スクラムかみへい住宅 7年、記録誌発行記念し講演会〜上閉伊地域復興住宅協議会、さらなる復興へ貢献誓う
地域の復興へさらなる貢献を誓う上閉伊復興住宅協議会の関係者
上閉伊地域復興住宅協議会(柏舘旨緒会長)は8日、冊子「スクラムかみへい住宅7年の記録」の発行を記念した講演会を釜石市大町の情報交流センター釜石PITで開いた。関係者ら約50人が参加。震災後、地元産の木材を活用し、被災者などに手頃な価格で「地域型住宅」を供給し続けてきた歩みを振り返り、住宅供給を通じて被災地のさらなる復興の力になろうと誓い合った。
同協議会は釜石市、大槌町、遠野市の林業、製材業、設計事務所、工務店など木造住宅に関わる事業所54社で2011年11月に発足した。住宅プランは基本形を6タイプそろえ、壁間仕切りを自在に配置できる自由設計とし、被災者などに手頃な価格で供給できるよう工夫した。自力再建住宅はこれまでに45棟が完成し、11棟が設計・施工中。釜石市災害公営住宅42棟も完成した。
同協議会の立ち上げに加わり、支援してきた慶応大の米田雅子先導研究センター特任教授によると、11年9月に設立された岩手県復興住宅推進協議会には同協議会を含む135の生産グループが登録した。しかし、震災から7年を経過し、地域ぐるみで本格的に住宅建設を継続しているのは同協議会と山田型復興住宅ぐらいにとどまるという。
講演する慶応大の米田特任教授
同協議会がこれまで事業を継続できた背景について、米田特任教授は「急な需要に応えられる供給体制をつくったことが大きい。地域木材の流通基盤をつくることができた」と指摘。「地域ぐるみで、しっかりと成果を出している希有(けう)な事例ではないか」と、さらなる事業展開に期待した。
パネル討論では、初の発注者となった釜石市平田の久保和美さんが「地元材なら間違いないと思った」とし、施工を担当した菅原勲さんは「30坪(100平方メートル)で1千万円という価格設定には戸惑いがあったが、被災者の生活再建のためにやらねばならないと決意した」と振り返った。
同協議会の高橋幸男事務局長(釜石地方森林組合参事)は「初めは無謀な取り組みと思ったが、苦労を共にする仲間が支えになった」と振り返り、「この取り組みから、いろいろなところで地域材を活用する動きが広がってきた。当組合がUターン者を受け入れ、新たに14人の職員を採用するなど波及効果も大きかった。この取り組みを通し、さらに地元材の利用拡大を図りたい」と意欲を示した。
柏舘会長は「地域に住宅を供給するシステムがないと大変なことになる。今後も地域の復興のために貢献していきたい」とまとめた。
(復興釜石新聞 2019年2月13日発行 第765号より)
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