夢プラン実現へ食の文化祭〜栗林の魅力 料理で発信 芸能発表、バザーもにぎやかに
仮設住宅を含む地域住民手作りの料理の振る舞いは今年も大人気
住民交流と地域の魅力発信を目指す「栗林・食の文化祭」は15日、栗林小体育館で開かれた。釜石市栗林町全域の町内会が連合組織する栗林共栄会(遠野健一会長、約250世帯)、市社会福祉協議会(丸木久忠会長)が主催し、昨年に続き2回目の開催。住民手作りの料理の振る舞いや餅まきに、新たに趣味の作品展示、芸能発表、バザーが加わり、町内外の約300人が心温まるひとときに笑顔を輝かせた。
仮設住民も心温まるひととき
開会にあたり実行委員長の遠野会長は、震災後に仮設住宅や住宅の自立再建で同町に暮らす人たちが増えたことに触れ、「住んで良かった、住んでみたいと思われるような古里を後世に残したい。食を通して栗林の自然、歴史、文化を共有し、仲間を増やしてもらえれば」とあいさつした。
健康体操や柳亭左龍さんの落語で身も心もリラックス。地元芸能の丹内神楽、地域住民の歌と踊りで会場が盛り上がる中、お待ちかねの昼食時間を迎えた。豚汁やおにぎりが振る舞われたほか、料理自慢の住民が出品した総菜やおこわ、和・洋菓子など34点の試食があった。地元産の野菜、果物、穀物などを使ったアイデアあふれるメニューが並び、来場者は食欲をそそられながら皿に取り分けた。
市指定無形文化財(第1号)に登録されている「丹内神楽」
沢田地区の川崎公夫さん(66)は、アユの腹にウニを詰めたオリジナルの甘露煮、厚焼き卵、スイートポテトを出品。調味料にも工夫を凝らした自信作で、「料理が好きでよくやる。甘露煮は昨年、すぐに無くなったので今年は1皿追加。みんなに喜んでもらえればと卵焼きなどを足した」と振る舞いの機会を楽しんだ。
震災の津波被害を免れた同町には6カ所の仮設住宅が建設され、ピーク時には約200世帯が入居。現在は165世帯が暮らす。被災し同町に自宅を再建しているのは約30世帯。環境の変化に伴うコミュニティー再生などの課題解決につなげようと、地域資源や人と人との絆を生かした「食の文化祭」が企画された。
大槌町で被災し砂子畑地区に自宅を再建した岩間淳さん(62)は「こういう場で住民と交わることで、顔と名前が一致する。妻と娘も昨年から菓子などを出品し楽しませてもらっている」と話し、行事への誘いなど日ごろから声をかけてくれる近隣住民らに感謝。箱崎町で被災し沢田地区に再建した自宅に家族8人で暮らす小林京子さん(62)は「栗林に来てもうすぐ3年。皆さんの料理の腕前に感心した。すごくおいしくて。箱崎で一緒だった人とも久しぶりに会えた」と声を弾ませた。
栗林共栄会は、仮設住宅を含む小学生以上の全住民を対象としたアンケート結果を基に昨年、まちの将来像を描く「くりばやし夢プラン」を策定。スローガン「笑顔と元気と結の里」を実現するため、自然、ふれあい、伝統文化、福祉をキーワードにまちづくりの指針を掲げた。同文化祭にもその理念が込められている。
(復興釜石新聞 2015年11月18日発行 第437号より)
復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)
復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3