甲子柿の品質向上へ 生産組合、剪定講習会 栽培農家の底上げ、ブランド力強化図る


2022/03/17
釜石新聞NewS #産業・経済

甲子町大畑地区の柿畑で行われた甲子柿剪定講習会

甲子町大畑地区の柿畑で行われた甲子柿剪定講習会

 

 釜石市の甲子柿の里生産組合(佐々木裕一組合長、組合員約30人)は2日、柿の木の剪定(せんてい)講習会を甲子町内の柿畑などで開いた。栽培農家の底上げを狙った試み。組合員ら約20人が参加し、高品質で良い柿を届けようと真剣な表情で臨んだ。

 

 昨年、国の2つの制度(地理的表示[GI]保護制度、機能性表示食品)で特性を認められた甲子柿。ブランド力強化を進める中、高品質安定生産に向けた栽培管理、技術向上を図るため、毎年この時期に講習会を開いている。大船渡農業改良普及センター農業普及員の柳本麻衣さん(29)が講師を務めた。

 

 柏木充夫さん(82)の柿畑(甲子町大畑)にある1本の木を使って、剪定作業を実演した。剪定の目的は「葉や実に光が当たりやすいようにすること」と柳本さん。ノコギリやハサミを手に、収穫期に良い実を出すために軸となる枝を決め、不要な枝を切っていった。摘果や収穫など作業をしやすくするのもポイント。「できるだけ木をコンパクトに。切りすぎかなと思うくらいでも大丈夫、枝は伸びる。素直に伸びている枝を残す」などと指導した。

 

柳本さん(左から2人目)の実演に見入る参加者

柳本さん(左から2人目)の実演に見入る参加者

 

 柏木さんは約200坪の畑で柿の木200本ほどを育てる。昨年は例年に比べると不作の年となったが、柏木さん方では数的に若干影響はあったものの、糖度が高く(20度を超えるものも)味のいい柿を出荷することができた。長男幹彦さん(53)によると、地域外からの問い合わせや購入者もいて、認知度の向上を実感。知識を深める講習会の開催を歓迎していて、「枝を切るのはもったいないと思ってしまうが、学びを生かし、実践したい。消費者が面白いと思ってもらえる農業に取り組み、地域を盛り上げたい」と意欲を高めた。

 

洞関地区コミュニティ消防センターで行われた座学では講師の説明に耳を傾けた

洞関地区コミュニティ消防センターで行われた座学では講師の説明に耳を傾けた

 

 組合員2人の畑を回った後、洞関地区コミュニティ消防センターに移動して病害虫防除を中心に座学。組合では害虫アザミウマ、カイガラムシ、病害の落葉病など徹底防除に取り組むことにしていて、柳本さんは計画的な殺菌・殺虫対策について助言した。

 

 甲子柿に魅了された若者が生産に乗り出す動きがあり、今回の講習にも参加。盛岡市の団体職員佐々木路子さん(38)は「ノー知識できた。内容は難しいが、逆に役立てると思う。農福連携と絡めた取り組みにしたい」と前を見据えた。

 

 佐々木組合長(71)は新たな参入を喜ぶ。「今年こそ豊作で終わりたい。消費者に満足してもらえる、おいしい柿を届けるため、みんなでしっかり取り組みたい」と力を込めた。

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