災害時、燃料を優先確保へ 釜石・建設業と石油業界が協力協定


2022/02/23
釜石新聞NewS #産業・経済

震災で得た教訓を生かし協定を結んだ建設業、石油業の関係者

震災で得た教訓を生かし協定を結んだ建設業、石油業の関係者

 

 県建設業協会釜石支部(八幡康正支部長、会員42社)と県石油商業組合釜石支部(磯田志信支部長、同19社)は18日、災害時における燃料等の供給に関する協定を結んだ。県内初の試み。燃料確保が困難となり、復旧活動に支障が出た東日本大震災を教訓に、災害対応を円滑に進められるよう燃料の供給を優先的に行う連携体制を整える。

 

 震災時、被災地の人命救助や物資搬送、各種ライフラインの復旧に向けて優先されたのは、自衛隊や消防・救急車両など緊急車両が通行できるよう、流失した家屋など障害物を取り除いて救援ルートをつくる「道路啓開」の作業。重機などを保有する地元の建設業者が主に担った。

 

 その時に課題になったのが、燃料の確保だった。従来、各建設会社は個別契約するガソリンスタンドで給油するが、震災時は契約スタンドが被災したり、現場から遠くて利用できず、被災を免れた重機があっても稼働できない状態になった。緊急車両として稼働することができても、そもそも被災地では燃料が不足していたため、安定的な確保は難しかった。

 

稼働できる重機を記したホワイトボード。震災の記録として建設業協会釜石支部に残る

稼働できる重機を記したホワイトボード。震災の記録として建設業協会釜石支部に残る

 

 釜石市内も同様の状態で、「動かせる機械を稼働できないのが、もどかしかった」と八幡支部長(62)。残存燃料だけで動かしたり、市外から燃料の供給を受けながら災害対応に当たる中、徐々に市内の供給体制が回復。大事には至らなかったが、連携体制の必要性を認識した。最近では日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震の発生が懸念されていることもあり、昨年、建設業協会から石油商業組合に協定締結について話を持ち込み、協議を重ねてきた。

 

 締結式は釜石市中妻町の建設業協会釜石支部で行い、八幡支部長と磯田支部長(61)が協定書に署名し取り交わした。災害発生時、建設業協会の要請に基づいて重機やダンプカーなどに燃料を優先供給。建設業協会の会員企業は釜石、大槌町にある石油商業組合所属のガソリンスタンドで、どこからでも給油できる。今後、共同訓練の実施など連携の在り方も検討していくことにしている。

 

協定書に署名する八幡支部長(手前)と磯田支部長(手前から2人目)

協定書に署名する八幡支部長(手前)と磯田支部長(手前から2人目)

 

 八幡支部長は「燃料の安定供給により災害対応が円滑に進む。震災から得た教訓を生かした備えが必要だ。地域の安全安心を守るため、同じような取り組みが広まっていけば」と意義を強調。磯田支部長は「いち早く復旧作業に携わってもらうことが大事になる。みんなで助け合っていく気持ちを持つことが重要だ」と加えた。

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