新ホールで念願のカラオケ大会〜舞踊も華やか、にぎやかに
客席にも降りて観客を楽しませた「舞扇毬菊一座」の踊り手。あでやかな着物の“おいらん”に盛んな拍手が送られた
震災で被災した釜石市民文化会館に代わる施設の建設を願い、2013年から続けられてきた「釜石市長杯カラオケ大会」(同実行委主催=小笠原誠委員長)が、念願の新ホールで大会を実現。24日、釜石市民ホールTETTOで6回目の大会が開かれ、舞踊を交えたにぎやかなステージで観客を楽しませた。
同大会はこれまで中妻体育館で開催。県内各地のほか青森県むつ市、大間町、宮城県気仙沼市などの歌謡愛好者が趣旨に賛同して集まり、60~80人規模の大会を継続してきた。実行委は新ホール建設を後押ししようと、入場料を毎回、市に寄付。早期完成を祈念してきた。
祝いムードに包まれた今大会には、青森、岩手、宮城の3県から77人がエントリー。音響、照明など最高の環境が整った舞台で、日ごろの練習で培った自慢ののどを響かせた。
市内唐丹町の佐野利夫さん(77)は「音の響きが心地良くて、ちょっと力みすぎたかな」と照れ笑い。「震災後7年間、市民は(ホールが無い状態を)我慢してきたからね。これを機に一流歌手もどんどん来てくれるようになれば」と期待に胸を躍らせた。
出場者の歌声は県歌謡連合会の浦田昭男会長、ほたる歌謡クラブ(むつ市)の須藤秀正会長ら5人が審査、各賞が決まった。新ホールでの初栄冠(釜石市長賞)を手にしたのは、「会津山の神」を歌った青森県八戸市の円山典子さん。
出場者の歌唱の合間には、特別ゲストや友情出演のステージも。釜石民謡クラブは、観客と一緒に体を動かしながら民謡を楽しむ人気のスタイルで花を添えた。青森県十和田市を拠点に全国で公演する「舞扇毬菊一座」は、約15年ぶりの釜石訪問で、多彩な曲に乗せた華やかな踊りを披露。歌では、「孫」の全国ヒットで知られる山形県の歌手、大泉逸郎さんが招かれ、大会を大いに盛り上げた。
小笠原委員長(はまゆり歌謡クラブ会長)は「青森からの出場者の中には建築関係者もいて、素晴らしいホールだとベタ褒めだった。大会を続けてきた私たちの気持ちも柱の1本ぐらいには役に立っているのでは」と、協力してくれた市内外の歌仲間に感謝。「みんなが楽しめる憩いの場として、さらに利用が進めば」と文化拠点の誕生を喜んだ。
今大会の入場料は、来年に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催への支援に役立ててもらうため、引き続き市に寄付する。なお、小笠原委員長らは、恒例の歳末たすけあいチャリティーショーを10月28日に同ホールで開催する予定。
市長賞以外の主な受賞者は次の通り。
▽最優秀賞=髙橋興眞(花巻市)▽優秀賞=佐々木クリスティン(陸前高田市)、傳法清人(青森県大間町)▽歌唱賞=工藤静子(青森県むつ市)
(復興釜石新聞 2018年6月27日発行 第701号より)
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