釜石・高橋幸信さん 満100歳に 身の回りのことは自分で「模範となる人間に」とますます意欲 


2024/03/12
釜石新聞NewS #福祉

100歳を迎えた高橋幸信さん(右から2人目)。小野共市長(右)、長男邦友さん家族(左側)がお祝いに駆け付けた

100歳を迎えた高橋幸信さん(右から2人目)。小野共市長(右)、長男邦友さん家族(左側)がお祝いに駆け付けた

 
 釜石市野田町の高橋幸信さんが8日、満100歳を迎えた。ショートステイ先の鵜住居町の介護老人福祉施設・三峯の杜(齊藤敦子施設長、長期利用29人、短期同20人)で、小野共市長や施設入居者、職員からお祝いを受けた高橋さん。周囲への感謝の気持ちを表し、「ますます元気もりもりで、社会のためにいくらかでも微力を尽くしたい」と誓いを立てた。同市の100歳以上の方は高橋さんを含め25人、うち男性は2人となった。
 
 高橋さんは昨秋から月に2回、三峯の杜のショートステイを利用。今回の退所日が100歳の誕生日と重なり、施設がお祝いの会を開いた。この日は小野共市長が訪れ、市からの特別敬老祝い金(5万円)と記念品の市長直筆額入り祝い状、羽毛肌掛け布団を高橋さんに贈呈した。小野市長は郷土発展への貢献に深く感謝し、「健康に留意してますます長寿を重ね、心豊かな人生をお過ごしいただければ」と願った。
 
小野市長が揮毫した「百寿の証」祝い状を贈呈

小野市長が揮毫した「百寿の証」祝い状を贈呈

 
 高橋さんは1924(大正13)年3月8日、釜石市に生まれた。7人きょうだい(2男5女)の5番目。尋常小学校(当時)卒業後、釜石製鉄所に勤務し、付属病院の看護師だった女性と結婚。2男を授かった。55歳の定年まで勤め上げ、退職後はタクシー会社の配車係として約10年働いた。19年前に妻が他界し、今はヘルパーの力を借りて生活する。身の回りのことは自分でこなし、耳は遠くなったが、はきはきとした言動で周囲を驚かせる。製鉄所時代は弓道や軟式野球にも親しんだ。
 
 会では“虎舞好き”の高橋さんに喜んでもらえればと、各伝承団体のメンバーでもある職員4人が舞を披露。他の入居者と一緒に楽しい時間を過ごした高橋さんは、かけがえのない思い出を胸に刻んだ。たくさんのお祝いを受けた後は自らマイクを握り謝辞。「皆さんの温かい笑顔に接して、また年齢を積み重ねられるよう努力いたします。今後ともよろしく、お世話、お力添えをお願いいたします」などと自分の言葉で伝えた。
 
施設職員が虎舞を披露し祝いムードを盛り上げる

施設職員が虎舞を披露し祝いムードを盛り上げる

 
大迫力の虎舞を楽しむ高橋さん(右)。すてきな誕生日に…

大迫力の虎舞を楽しむ高橋さん(右)。すてきな誕生日に…

 
顔をほころばせながらお礼を述べる高橋さん

顔をほころばせながらお礼を述べる高橋さん

 
 この日は盛岡市に住む長男高橋邦友さん(67)、直子さん(63)夫妻と娘の香緒里さん(30)も駆け付けた。「父はとにかくマイペース。自分のことは自身でやっていきたいタイプ」と邦友さん。数年前から「100歳まで元気で健康に」が口癖だったという父の有言実行ぶりに、「ついにこの日を迎えることができた。親ながら褒めてあげたい」と喜びを共有した。
 
施設からのお酒のプレゼントは100歳の先輩入居者・植田くめさんから贈呈(右上写真)。入居者、職員からたくさんの拍手をもらった

施設からのお酒のプレゼントは100歳の先輩入居者・植田くめさんから贈呈(右上写真)。入居者、職員からたくさんの拍手をもらった

 
施設を運営する社会福祉法人岩手徳栄会齊藤裕基理事長(後列左)、齊藤敦子施設長(同右)らと記念撮影

施設を運営する社会福祉法人岩手徳栄会齊藤裕基理事長(後列左)、齊藤敦子施設長(同右)らと記念撮影

 
 「だんだん体力はなくなってくるが、脳だけは何とかね。今日は市長さんともお話して心強く感じた。あまり難しいことは考えず、皆さんのお世話をいただいて模範になるような人間でありたい」と高橋さん。好きなお酒、趣味の盆栽をたしなみながら、「日々是好日」を願う。

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