「虎の力を借りて元気なまちに」 釜石市役所や魚市場で仕事始め


2022/01/10
釜石新聞NewS #産業・経済

釜石市魚市場に初水揚げする定置網漁船の乗組員ら

釜石市魚市場に初水揚げする定置網漁船の乗組員ら

 

 2022年の仕事始めとなった4日、釜石市魚河岸の釜石市魚市場で初売り式が行われた。主要魚種の不振に苦しんだ昨年からの挽回を期し、漁業関係者が鏡開きや手締めで豊漁を願った。市内の官公庁や企業も本格始動。新型コロナウイルスの感染収束は依然見通せないが、各現場では引き続き感染対策に当たり、東日本大震災からの復興完遂、産業振興に向けた地域づくりへの決意を共有した。

 

釜石魚市場で初売り式 「創意工夫で魚のまち復活を」好転願う

 

水揚げされた魚を見定め、競りに臨む買い受け人ら

水揚げされた魚を見定め、競りに臨む買い受け人ら

 

 市魚市場では、朝日を受けた定置網漁船の乗組員が白い息を吐きながら水揚げを進め、買い受け人らの威勢のいい掛け声が響いた。この日はサバ・イワシの混在約5トン、タラ約1トンなどが水揚げされ、次々と競りにかけられた。

 

 同市場の21年の取り扱い実績は、昨年末時点で数量が6700トン(前年同期比26%減)、金額は9億6000万円(同28%減)だった。このうち、巻き網船の水揚げが同比で2700トン減り、金額も2億円減。サンマは数量が同比で31%、金額も58%にとどまった。秋サケ漁は水揚げが同比の5%、金額7%と大幅な減産。過去10年間で最低の実績となった。

 

水揚げ増の期待を込めて鏡開きをする関係者

水揚げ増の期待を込めて鏡開きをする関係者

 

 初売り式で、市漁業協同組合連合会の小川原泉会長は厳しい現状を報告した上で、「巻き網船やサンマ船の誘致に力を入れ、水揚げ増強に取り組む。創意工夫、質の高いサービスで地域経済の発展に貢献していく」と力を込めた。

 

 市場開設者の野田武則市長は海洋環境の変化や二酸化炭素排出実質ゼロに向けた取り組みに触れながら、「令和4年は世界が大きく変わるスタートの年。課題を共有し、乗り越えていかなければ。『魚のまち釜石』復活のため、養殖にも力を入れたい。虎の手を借り、水産業が元気になってほしい」と願った。

 

「今年こそ」。漁業関係者は漁の好転に期待を込める

「今年こそ」。漁業関係者は漁の好転に期待を込める

 

 今年の出だしは例年に比べると、「少ない方だ」とこぼす市漁連の佐々木敏行参事。自然環境が相手という漁業の難しさをあらためて感じつつ、「今は獲る漁業から育てる漁業に変わりつつある。ギンザケ、サクラマスの養殖に取り組んでいて、いい感触もある。育てるのも大変なことだが、できることを工夫していきたい」と前を向いた。

 

釜石市役所で仕事始め式 「新しいまちづくりへ奮起を」野田市長

 

野田市長(右)の訓示に聞き入り、気持ちを引き締める市職員ら

野田市長(右)の訓示に聞き入り、気持ちを引き締める市職員ら

 

 野田武則市長は約40人の幹部職員を前に訓示した。「コロナ対応、復興完遂が市政の最重要課題。心の復興に全力を尽くしたい」と強調する一方、「震災の教訓、これまでの10年を踏まえたまちづくりができるような組織、体制を構築すべき年。千里行って必ず千里戻る―という虎の力を心にとどめ、奮起してほしい」と述べた。

 

 2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」という国の方針に触れ、「物事の見方、考え方、生活が一変する、新たな時代づくりの始まり。まちの将来像を描いていかなければ」と指摘。AI(人工知能)の導入などで業務の負担軽減を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)化と合わせ、「ゼロカーボン推進」を強化する考えを示し、「次の10年を目指し、さらにパワーアップしていこう」と呼び掛けた。

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