障害者アートを重機にラッピング 青紀土木が釜石東中生にお披露目


2021/06/19
釜石新聞NewS #文化・教育

障害者アートを重機にラッピング 青紀土木が釜石東中生にお披露目

 

 釜石市鵜住居町の建設会社青紀土木(青木健一社長)は、盛岡市の福祉企画会社ヘラルボニー(松田崇弥社長)との共同企画で、知的障害者が描いたアート作品を重機にラッピング。3日、デザインの投票を行った釜石東中(米慎司校長、生徒97人)の生徒の前でお披露目し、世界に1台の〝ラッピッグバックホー〟の誕生を共に祝った。

 

 この企画は、「知的障害を個性として捉え、多様性を認め合える社会」の実現を目指すヘラルボニーの事業理念に共感した青木社長が発案。子どもたちにも、障害の有無に関わらず、互いを尊重し共に生きることの大切さを知ってほしいと、地元の東中生の参画を得て実現させた。

 

 昨年12月、現2、3年生はヘラルボニーの松田文登副社長の講話を聞き、障害者への理解を深めた。この際、バックホーのラッピング候補5作品から1点を選ぶ投票を実施。作品は、花巻市のるんびにい美術館で活動する知的障害を持つアーティスト2人によるもので、投票の結果、工藤みどりさんの作品が選ばれた。多彩な色づかいと独創性豊かなタッチで描かれた作品は、気仙沼市の業者によってラッピングされた。

 

工藤みどりさん(るんびにい美術館所属)の作品がラッピングされた青紀土木のバックホー

工藤みどりさん(るんびにい美術館所属)の作品がラッピングされた青紀土木のバックホー

 

 3日は全校生徒の前でラッピッグバックホーを披露。生徒の代表がアームなどの操作も体験した。澤本航汰君(3年)は「いろいろな色があってきれい。障害のある方とこのような形で関われて良かった。現場で使われて、多くの人に見てもらえるようになれば」、川﨑拓真君(2年)は「自分が選んだ作品だったのでうれしい。これを機に、障害を個性としてみんなで認め合えるようになりたい。他の障害者の作品に目を向けるきっかけにもなれば」と期待した。

 

自分たちがデザイン投票を行ったバックホーの完成を拍手で祝う釜石東中の生徒

自分たちがデザイン投票を行ったバックホーの完成を拍手で祝う釜石東中の生徒

 

生徒の代表は社員の指導で操作も体験した

生徒の代表は社員の指導で操作も体験した

 

 青木社長は、ヘラルボニーが工事現場の仮囲いに障害者アートを施す活動を目にし、同社に注目。自分たちが関わることで共生社会実現に貢献できればと、今回の企画を立ち上げた。「私自身、震災を機に地域の未来に対しての責任を考えるようになった。震災直後、がれきの撤去に活躍したバックホーが、10年たって地域を支える新たな一面を示せたことは意味あること。見た人が興味を持ち、多様性を考える一歩になれば」と願った。

 

 ラッピングバックホーは工事現場での稼働のほか、子どもたちの現場見学会での体験乗車などで使われる予定。

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