来春引退のSL銀河、JR釜石駅で一般公開~駅前では「春まつり」 食で地域の魅力発信


2022/05/13
釜石新聞NewS #観光

多くの人でにぎわったSL銀河の一般公開。家族連れらが写真撮影を楽しんだ

多くの人でにぎわったSL銀河の一般公開。家族連れらが写真撮影を楽しんだ

 

 JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)で運行9年目となる蒸気機関車「SL銀河」が4日、釜石駅構内で一般公開された。来春に運行を終えることが決まっていて、外観や車内を間近で見ようと、多くの家族連れや鉄道愛好家らが来場。迫力ある車体の魅力を存分に味わった。公開に合わせ4、5の両日、駅前広場で「かまいし春まつり」(釜石観光物産協会主催)を開催。特産品販売や多彩なステージイベントが催された。

 

部品、汽笛、走る姿…「何もかも好き」 SL見学会

 
運転台の見学で機関士から計器類の説明を受ける男性(左)

運転台の見学で機関士から計器類の説明を受ける男性(左)

 

 SLは駅構内の車庫から煙を吐きながら進み、客車と連結。来場者は、普段見ることのない裏方作業を興味深げに見つめた。機関車の前では子どもたちが機関士の帽子をかぶって記念撮影。4両の客車内も公開され、宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」をモチーフにしたレトロな内装を眺めたり、客席の座り心地を確かめたりした。

 

 運転台を見学できる有料企画も。事前に申し込んだ10人が、石炭を燃やす匂いや汽笛、噴き出す蒸気などを間近で体感しながら、計器類の説明を受けていた。小原那遊汰(なゆた)君(北上市立更木小4年)は「初めてのことで緊張した。火を使っていて熱かったけど、すごく楽しかった。SLは部品、汽笛、走っている姿、何もかも好き。将来はSLを運転する人になりたい」と目を輝かせた。祖父靖市さん(68)は孫の影響で、休日はSLの‶追っかけ″を楽しむ。「(運行終了は)名残惜しい。たくさんの顔なじみができたのはSLのおかげ」と目を細めた。

 

機関士の帽子をかぶってパチリ。交流も楽しんだ

機関士の帽子をかぶってパチリ。交流も楽しんだ

 

レトロな雰囲気の客車内で旅行気分を味わう親子

レトロな雰囲気の客車内で旅行気分を味わう親子

 

 東日本大震災からの復興支援や地域活性化を目的に、2014年に運行が始まったSL銀河。客車の老朽化などに伴い、来年春の引退が決まっている。吉田正樹釜石駅長は「多くの人出があり、愛されていたと実感。SLのレガシーを受け継ぎ、釜石線の活性化に取り組んでいく」とした。

 

ホタテ稚貝汁、海鮮のっけ丼人気 春まつり

 

ホタテ稚貝汁のお振る舞いは長い列ができ大盛況となった
ホタテ稚貝汁のお振る舞いは長い列ができ大盛況となった

 

 駅前広場には、ホタテ焼きや焼き鳥、菓子などを販売する出店が並んだ。鈴子町内会女性部によるホタテ稚貝汁のお振る舞い(各日とも200食限定)は長い列ができるほどの人気ぶり。大河内悠貴君(花巻市立南城小4年)と母聡子さん(40)は「だしがとれていて、おいしい。こじんまりとしていてもイベントを楽しめ、地元のものを味わえた」と満喫した。

 

 サン・フィッシュ釜石が用意したのは、温かいご飯に好みの魚介類をのせて食べる「のっけ丼」、しちりんで焼き上げる海鮮焼き。東鮮魚店の東洋子社長(62)は「予想を上回る客足。来てもらって感謝です。おいしいものを食べて、『釜石、いいな』と思ってもらえたら」と、マグロやイカなど新鮮な食材を使った刺し身や加工品を多数提供した。

 

サンフィッシュ釜石内の魚屋で丼にのせる具を求める家族連れ

サンフィッシュ釜石内の魚屋で丼にのせる具を求める家族連れ

 

釜石駅前広場では多くの観光客が食を満喫した

釜石駅前広場では多くの観光客が食を満喫した

 

 同まつりは5月の大型連休期間に合わせて毎年実施。同協会の澤田政男会長は「たくさんの笑顔を見ることができた。コロナ禍でも地域を盛り上げ、楽しんでもらう企画を考え、まちの良さを発信していきたい」と見据えた。

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