復興見守る「淡墨桜」、友好都市が釜石に〜愛知県東海市・岐阜県本巣市、首長ら根浜に植樹


2017/04/06
復興釜石新聞アーカイブ #地域

鵜住居町根浜地区で「淡墨桜」の苗木を植える3市長

鵜住居町根浜地区で「淡墨桜」の苗木を植える3市長

 

 東日本大震災復興応援として、釜石市と姉妹都市を結ぶ愛知県東海市、岐阜県本巣市から桜の苗木計25本が贈られ、3月29日、鵜住居町根浜地区に植えられた。贈られたのは本巣市の根尾谷にある国の天然記念物「淡墨(うすずみ)桜」の苗木。樹齢1500年を超えるとされ、「釜石の復興、発展するまちを末永く見守ってほしい」との願いが込められている。今回は仮植えで将来的には、釜石市が2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会開催に備えて建設する「釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)」周辺に植える予定だ。

 

 東海市と釜石市は、1960年代に釜石製鉄所から約700人が家族を伴って東海製鉄所に移ったことをきっかけに交流を開始。2007年に姉妹都市となり、スポーツを通じた交流事業などで絆を深めてきた。震災後は物資支援、職員の派遣、ラグビーW杯に向けた多額の寄付など支援を重ねている。

 

 本巣市は釜石市に対し、岐阜県市長会として震災発生直後から職員の派遣や被災地復興支援金を寄付するなどの支援活動を行っている。

 

 日本三大桜にも数えられる淡墨桜は高さ約16メートル、幹周り約10メートルのエドヒガンザクラの巨木。つぼみはピンク、満開時に白となり、散り際はその名の通り淡い墨色になるという。

 

 東海市と本巣市は淡墨桜の寄贈、植樹でつながりがある。今回の仮植えは、東海市がその桜を「復旧復興の励ましになれば」と贈ることを考え、呼び掛けに応えた本巣市の協力で実現。東海市は20本、本巣市からは5本が贈られた。

 

 この日は、鈴木淳雄東海市長、藤原勉本巣市長が釜石を訪れ、野田武則釜石市長とともに桜を仮植え。東海、本巣市それぞれで種から育てられた高さ1~2メートルの苗木の根元に土をかぶせ、成長を祈った。

 

桜の成長と釜石市の復興を重ね合わせ、植樹を終えた3市長ら

桜の成長と釜石市の復興を重ね合わせ、植樹を終えた3市長ら

 

 藤原市長は「1500年の命を持った歴史ある桜が釜石の復興、発展、子どもたちの成長を見守り、地域の人が頑張る力になれば。つながった縁と桜を大事にしながら、共に頑張っていきたい」と願い、鈴木市長は「W杯は地域や子どもに夢と希望を与える事業。釜石を訪れた世界中の人に復興と合わせて桜を見てもらいたい」と期待を込めた。

 

 野田市長は「温かい絆、応援に感謝。長い命をつないだ桜に、命の大切さと生きる力強さを感じる。復興、子どもたちへの強いメッセージになる。『見守り桜』を大切にしていく」と力をもらった。

 

 このあと3市長は、根浜地区の高台移転先として整備が進んでいる団地、鵜住居地区小中学校新校舎などを視察し、復興状況を確認。スタジアムは4月から建設工事に着手する予定で、完成後、仮植えされた苗木を周辺に植え替える。

 

(復興釜石新聞 2017年4月1日発行 第576号より)

 

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