釜石トライアスロン30周年記念誌発刊〜「継続は力」熱い思いを一冊に、震災からの復活 全国から支援
震災から立ち上がってきた大会の軌跡が掲載された記念誌
釜石市を代表する一大スポーツイベントに成長した「釜石はまゆりトライアスロン国際大会」は、1990年の開始から昨年で30周年を迎えた。大会を主管する釜石トライアスロン協会(小林格也会長)は、これまでの歩みを記録した30周年記念誌を先月発刊。東日本大震災からの大会復活、正式種目となった国体トライアスロンの釜石開催成功など、同市復興のシンボルとして走り続けた軌跡が関係者の熱い思いとともにつづられる。
記念誌はA4判カラーで全50ページ。大会を支えてきた関係自治体や競技団体の代表、本県出身のトライアスリート、コース沿線の町内会長ら28人が寄稿。釜石大会の魅力や価値、地元にもたらした効果、懐かしい思い出などが、それぞれの視点で記されている。
大会の歩みは、震災前の2010年までの20年間(通算21回開催)と、震災後の復活劇を1年ごとに追ったページで構成。豊富な写真を掲載し、多くの人々が関わってきた同大会を印象づける。
11年の震災では大会メイン会場の根浜海岸と、コースとなっていた鵜住居、箱崎地区が津波で甚大な被害を受けた。協会員も被災し、大会存続が危ぶまれる中、復活の決断を後押ししたのが「復興の一助となってほしい」という地元の声。16年の岩手国体からトライアスロンが正式種目になり、釜石が開催地となることが決まっていたことも原動力となった。
完成した記念誌を手に関係者に感謝の気持ちを表す小林会長
震災の翌12年にはオープンウォータースイム(水泳)、13年にはアクアスロン(水泳、長距離走)、14年にはトライアスロン(水泳、自転車、長距離走)の大会を実現させ、16年の国体開催につないだ。
「震災直後は正直もうだめかと思ったが、市民や釜石を愛する全国の皆さんに支えられ、ここまでこられた。感謝しかない」と小林会長(82)。第1回大会から無事故できたことも大きな成果に挙げる。
昨年は津波で流失した根浜海岸の砂浜再生工事が完了。30周年の記念大会を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、中止を余儀なくされた。震災、コロナと2度の危機に直面するが、「継続は力。今年こそ大会ができるようになることを祈る」。
30周年記念誌は250部作成。大会関係者や支援者、協会員などに配られる。
復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)
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