「聖地釜石」で不惑ラグビー〜全国から300人集結、交流試合
「鬼軍曹」の異名を思い出させる突進を見せる小林一郎さん
ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会開催まで約半年―。東日本大震災被災地で、東北唯一の試合会場となる釜石市を盛り上げようと、3月30、31の両日、ラグビーマスターズ交流会(同釜石実行委主催)が市内で開かれた。全国から“不惑ラグビー”の仲間約300人が集結。試合や懇親会を通じて、釜石復興と大会成功を祈念した。
交流戦はW杯会場の釜石鵜住居復興スタジアムと、釜石ラグビーの“聖地”甲子町松倉の市球技場で開催。関東圏と岩手県内で活動する40歳以上のクラブ、奈良、秋田両県の高校ラグビー強豪校OB、日本一7連覇に輝いた新日鉄釜石OBなど全15チームが参加した。
30日午後から行われた試合はあいにくの雪模様。芝生のグラウンドを白く染めるほどの降雪だったが、参加者は悪天候を吹き飛ばす熱戦を繰り広げ、W杯イヤーの釜石に元気を届けた。
新日鉄チームは同スタジアムの第一試合で、天理高OBと対戦。W杯釜石誘致活動をけん引してきた石山次郎さんをはじめ、坂下功正さん、谷藤尚之さん、瀬川清さんら7連覇時代の主軸選手、自身もW杯出場経験者で日本大会アンバサダーを務める桜庭吉彦さんなど、そうそうたるメンバーが顔をそろえた。
ラグビー仲間の絆を結ぶ新日鉄釜石と天理高のOB
“鬼軍曹”の異名で知られた小林一郎さん(69)=釜石市平田=は、慣れない芝グラウンドに苦戦しながらも果敢に前へ。試合後は両膝のあざが奮闘ぶりを物語った。半年後に迫ったW杯。「すごく盛り上がると思う」と満席のスタジアムを思い描く小林さん。復興と両輪で進められてきた釜石開催への取り組みに大きな意義を感じながら、「挑戦しないことには次のステージは開けない。これを契機に、スタジアムの有効活用を含め、何らかの形で次につなげていくことが必要」と気を引き締めた。
現役時代、華麗なゴールキックで観衆を魅了した金野年明さん(62)=仙台市=は「思うように体が動けばいいけど、だめだねー。でも昔の仲間とやるのは最高に楽しい」と笑顔。W杯釜石開催について「賛否両論あったと思うが、石山が先頭に立ち頑張ってくれた。たいしたもの」とたたえた。願うは釜石シーウェイブス(SW)RFCの勝利。「トップリーグに上がり観客を呼べるようにならないと、このスタジアムも生かされない」と一層の奮起を望んだ。
釜石同様、W杯開催都市である埼玉県熊谷市からは熊谷不惑クラブの2チーム64人が駆け付けた。60歳以上のキャプテン、大室誠さん(60)は「素晴らしいスタジアム。震災からここまで立ち上がってきたと思うと感慨深い。この場所で試合ができて光栄」と大喜び。「熊谷も対戦チームを迎え入れるにあたり、盛り上がってきている。同じ〝ラグビーのまち〟として、大会成功に向け頑張っていきましょう」と思いを込めた。
釜石実行委の小笠原順一委員長(市ラグビー協会会長)は「今でも釜石の名を忘れず、こうして集まってくれるのは本当にうれしく、ありがたい。今後も続けたい」と、W杯後のつながり継続に期待を寄せた。
(復興釜石新聞 2019年4月3日発行 第779号より)
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