釜石にも秋味覚到来 浜に活気、一挙に2船 140トン初水揚げ
釜石に初水揚げされたサンマ。銀りん躍るサンマに魚市場も活気づく=4日午前6時36分
釜石市新浜町の魚市場に4日朝、今季初のサンマが水揚げされた。釜石への初水揚げは昨年より3日早く、大型サンマ船2隻が合わせて約140トンを水揚げした。サンマの型は例年よりやや小さめというものの、待ちに待った秋味の到来に浜は活気付いた。
千葉県南房総市の第1安房丸(120トン)は昨年に続き、釜石へのサンマ第1船となった。今季は4回目の操業で、北海道根室沖のロシア海域で漁獲した約60トンを一昼夜半かけて釜石まで運んできた。
水揚げしたサンマは160グラム以上の大型が約3割にとどまり、中型が約5割、小型は約2割。黒川義明漁労長(55)は「まだ漁が薄く、本格的な漁はこれから。型もまだ少し小さいが、脂は乗っており、おいしいと思う」と話した。
一方、稚内市の第5朝洋丸(199トン)もロシア海域で漁獲した約80トンを水揚げ。後藤昭美漁労長(61)は「今季初めて、まとまった数の漁になった」と喜ぶ。一昨年、昨年と釜石に水揚げしており、「今後も続けたい」と後藤漁労長。
入札の結果、1キロ当たりで昨年の初水揚げより50円ほど高値の233~330円で取引された。
この日、釜石に水揚げされたサンマのうち約80トンを買い付けた平庄(平野隆司社長)は、そのほとんどを関東、名古屋方面へ鮮魚として出荷した。同社の菊池幸一工場長(49)は「昨年度は約3千トンを買い付けた。今年は5千トンを目指したい」と意気込む。4年前の震災で被災したものの、間もなく工場を復旧。サンマの買い付け、加工も休まず続けている。
釜石魚市場の昨年度のサンマの水揚げは5260トン、5億199万円にのぼり、13年度と比べ数量は5倍、金額は3・6倍も伸びた。被災した水産加工場の復旧が進み、受け入れ設備も整ってきたことなどから、釜石に水揚げするサンマ船が増えているという。
釜石市の野田武則市長も午前7時前に魚市場を訪れ、「今年もやっと釜石産のサンマが食べられる」とサンマ船を歓迎。各漁労長に飲み物などを差し入れ、「新しい魚市場の建設も進めている。引き続き、釜石への水揚げをよろしく」と要請した=写真。
(復興釜石新聞 2015年9月5日発行 第416号より)
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