クマ被害防止へ対策を! 釜石市内でも目撃情報多数 自宅周辺、入山時、寄せ付けない工夫を


2024/06/11
釜石新聞NewS #地域 #防災・安全

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

 
 釜石市内でも春以降、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。目撃件数が大幅に増加した昨年同時期よりは少ないものの、市内各地で目撃があり、市は注意を呼び掛ける。例年5~6月は目撃件数が増加する時期。地形上、民家の背後に山が接近する同市では、登山や山菜採りなど意図して入山する以外にも、家屋周辺にクマを寄せ付けるものを放置しないなどの日常生活での対策も求められる。
 
 市水産農林課によると、今年に入り同市に寄せられたクマの目撃件数は74件(6月9日現在)。春を迎えてからは4月が6件(昨年同月16件)、5月が26件(同47件)で、昨年同時期に比べるとほぼ半減しているが、餌となるクワの実がなる6~7月は例年、目撃情報が多くなることから注意が必要。
 
クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

 
クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

 
 同市の2023年度のクマ目撃件数は、前年度の2倍以上となる321件。人身被害は10、11月に計2件発生し、高齢女性2人が負傷した。自宅近辺のカキの木が誘引物になったとみられている。5月には只越町の市役所付近で、クマ1頭がアパート駐車場に居座り、約3時間後に捕獲されるという事案もあった。
 
 釜石警察署によると、市内では今年、クマによる人身被害は今のところ発生していないが、6月に入り、米ぬかを保管していた倉庫が荒らされるクマによるものとみられる被害が発生している。
 
 クマの目撃は例年、夏場は減少するが、カキやクルミ、クリなどの実がなる秋は再び増加傾向にある。山に入る際はクマよけの鈴や笛、ラジオなど音の出るもの、クマ撃退スプレーを携帯し、複数人で行動。見通しの悪い場所、周りの音が消される沢沿いでは特に意識して音を出し、人間の存在をクマに知らせることが大切だ。クマの目撃情報がある場所は避け、ふんや爪痕を見つけたら引き返す判断も。
 
クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

 
クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

 
 被害に遭わないためには自宅周辺の対策も必要。▽納屋などに果物、穀物、アルコール類など、においが強いものを保管しない▽生ごみは収集日の朝に出す▽庭や家庭菜園に果実などを放置しない(クマが寄り付く前に収穫など)▽墓の供え物は持ち帰る―。人間の居住区にクマを寄せ付けないことが重要だ。
 
 市では目撃情報が寄せられるたびに地元猟友会などと現場に出向き、状況把握や原因分析、爆竹を鳴らすなどの追い払いを行っている。市水産農林課の清藤剛林業振興係長は「民家近くへの出没の多くがカキ目当て。誘引物をなくすと来なくなるケースがほとんど。木の所有者には適正な管理をお願いしたい」と呼び掛ける。入山時については「(クマが)いる所に入っていくということを意識してほしい。目撃が多い朝、夕は避け、出没情報がある場所にはできるだけ行かないことも大事」と警戒を促す。
 
伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

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