっかけに」と望む声もあり、調整に知恵を絞る。「小さくても新しい試みを取り入れていきたい」。会を活性化させながら、さらなる歴史を積み上げていく。

釜石新聞NewS
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