秋の味覚『甲子柿』出荷始まる〜目揃会で品質確認、販路拡大へ初の審査会も
釜石の秋を象徴する甲子柿の出来を確かめる生産者ら=19日
釜石市の秋の味覚「甲子柿」の今季出荷が始まった。味は例年通りの出来栄えだが、落葉病や天候の影響で収穫前に落果する柿が多く収量は若干少なめとなる見込みだ。ブランド化を進める甲子柿の里生産組合(藤井修一組合長、19人)は「目揃(めぞろえ)会」で品質を確認したほか、出荷の可否を判断する審査会を初めて開催。今後の生産・販路拡大を見据えた取り組みで、品質の統一化・向上につなげる。
目揃会は19日に甲子町の洞関コミュニティ消防センターで開かれた。関係者ら14人が参加。生産者5人が製品を持ち込み、色つやや大きさを確認した。
今年は春先のひょう、梅雨時期の長雨、夏の猛暑に加え、落葉病の影響で収穫前に自然落果する柿が多かった。特に無農薬にこだわる農家ではゼロに近い収穫になるなど、地区によって大きなばらつきも。実の色付きも例年より遅いというが、甘みはブランドを維持するレベルを保った。
市外への出荷は例年並みの12個入りを基準にするが、目標数の設定は見送った。藤井組合長(77)は「いろんな要因が重なり、管理に苦労した。安定的な生産、事業継続に向け、薬剤散布の導入や摘果などルールを見直ししなければ」と気を引き締める。
審査会は20日、大町の市民ホールで開催。同組合員から、7点が出品された。食に関わる企業や団体の関係者らが委員(12人)となり、消費者目線で▽外観(色、つや、傷の多少)▽味(甘さ、薫香の有無、脱渋具合)▽食感―を審査。結果、7点すべてが「出品可」と評価された。
出品された甲子柿を審査する委員ら=20日
釜石高家庭クラブ委員会の楢山直尭(なおたか)君(1年)は今回初めて甲子柿を口にし、「おいしい。食感がいい。たくさんの人に知ってほしい」と感想。市農政推進協議会委員で県食の匠の佐々木かよさん(69)は「ブランド化に必要なのは品質の統一化。おいしさに自信を持ち販売してほしい」と期待した。
生産者が地方発送販売や各種販売会への出品を希望する場合、この審査で「出荷に値する」(品質良)と判断される必要がある。藤井組合長は「歴史ある特産品として若い生産者につなげ、いいものを出し続けたい」と思いを強めた。
甲子柿は10月下旬から11月中旬ごろが出荷の最盛期。組合などを通じた全国出荷とともに、産直やスーパー、小売店にも提供される。
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