釜石大槌消防職員OB「消防支援隊」結成 豊富な経験生かし大規模災害時に業務支援
釜石大槌地区の「消防支援隊」として活動する消防職員OBと行政事務組合関係者ら
釜石大槌地区行政事務組合消防本部は大規模災害発生時の体制強化を目的に、2023年度から同本部職員OBによる「消防支援隊」を発足させた。地震・津波、水害、山火事などで大きな被害が予想される際、消防長の要請で庁舎などに参集。情報収集や消防団との連絡調整、資機材準備といった後方支援を主に担う。同様の組織の創設は、盛岡地区に次いで県内2例目となる。
支援隊は同本部管轄区域内に居住する75歳未満の元職員(在職10年以上、健康な方)で組織。無償で活動する。初年度は該当者20人中、64~74歳の16人が登録。3月30日、釜石市鈴子町の消防本部庁舎で発足式が行われ、隊員11人と関係者が出席した。
釜石大槌地区消防本部「消防支援隊」発足式=3月30日、消防庁舎
組合管理者の野田武則釜石市長は「東日本大震災を経験した皆さまの豊富な知識、技術を再び釜石市民、大槌町民のために発揮していただきたい」と式辞。登録隊員が紹介され、同本部の大丸広美消防長が代表の千葉榮(さかえ)さん(70)に登録証を交付した。2011年度から13年度まで同本部消防長を務めた千葉さんは「任務の重要性を深く心に刻み、全力で支援にまい進する」と決意表明した。
登録証と活動時に着用するヘルメット、ベストなどを受け取る千葉榮さん(左)
支援隊員を代表し、千葉さん(左)が決意表明
本部から貸与されたベストを着用する支援隊員ら
登録した16人のうち13人は東日本大震災発生時に現職。支援隊の必要性は消防退職者会の集まりで3年ほど前から話題に上り、同本部に相談。先進地盛岡でも話を聞くなどし、発足への準備を進めてきた。千葉さんは「(人口減少、少子高齢化などで)消防団員も減ってきている中、消防職員OBが何もしないわけにはいかないと考えた。現職時代に得た数々の経験、教訓を生かし、災害対応の力になれれば」と話す。
大規模災害発生時は現場出動の人員が増え、消防庁舎での対応人員が不足しがち。要請された支援隊がいち早く駆け付け、初期対応に加わることは大きな助けになる。OB側からの自主的な提案に大丸消防長は「非常に心強い。隊員は震災時の緊迫した状況下での指揮経験もある。支援活動を通じて現職への経験の伝承にもつながっていけば」と期待した。
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