「菜の花プロジェクト」収益を復興に〜雇用、交流拡大に貢献、ユナイテッドグリーン推進


2016/05/21
復興釜石新聞アーカイブ #地域

菜種油「油いっこ」を前に思いを語る山田代表(中)

菜種油「油いっこ」を前に思いを語る山田代表(中)

 

 東日本大震災で被災した釜石市内の土地や周辺の耕作放棄地に菜の花を植え、景観づくりや塩害などの土壌改良、菜種油の製造・販売などに取り組む一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表)は11日、「復興のために役立てて」と、市に15万円を寄付した。同法人が推進する「菜の花大地復興プロジェクト」では地元雇用やボランティアとの交流も広がっており、寄付金を受け取った野田武則市長は「生活の場からの復興発信につながる」と感謝した。

 

山田代表「釜石は理想の地」

 

 山田代表(58)はバイオディーゼル燃料で世界一周走行を果たしたフォトジャーナリスト。震災を機に「循環型地域づくり」を発信しようと釜石に移り住み、13年3月に同法人を設立した。

 

 菜の花畑は鵜住居町から栗林町にかけての県道釜石遠野線沿いなどに点在し、広さは約1・5ヘクタールに及ぶ。菜の花には除塩効果があるとされ、土壌改良が期待できるほか、黄色に染まった美しい景観は仮設住宅などで暮らす被災地の住民の心も癒やしている。鵜住居川流域を中心に世界遺産の橋野鉄鉱山までを「菜の花ロード」にする計画も進んでいる。

 

 収穫した菜種は一関市の業者に依頼して搾油。13年から「油いっこ」(180グラム入り、1瓶税込み1200円)の商品名で、橋野町の産直「どんぐり広場」などで販売。「無農薬栽培で健康にもいい」と好評で、昨年度は約100万円の売り上げがあった。これまでに約3千本を売り上げ、益金はラベル貼りなどを手伝った地域住民への賃金として支払われている。

 

 畑の石拾いや草取りなどで年間約1500人のボランティアが市外から訪れるなど、市が人口減対策の柱に掲げる”交流人口”の拡大にも貢献。昨年からスタートした「オーナー制度」には日本郵船など企業や個人から7区画(約0・3ヘクタール)に応募があり、畑の管理を地元住民に依頼することで働く場と収入の確保にもつながっている。

 

県道沿いに広がる菜の花畑

県道沿いに広がる菜の花畑。一帯を「菜の花ロード」にとの計画も

 

 山田代表は「釜石には海と山の両方があり、豊かな水、風、太陽光を自然エネルギーとして活用できる。山間部の橋野地区には電気のない暮らしの知恵も残っており、釜石は自然との共生を具現化できる理想的な場所」と指摘。「菜の花プロジェクトを組み合わせ、もっと地域を元気にしたい」と思いを膨らませる。

 

(復興釜石新聞 2016年5月14日発行 第486号より)

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