ラグビーのまち盛り上げ 釜石中特設ラグビー部、劇的逆転で県中総体2連覇 市長に報告
優勝旗を掲げて笑顔を見せる佐藤碧空さん(左)と山崎陽介さん
11月に開催された第71回岩手県中学校総合体育大会(中総体)の第41回ラグビーフットボール競技の部で、釜石中(佐々木一成校長、生徒294人)の特設ラグビー部が2年連続の優勝を飾った。主要メンバーらが12月4日に市役所を訪れ、小野共市長に報告。決勝では甲子中との同地区対決を制して栄冠を手にし、「ラグビーのまち釜石」の未来や飛躍を感じさせた。
大会は11月2、3日に北上総合運動公園で開催。6チームが2組に分かれて予選リーグで熱戦を繰り広げた。釜石中は、甲子、釜石東の同地区3校による組で総当たり戦を展開。甲子に敗北し2位で通過した。決勝トーナメントの準決勝で別組1位の宮古合同チーム(宮古地区などの7校で結成)と対戦。経験値では劣る部分があったというが、持ち前の精神力とチームワークを発揮し勝利を収め、決勝に駒を進めた。
決勝戦の相手は、予選リーグで敗れた甲子。悔しさを持つ釜石は、「必ず勝つ」とチーム一丸となって試合に挑んだ。終盤、残り1分半で逆転を許す苦しい展開となったが、最後のプレーで劇的な逆転トライを決め勝利を収めた。
2連覇を果たした釜石中特設ラグビー部の選手たち(学校提供)
釜石から出場する3校はみな特設ラグビー部として結成される。釜石中も部活動を引退した3年生を中心に編成。昨年の優勝を経験した3人が広報活動を通じて仲間を増やし、マネージャーを含めて24人が集まった。夏休み中に3回ほど練習日を設け、休み明けからは週2~4回、放課後に活動。競技経験者や学校OBらが加わったコーチ陣によると、未経験者の吸収力が大きな強みとなり、短期間で実力が高まったという。
「雰囲気がいい」と佐々木校長が見守った選手らは、大会当日も試合後や移動中に積極的に話し合い、戦略を練って「勝つこと」を意識し続けた。マネージャーが作成した名前入りのキーホルダーが選手たちの士気を高めるなど、チーム全体の結束力がこの結果を支えた。
人差し指を立ててポーズを決める釜石中生と小野共市長(左)
市役所訪れたのは、釜石中特設ラグビー部主将の佐藤碧空(そら)さん、山崎陽介さん(ともに3年)、佐々木校長ら関係者6人。佐藤さんは「全員が勝つぞと優勝に向かって試合していて、その雰囲気を保ちながら最後まで戦えた。全員が練習したことを本番で発揮できた」と報告。同部顧問の鈴木悠太教諭、コーチの山崎政仁さんと前川靖展さんが試合展開やチームづくりの過程などを小野市長ら市関係者に伝えた。
釜石中の関係者が市役所を訪れ、中総体での優勝を報告した
釜石中の佐藤さん、山崎さんはともに幼少期から地元ラグビーチーム・釜石シーウェイブス(SW)のジュニアチーム「釜石シーウェイブスジュニアラグビースクール」に所属し、競技に打ち込む。市外へ進学を予定する佐藤さんは「高校でもラグビーを続け、この経験を力に頑張りたい」と次のステージへの意気込みを語った。山崎さんは競技を通して広がった人の輪を生かし、「地元でラグビーを盛り上げていきたい」と決意を述べた。
連覇を喜ぶ生徒たち。「高校でもラグビーを」と思いを伝えた
健闘をたたえる市関係者。「ラグビーのまち」の発信に期待を寄せた
小野市長は「絶対に諦めないという気持ちの強さが勝利を引き寄せた。この成功体験を今後の人生にも生かしてほしい」と選手らを賞賛。同席した高橋勝教育長は「2連覇の意義は非常に大きい。3連覇を目指して」と期待を示したうえで、「釜石から3校が出場したことがうれしい。ラグビーのまちを支える中学生として鍛え合ってほしい」と願った。
釜石新聞NewS
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