残そう!ふるさと釜石の味 かまだんご作りに親子で挑戦 「食の匠」の料理伝承会


2022/11/04
釜石新聞NewS #文化・教育

食の匠(右)から教わりながら、かまだんご作りに取り組む参加者

食の匠(右)から教わりながら、かまだんご作りに取り組む参加者

  
 釜石・大槌地域郷土料理伝承会(同地域農業振興協議会など主催)は10月29日、釜石市大町の青葉ビルで開かれた。地域に伝わる郷土料理の継承と次代の伝承者育成を狙いに企画。同地域の親子ら14人が参加し、釜石地方の郷土菓子として知られる「かまだんご」作りに挑戦した。
  
かまだんごは、釜石地方の農家などに古くから伝わる定番のおやつ。草を刈る鎌の形に似ていることから名付けられたといわれる。それぞれの家庭によって形や中身のあんは少しずつ異なるが、いずれも米粉や小麦粉でつくられたモッチリとした生地の皮の中にトロリとした砂糖が入っている。
  
 講師は、釜石・大槌郷土料理研究会(前川良子会長、11人)会員で、本県の「食の匠」に認定されている橋野町の藤原政子さん(68)。若いころはポテトチップスが好きだったという藤原さんに、かまだんごを通じてゆで上げた小麦の甘い香りや手作り料理の良さ、身近な食材の魅力を伝えたしゅうとめの調理法を独自に改良したレシピを紹介した。材料の薄力粉、米粉などは岩手県産を使用。あんで使うクルミは橋野産で、参加者に地元食材のおいしさを味わってもらうよう準備した。
  
生地作りからスタート。親子で悪戦苦闘する姿も

生地作りからスタート。親子で悪戦苦闘する姿も

  
 参加者は皮作りから開始。材料を混ぜて、耳たぶほどの硬さになるまでこねていった。80グラムほどに分けて丸くのばした皮であんをしっかり包み、鍋でゆで上げた。藤原さんは「生地づくりには熱湯を使う。柔らかさが持続する」「生地はこねすぎない」「たっぷりの熱湯で浮き上がるまでゆでる」など作業ごとにポイントを教えた。
 
子どもたちの作業を優しいまなざしで見つめる藤原さん(右) 

子どもたちの作業を優しいまなざしで見つめる藤原さん(右)

  
「こぼれないようしっかり」。皮であんを包む作業に集中する参加者

「こぼれないようしっかり」。皮であんを包む作業に集中する参加者

  
上手にゆでるコツはかきまぜること(写真左)。浮き上がったらすくい取る(写真右)

上手にゆでるコツはかきまぜること(写真左)。浮き上がったらすくい取る(写真右)

   
 「おいしいかまだんごを作ってみたい」と参加した宮本聖良(せいら)さん(釜石中1年)は「生地を練る作業が思っていたより大変。力をつけて、休みの日に再挑戦したい」と意欲的。コロナ禍で試食はなく持ち帰りとなったが、「みんなで手作りしたから、おいしいはず」と楽しみを残した。祖母の愛子さん(68)も「いろんなポイントを教えてもらい参考になった。食の匠の知恵はさすがだ」と感心。子どもや若い世代が郷土料理や地元食材の良さに触れるきっかけになる伝承会を歓迎した。
  
「手作り料理に心動かされた経験を若い世代に伝えたい」と藤原さん

「手作り料理に心動かされた経験を若い世代に伝えたい」と藤原さん

  
 同地域の漁業、農業に携わる女性らでつくる研究会は20年近く前から地産地消、郷土料理の伝承活動に取り組んでいる。藤原さんは、しゅうとめから教えられた手作り料理のあたたかさを次代につなごうと意欲的に活動。「地元でとれた食材を利用し、家庭で食べ継がれてきた味は地域の財産。素朴だが、知恵と工夫があり、安心して食べられる。つながれてきた思いを伝えたい。伝承会をきっかけに、家庭で気軽に作って味をつないでほしい」と願った。
 
 

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