きれいな春色!タマネギの皮で「草木染」 釜石・鵜住居公民館で体験講座
黄色く染まったハンカチを掲げ、「春色だね」とほほ笑む参加者
草花や野菜など自然由来の素材を使って布を染める「草木染(くさきぞめ)」を楽しんでもらう体験講座が3月25日、釜石市鵜住居町の鵜住居公民館で開かれた。使ったのは、料理の際には捨ててしまう「野菜くず」のタマネギの皮。参加者はタマネギを煮出した染料に綿のハンカチ(28センチ四方)を浸し、オリジナル作品を完成させた。
同館が不定期に開催する鵜住居交流講座の一環。新型コロナウイルスの影響で外出機会が減る中、ものづくり体験で地域住民の親交を深めようと企画し、住民5人が参加した。前日に、染まりを良くするための下準備「呉汁」(ごじる=大豆を水に浸し、すりつぶしたもの)処理を体験。今回は豆乳(無調整)と水を混ぜたもので代用し、液にハンカチを浸し、絞って陰干ししていた。
出来上がりを想像しながら輪ゴムや割りばしを使って模様付けした
25日の染色作業は染料となるタマネギの皮むきから開始。皮をゆでて染料を抽出す作業を3回繰り返した。最初は透明だった水が次第に黄色く色づいてくると、参加者は「スープみたいで、おいしそう。飲みたい感じ」と興味深そうにのぞき込んだ。煮出している合間に、ハンカチに模様を付けるための「絞り」に挑戦。ペットボトルのキャップや碁石などを輪ゴムで留めたり、布を折り畳んで割り箸で挟んだり、思い思いに手を動かした。
「きれいになーれ」。タマネギの皮でつくった染料に布を浸す女性たち
タマネギの皮から抽出した染料に、模様付けたしたハンカチを約20分間浸した。待つ間に、染料の色落ちを防ぐために必要な「媒染(ばいせん)剤」づくり。今回はミョウバンを使い、ぬるま湯で溶かした媒染液に、さらに20分間浸した。明るい黄色に染まったハンカチに、参加者は「こんなにきれいな色が出るなんて」「春が来た感じ」と歓声。水洗いしながら輪ゴムなどを外すと、白い輪の模様などができていて、「いいね。かわいい」と笑顔を広げていた。
町内の復興住宅で暮らす紺野眞知子さん(67)は、初めての染め物体験を楽しんだ様子。「タマネギの皮でこんなことができるなんて考えもしなかった。きれいな色に仕上がった。違った模様を作ってみたいと意欲が湧く。いろんな人と話ができるのもいいね」と目を細めた。
タマネギの皮をゆでている合間に、身を使った料理作りに取り組んだ
同館では現在、染め物について研究を重ねている。ナスやアボカド、サクラやウメの枝などを使った方法を試行錯誤し、今回は家庭にあるもので手軽に使うことができるタマネギの皮を選んだ。講師役を務めた主任の村田奈々さん(38)は「食材を使い切る、あるものを上手に活用するのは大事なこと。SDGsや食品ロス、廃棄物の再利用、環境について考えるきっかけになれば。気軽に家庭でも染め物体験をして、世界に一つの自分だけのものを作ってみてほしい」と期待する。
釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム