わずかでも手掛かりを 釜石・両石町水海で不明者捜索 震災12年を前に警察・海保・消防合同で


2023/03/14
釜石新聞NewS #防災・安全

海岸で行方不明者の手掛かりなどを捜索する警察官ら

海岸で行方不明者の手掛かりなどを捜索する警察官ら

 
 東日本大震災から12年を目前にした10日、釜石市両石町の水海海岸などで震災による行方不明者の捜索活動が行われた。釜石警察署(前川剛署長)、釜石海上保安部(虻川浩介部長)、釜石大槌地区行政事務組合消防本部(大丸広美消防長)から計70人が参加。嘱託警察犬2頭も加え、手掛かりを探した。
  
 開始式で、前川署長は「明日で震災から12年、遺族にとっては十三回忌となる。岩手県内の不明者は1110人。釜石市は152人、大槌町では416人の行方が分かっていない」と説明。虻川部長、大丸消防長は「12年間、不明者の帰りを待っている家族、地域の思いを胸に刻み、わずかでも手掛かりになるものを見つけ出してほしい」などと激励した。全員で黙とうし、海上と陸上班に分かれて出発した。
  
警察犬と指導手も捜索活動に協力した

警察犬と指導手も捜索活動に協力した

  
 水海海岸の捜索では釜石警察署員と消防隊員らが熊手を使って小石を掘り起こしたり、打ち上げられた漂流物を確認したりした。同署地域課の坂本愛里巡査(19)は宮古市出身。小学1年の時に経験した震災の津波でおじ、おばを亡くした。被災者の救助や交通誘導、避難所でケアする警官の姿に憧れ、道を決めた。「年数は関係なく、家族が戻ってくるのを待っている遺族の方に、小さくても手掛かりを返すことができれば」と熱心に取り組んだ。
 
潜水捜索する場所の打ち合わせをする海保職員と潜水士

潜水捜索する場所の打ち合わせをする海保職員と潜水士

 
海中捜索に臨む潜水士。後方は八戸海保の巡視船「しもきた」

海中捜索に臨む潜水士。後方は八戸海保の巡視船「しもきた」

 
 近くの鏡海岸では海中捜索も実施。八戸海保所属の巡視船「しもきた」に配属される潜水士7人が水深7~10メートルの海域で手掛かりを求めた。潜水捜索に初めて携わった佐藤健太さん(23)は宮城県仙台市出身。「津波の経験はないが、地震の怖さは覚えている。被災した方と思いは同じ。これからも役立てる仕事をしていく」と胸を張った。
 
行方不明者の手掛かりを求めて捜索する消防隊員ら

行方不明者の手掛かりを求めて捜索する消防隊員ら

  
 大槌消防署警防係の大久保太陽さん(21)は震災当時、小学3年生。津波で大槌町の自宅を失い、避難生活の場となった遠野市に居を移した。捜索活動への参加は2回目。「子どもの頃にお世話になった方が見つかっていない。家族のもとへ帰る手助けができれば」と目を凝らした。今回は手掛かりを見つけ出すことはできなかったが、誰かの役に立つことのできる職業にやりがいを感じる日々。「救急、救助…一つずつできることを積み上げたい」と前を向いた。
 
 釜石署などは毎年3月11日ごろ釜石大槌地域の沿岸部を捜索している。
 

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