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潮風を感じながら… うのスタ周辺で52回目の釜石健康マラソン 老若男女 仲間と走る喜び分かつ

第52回釜石健康マラソン大会。最もエントリーが多かった3キロの部

第52回釜石健康マラソン大会。最もエントリーが多かった3キロの部

 
 第52回釜石健康マラソン大会は10日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムを発着点に開かれた。市、市陸上競技協会、市体育協会が主催。市内外の2歳から88歳の男女304人が参加し、幼児の200メートルから一般の5キロまで各種コースで健脚を競い合った。スポーツの日(旧体育の日)にちなんだ同大会は釜石の秋を彩る伝統のスポーツイベント。甲子町の市球技場周辺から会場を移し、今年で7回目となった。
 
 開会式の後、芝グラウンド内に設けた発着点から部門ごとにスタートした。2024年に新設された中学生以上が対象の「5キロアップダウンの部」からスタート。根浜海岸沿いから震災後に整備された高台の市道箱崎半島線を通ってスタジアムに戻るコース。高低差のある坂道がいくつかある難コースに13歳から88歳の男女19人が挑んだ。続く「5キロの部」は小学校高学年以上が対象。根浜と新川原に設けた2つの折り返し地点を経由してゴールを目指した。小学生は小佐野ミニバス少年団の団員を中心に男女12人が挑み、日頃のスポーツ活動で培った体力をいかんなく発揮した。
 
5キロアップダウンの部のスタート。男女19人がエントリーした

5キロアップダウンの部のスタート。男女19人がエントリーした

 
スタジアム管理棟裏手ではスタート直後のランナーを仲間や家族が応援

スタジアム管理棟裏手ではスタート直後のランナーを仲間や家族が応援

 
鵜住居川水門周辺は急な坂道のアップダウンがある。根浜の折り返し地点から戻ってきたランナーは力を振り絞って前に進む

鵜住居川水門周辺は急な坂道のアップダウンがある。根浜の折り返し地点から戻ってきたランナーは力を振り絞って前に進む

 
 この後、小学校中・高学年と60歳以上の「3キロの部」、小学校低・中学年の「2キロの部」、小学校低学年のほか親子で走る「1.15キロ(スタジアム外周)の部」、幼児の「200メートル(グラウンド内)の部」と続いた。参加者は気持ちのいい晴天の下、仲間と走る楽しさを体感し、ゴール後は完走の喜びを分かち合った。
 
 釜石市内のこども園に通う仲本凪沙ちゃん(5)は自分から出たいと希望し、同大会初参加。200メートルを走り切り、「疲れても負けないで走れた」と頑張れた自分に満足げ。見守った母康子さん(37)は「(娘は)普段から走ったりする外遊びが大好き」と話し、くじけずに完走した姿に成長の一端を感じた様子。「これからも何ごともあきらめずに挑戦してほしい」と自主性に期待した。
 
栗林ラビー(バレーボール)の団員(赤Tシャツ)は仲間の声援にこの笑顔!

栗林ラビー(バレーボール)の団員(赤Tシャツ)は仲間の声援にこの笑顔!

 
3キロの部は市内のスポ少団員が多くを占めた。子どもたちに交じって60歳以上のランナーも懸命にゴールを目指す

3キロの部は市内のスポ少団員が多くを占めた。子どもたちに交じって60歳以上のランナーも懸命にゴールを目指す

 
ゴール後は仲間と頑張りをたたえ合う姿も。シニアランナーも続々ゴール!(写真上)最後までデッドヒートを繰り広げる小学生(同下)

ゴール後は仲間と頑張りをたたえ合う姿も。シニアランナーも続々ゴール!(写真上)最後までデッドヒートを繰り広げる小学生(同下)

 
1.15キロ(スタジアム外周)の部のスタート。勢いよく駆け出す小学校低学年児童

1.15キロ(スタジアム外周)の部のスタート。勢いよく駆け出す小学校低学年児童

 
 盛岡市の山田毅さん(40)は5キロ一般男子の部で2位に入った。「快晴で海風も感じられて、とても気持ち良く走れた。風光明媚(めいび)でいいですね」とさわやかな表情。同大会には5年ほど前から参加。「市民マラソンは老若男女が楽しく走れるのが魅力。ここは復興スタジアムの緑の芝生を走れるのも心地いい」とほほ笑む。釜石の企業に勤める後輩の縁で10年前に「釜石市駅伝クラブ」に加入。釜石市チームのメンバーとして駅伝大会にも出場する。
 
 山田さんら駅伝の釜石市チームが次に挑むのが11月23日に開催される第85回一関・盛岡間駅伝競走大会(通称:日報駅伝)。今大会は85回の節目と主催する岩手日報社の創刊150周年を記念し、郡市町村対抗レースに一本化され、新たに女子や中学生が走れる区間が設けられている(総距離95.2キロ、13区間)。この大会に釜石市チームの中学生メンバーとして、釜石中の内山銀さん(2年)、菊池星那さん(2年)、藤原莉那さん(1年)が出場する。3人は同校の特設駅伝部に所属し、今月2日に開催された第41回県中学校駅伝大会では男子が8位、女子が15位(ともに39チーム中)と昨年より大幅に順位を上げた。
 
11月の日報駅伝に釜石市チームのメンバーとして出場する釜石中の(左から)内山銀さん、菊池星那さん、藤原莉那さん

11月の日報駅伝に釜石市チームのメンバーとして出場する釜石中の(左から)内山銀さん、菊池星那さん、藤原莉那さん

 
 3人は今回の釜石健康マラソンにも参加。5キロアップダウン一般男子の部に参加した内山さんは2位。5キロ一般女子の部に参加した藤原さんは1位、菊池さんは3位に入る健闘を見せた。大会で5キロを走るのは3人とも初めて。内山さんは「アップダウンがきつかった」、藤原さんは「スタジアムに戻ってくるあたりがきつかった」、菊池さんは「きついところもあったが、ゴールできて達成感がある」と話し、1カ月後の駅伝大会に向け、いいトレーニングになった様子。
 
健康マラソンでは5キロの部で体力づくり。駅伝の先輩メンバーも複数参加した

健康マラソンでは5キロの部で体力づくり。駅伝の先輩メンバーも複数参加した

 
 日報駅伝で1区(3.2キロ、中学女子)を走る藤原さんは「(選手は)3年生とか先輩が多いと思うが、ちゃんとついていけるように頑張りたい」、2区(3.8キロ、中学男子)を走る内山さんは「(力のある他地域の選手に)少しでも食らい付いて、できるだけ上の順位でたすきをつなげるようにしたい」、3区(2.1キロ、中・高・一般女子)を走る菊池さんは「一般も入るので速い選手が多いと思うが、まずは楽しみたい」と、それぞれ抱負を語った。
 
 この日はマラソンの後、恒例のリレーの部もあり、参加チームの熱い戦いで盛り上がった。レースの後は、商品券や仙人秘水が当たるお楽しみ抽選会も行われた。
 
リレーの部は大盛り上がり。一般の部にはスポ少の保護者チームも参加した

リレーの部は大盛り上がり。一般の部にはスポ少の保護者チームも参加した

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令和8年釜石まつり

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令和8年釜石まつりを10月16日(金)・17日(土)・18日(日)の3日間の日程で開催します。
16日は尾崎神社宵宮祭、17日は曳き船まつり(尾崎神社神輿海上渡御)、日本製鉄山神社宵宮祭、18日は両神社神輿合同市内渡御などを予定しています。

 

日程

 
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令和8年10月16日(金)~18(日)

10月16日(金)

18:00 尾崎神社宵宮祭(尾崎神社)

10月17日(土)

9:00 「曳船まつり」釜石市魚市場出港
11:30 「曳船まつり」尾崎神社神輿海上渡御(釜石港内)
15:00 尾崎神社例大祭(尾崎神社)
17:30 日本製鉄山神社宵宮祭(山神社)
 
<花火を打ち上げます!>
17日(土) 18:00〜(30分程度を予定)
観覧場所:港町岸壁沿い、グリーンベルト
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【注意事項】
・花火の鑑賞は指定の場所でお願いします。
・打上げは30分程度を予定しております。
・会場には仮設トイレの設置はありません。
・花火会場には露店等の出店はありません。(無許可での出店は禁止します)
・ドローンを使った撮影飛行は禁止です。

10月18日(日)

7:50 尾崎神社出御祭(尾崎神社)
7:50 日本製鉄山神社例大祭(山神社)
11:20 尾崎神社・山神社合同祭(シープラザ釜石西側駐車場)
12:10 両神社神輿市内渡御出発(シープラザ釜石西側駐車場→釜石市魚市場)
14:05 神輿還御式(釜石市魚市場)
15:30 釜石市魚市場出港
 

交通規制

 
18日(日)
8:30~11:00
片側交通規制:鈴子町北日本製鉄所正門前から魚市場前
8:30~11:00
1車線規制:小川町親和橋付近から、新町、上中島町を経由し、鈴子町北日本製鉄所正門前
10:30~15:00
通行止め:大渡町大渡橋交差点から只越町ツルハドラッグ釜石前交差点
 
※気象条件等でイベントの内容が変更になる場合があります
※イベント中、無人飛行機(ドローン)を使った撮影は禁止します。
 

主催

 
釜石まつり実行委員会
 

問い合わせ

 
釜石観光案内所:TEL 0193-27-8172
本部携帯(当日):TEL 080-4516-0333

かまリン

(一社)釜石観光物産協会

釜石市内の観光情報やイベント情報をお届けします。

公式サイト / TEL 0193-27-8172 / 〒026-0031 釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石

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三陸の海「今」と「これから」 釜石で「いわて水産アカデミー」研修交流会 漁業者ら共有

漁業関係者らが海洋環境の変化と対策を考える研修交流会

漁業関係者らが海洋環境の変化と対策を考える研修交流会

 
 岩手県内の漁業現場で即戦力となる人材を育てる「いわて水産アカデミー」(同アカデミー運営協議会主催)の研修交流会が8日、釜石市天神町の市役所で開かれた。研修生11人のほか、アカデミー修了生、研修を受け入れる漁業者、協議会員ら約40人が参加。漁場となる三陸の海の「今」と「これから」に理解を深め、変化に対応した取り組みを考え共有する機会にした。
 
 同アカデミーは岩手県、県内の漁業関係団体などが連携し、2019年に開講。8年目を迎え、修了した約50人が各地の海で漁業者として活躍している。情報交換の場ともなる研修交流会を沿岸各地の持ち回りで開催しており、釜石では2回目。
 
 三陸の海は海水温の上昇や漁業資源の減少、漁場・漁期の変化など、気候変動によるものと考えられるさまざまな影響が続く。海を糧とする漁業者は不安定な経営を余儀なくされ、担い手を受け入れる環境へ厳しさももたらす状況。「今」を知るため、三陸沖の海洋環境に関する調査研究に取り組む国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)主任研究員の美山透さん(専門は海洋物理学)を講師に迎え、基調講演を行った。
 
基調講演で三陸沖の海洋状況を解説する美山透さん(左の写真)

基調講演で三陸沖の海洋状況を解説する美山透さん(左の写真)

 
 テーマは「三陸の海を読み解く~気候変動がもたらす影響と最新の予測」。三陸の海は親潮(北から来る冷たい流れ。栄養が多く、魚や海藻を育む)、黒潮(南から来る暖かな流れ。栄養は少ない)、津軽暖流(日本海から津軽海峡を抜けてくる暖かい流れ)という3つの流れが出合うことで豊かな漁場となった。日本近海の海面水温は100年の長期変化で見ると平均で1~2度上昇しているが、「近年は表面だけでなく、海の中も暖まっている」と美山さん。25、26年の夏に三陸沖を調査した結果を交え、海洋環境変動の要因を解説した。
 
三陸の海で起きていることや今後の見通しに関心を持ち聴講

三陸の海で起きていることや今後の見通しに関心を持ち聴講

 
 キーワードは「スーパーエルニーニョ」「黒潮大蛇行」「海洋熱波」。海水温の上昇は地球温暖化による「ゆっくりとした底上げ」に加え、海洋熱波(ある海域の過去​の平年値を大幅に上回る水温が5日以上続く現象)が同時に起こることで「上乗せ」されているという。
 
 さらに、親潮の勢いが著しく弱く、黒潮が極端に北上。一因となる黒潮大蛇行(日本の太平洋側を流れる海流が南に大きく湾曲する)は長引いたものの、「26年6月中旬頃に完全終了と見られる」と説明した。太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続くエルニーニョ現象も「過去のパターンではなく、おきて破り」の様相。研究者としても困惑する状況があり、「温暖化で自然のリズムが崩れてしまったのではないか」と指摘した。
 
 「三陸の海では普通ではないことが起こっている。暖かい海流の影響は続くだろう」と、改めて強調した美山さん。研究・調査のほか、海洋情報サイト「黒潮親潮ウォッチ」で黒潮流路の変化とその予測について情報発信を行っていて、JAMSTECなどさまざまな機関が提供する情報サイトを天気予報と同じように使い分けながら海況を予測し「備える」ことを勧めた。
 
変化する三陸の海と養殖業への影響を説明する山口正希さん

変化する三陸の海と養殖業への影響を説明する山口正希さん

 
 岩手県水産技術センター増養殖部の山口正希部長は、高水温化に対応した養殖の取り組みについて話題を提供。ホタテやマガキなどの貝類、ワカメ、コンブなどの海藻類の養殖はともに厳しい状況が続いており、それに代わるものとして貝類ではアサリ、ヨーロッパヒラガキ、ムラサキイガイ(ムール貝)、海藻類ではワカメ生産の回復に向けた品種改良や作業の効率化、省力化などの研究を進めていることを紹介した。
 
 意見交換では、修了生や漁業者らが漁に出て感じていることを伝え合った。高水温化や海洋環境の変化に対する受け止めは共通。大船渡市三陸町越喜来でホタテ養殖に携わる修了生は「自然にはあらがえず、どう対応するかが重要」と話し、稚貝をロープに結びつける「耳吊(づ)り」と呼ばれる作業の時期を春から秋に変えてみるといった挑戦を紹介した。宮古市重茂で海藻養殖に取り組む漁業者は天然コンブを確保する難しさを吐露。工夫として養殖コンブから種をとる生産の動きを知らせた。
 
漁業者が現場で感じていることや工夫していることを情報交換

漁業者が現場で感じていることや工夫していることを情報交換

 
 釜石で研修する三上朗央さん(49)は、平田の尾崎白浜でホタテ養殖の作業に携わっていることもあり、先輩漁師たちが話した工夫点に関心を寄せた。唐丹町の海で各種の養殖やイカ釣りの遊漁船事業に取り組む藤原和貴さん(28)は「先輩たちに教わりながら、のびのびと仕事をさせてもらっている。ムール貝養殖という新しい挑戦にも関わることができ、学びになる。作業の改善点や伸ばしていけることを自分なりに考え、将来に生かせたらいい」と充実した表情で話した。

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ひたむきプレー!釜石の高校球児「刺激を成長に」 招待試合で一関学院に挑む

一関学院を迎えた高校野球招待試合。釜石勢が奮闘した

一関学院を迎えた高校野球招待試合。釜石勢が奮闘した

 
 釜石地域の高校球児たちが、岩手県内の強豪校に挑む高校野球招待試合が3日、釜石市平田の平田公園野球場であった。春夏合わせ甲子園出場9回を誇る一関学院高(一関市)に対し、釜石、釜石商工の2校はひたむきなプレーで奮闘。各チームの選手の家族や野球少年ら約230人が熱視線を送った。
 
 招待試合は釜石市野球協会(福成和幸会長)、平田球場を管理している市体育協会(小泉嘉明会長)が主催。沿岸地域のチームと強豪校との対戦の機会を設けるほか、地域の子どもたちに高校生のプレーを見てもらい進路選択の参考にしてもらおうと、初めて企画した。一関学院には釜石、大槌地区から進学した選手がいることもあり打診。秋の県大会を終え公式戦のない時期に入る期間にと日程を調整した。
 
 一関学院(高橋滋監督)は1、2年生56人で来釜し、2試合に臨んだ。第1試合は1年生を中心に釜石商工と対戦。第2試合は2年生を中心に釜石と戦った。4-3、9-4で、いずれも一関学院が勝利。夏の大会後に結成された新チーム(大高諒主将)は結束を高める秋季大会(9月開催)でベスト8にとどまり、「(釜石勢との練習試合で)具体的な課題が見えた。貴重な機会を糧に成長を」と気を引き締めた。
 
しっかり守り、長打で走り得点を重ねた一関学院

しっかり守り、長打で走り得点を重ねた一関学院

 
 その秋季大会で、釜石(菊池暁監督)は波乱を起こした。夏準優勝の盛岡大付属高、沿岸第1代表の高田高を破り、8強入りを果たした。招待試合でもその片鱗をのぞかせ、3点を追う4回に打線がつながり一挙4点を奪い逆転。応援席を沸かせた。
 
釜石は果敢なスライディングで塁を狙う

釜石は果敢なスライディングで塁を狙う

 
4回に4得点を挙げた釜石。勢いを見せた

4回に4得点を挙げた釜石。勢いを見せた

 
 「下位打線からつながり、しっかり点を返せた」。釜石の佐々木蒔友主将(2年)は振り返った。選手14人、マネジャー1人の計15人で挑んだ秋季大会では「チーム内でやることをしっかり確認し合っていたことがいい結果につながった」と言い、“勢い”のあるチームの力がどこまで通用するか確かめようと招待試合に臨んだ。
 
 釜石は1点先取した直後の攻撃で一関学院に追いつかれ、継続的に点を積み重ねられた。“地力”のある一関学院の選手一人一人のプレーを間近に見て、佐々木主将は「足りないところを見つけられる試合だった。肩の強さ、声がけ、次のプレーを予測した動きとか、いい刺激になった。春に向け、身体、技術、気持ちの面もみんなでレベルアップできるよう練習したい」と意欲を高めた。
 
集中して練習試合に臨んだ釜石高の選手たち

集中して練習試合に臨んだ釜石高の選手たち

 
 選手を見守る菊池監督(47)はベンチから「ゆっくり丁寧に」「冷静に」などと声をかけ続けた。秋の大会が終わって「冬場の鍛錬」に入る時期に、「背番号を付け、緊張感を持つ中で試合ができるのはありがたい」と歓迎。個々の能力、走力、投力、パワーなど強豪校の選手たちとの違いを感じながらも、「(強豪校に)打たれる、走られるのは当たり前。一つ一つのプレーを丁寧に、とれるアウトをしっかりと積み上げ最少失点でおさまる、そんな野球をしたい」と先を見据える。
 
一塁側の釜石ベンチ。菊池暁監督(左奥)らが見つめる

一塁側の釜石ベンチ。菊池暁監督(左奥)らが見つめる

 
 菊池監督は、釜石高の前身・釜石南高野球部OB。1996年春、釜石南が選抜高校野球大会(センバツ)で甲子園初出場を果たした時、主将としてチームを率いた。30年ぶりに監督として母校に戻ったが、選手たちに「あの時(センバツ)の経験は伝えていない」。なぜか。「当時とは取り巻く環境が違うから」。今ある環境の中で日々の練習に向き合う姿勢が大事で、「ベストを尽くし、行けるところまで行く。可能性はある」と言葉に熱を込める。
 
 秋季大会での2勝は「たまたま」と言いつつ、「持ち味を出し切り、勢いがいい方向に流れれば結果を残せる」と、菊地監督は信じる。「冬の練習を頑張ってもらう。基礎能力、体力を伸ばしながら、自分たちがやりたい野球を楽しめるように」と期待を込め、ハッパをかける。
 
 試合後に言葉を交わしていた菊池、高橋両監督。次のシーズンに向け、すでに動き出しており、「互いに高め合いながら頑張っていきましょう」と約束した。
 
試合後に一関学院の選手を見送る釜石高野球部

試合後に一関学院の選手を見送る釜石高野球部

 
 招待試合を企画し、日程調整などを担った釜石市体育協会事務局長の佐久間定樹さん(44)は「接戦、内容のある試合になったようで良かった。子ども、特に中学生に見てもらい、この地域で野球を続けてくれるといい。競技の底上げにつながれば」と願う。そして、高校球児たちが冬場の鍛錬を経て成長した姿を見る時を楽しみにしていた。
 

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甲子中生徒会発案! 地域の先輩に学ぶミニ授業 6達人が人生のヒント、地域の魅力を伝授

授業をしてくれた地域の先輩方と記念写真に収まる甲子中の生徒ら

授業をしてくれた地域の先輩方と記念写真に収まる甲子中の生徒ら

 
 釜石市の甲子中(樋岡繁典校長、生徒111人)で1日、スポーツや文化など各種分野で活躍する地域の先輩を講師に迎えてのミニ授業が行われた。同校生徒会が「新たな形で地域とのつながりを深めたい」と発案。思いを聞いた学校関係者が動き、6人の講師を招いての学びの場が実現した。生徒らは地元の“達人”から、豊かな人生を歩む上でのヒントや地域の魅力を聞き、今後の生活や進路への参考にした。
 
 「甲子プロフェッショナルズ~教科書にはない、達人の流儀~」と題した初の企画は、6人の講師が20分ずつ2回行う授業を、生徒が希望する2授業を選択して受けるという形で行われた。講師を務めたのは▽小久保謙治さん(郷土芸能)▽桜庭吉彦さん(ラグビー)▽鈴木光幸さん(絵画)▽千田雅恵さん(読み聞かせボランティア)▽中村ひろみさん(箏)▽藤井サヱ子さん(地域活性化・甲子柿)。それぞれに情熱を持って取り組んできた各種活動から得たものを生徒らに伝えた。
 
はじめに体育館で講師6人が紹介された。生徒はどんな話が聞けるか期待感を高めた

はじめに体育館で講師6人が紹介された。生徒はどんな話が聞けるか期待感を高めた

 
 ラグビー元日本代表で、日本製鉄釜石シーウェイブスシニアアドバイザーの桜庭吉彦さん(60)は「ラグビーを通じて学んだこと」をテーマに授業。競技の特性、精神から自身が得たこととして、▽支えてくれる人に感謝の気持ちを伝える▽互いの個性、違いを理解し、認め合う▽コミュニケーションをとり信頼関係を築く―を挙げた。19歳で初めて日本代表に選ばれ、ラグビーワールドカップ(W杯)に3回出場。ニュージーランド戦で大敗した経験から「負けや失敗にはたくさんの学びがある。苦しい、悔しい時こそ成長のチャンス」とした。釜石市が会場となった2019年のW杯は台風の影響で1試合(ナミビア対カナダ)が中止となった。試合ができなかった選手らは被災地域で泥かきなどの奉仕活動を展開。桜庭さんは「人のために何ができるかを考え、行動してほしい」と願った。
 
桜庭吉彦さんはラグビー競技を通じて得た教訓などを話した。これからの人生に役立つ話が満載

桜庭吉彦さんはラグビー競技を通じて得た教訓などを話した。これからの人生に役立つ話が満載

 
 松倉町内会郷土芸能部長の小久保謙治さん(53)は地域で伝承する太神楽と虎舞について紹介した。松倉太神楽は江戸時代に、盛岡藩の庇護(ひご)を受けた芸能集団「七軒丁」(現盛岡市仙北町)から伝えられたとされる。小久保さんは150年以上前のものとみられる初代の獅子頭を見せながら、「地域の人たちの健康や安全、繁栄を願って演じられてきた」と話した。松倉虎舞は現山田町の大沢虎舞からもたらされ、市内14団体の中でもかなり古いもの。小久保さんは「頭や踊りには代々受け継がれてきた思いが込められる。伝統を継ぐだけではなく、最も大事なのは郷土芸能を通して地域や仲間がつながること。困っている人に手を差し伸べるなど人としての生き方も含めての郷土芸能」と教えた。
 
小久保謙治さんは地域に伝わる松倉太神楽、松倉虎舞について紹介。生徒は郷土芸能が持つ役割などに理解を深めた

小久保謙治さんは地域に伝わる松倉太神楽、松倉虎舞について紹介。生徒は郷土芸能が持つ役割などに理解を深めた

 
 地元の名産「甲子柿」の生産者で、地域資源を生かした震災復興で注目された藤井サヱ子さん(81)は地域への思いを話した。両親の介護を機に2000年にUターン。休耕田をコスモス畑にし、産直や創作農家レストランの開設で地域に新たな風を吹き込んだ。11年に発生した東日本大震災後は、遊び場を失った子どもたちのために公園を整備。隣接する工場の壁に気持ちが明るくなる壁画を施す活動も行った。関係者と「甲子柿を守る会」も立ち上げ、甲子柿を原料とした加工品開発にも着手。一連の活動は地域に人を呼び込むことにつながった。藤井さんは多くの人との関わりに感謝しながら、今後の課題として後継者不足を挙げた。
 
甲子に新たに人が集う場所を作った藤井サヱ子さん(右)。震災後は子どもたちや地域を元気にするために尽力

甲子に新たに人が集う場所を作った藤井サヱ子さん(右)。震災後は子どもたちや地域を元気にするために尽力

 
 生徒らはそれぞれの選択授業で講師の人生や信条、地域の歴史や文化に触れ、多くの発見や心に響くことがあった様子。佐々木美怜さん(2年)は甲子柿と絵画の授業を受け、「自分の強みや趣味を通して人脈が広がり、新しい考えや生活につながっていることが分かった。自分もいい意味で周りを巻き込み、新しいことにチャレンジしたい」と刺激を受けた。地域の人から直接話を聞くことで、「今まで“物”しか見えていなかったが、その裏にある内外の人たちの尽力で今の釜石があることに感謝の気持ちが芽生えた」とも。
 
67歳から水彩画を始めた鈴木光幸さんは入選作品を見せながら、絵画を始めた動機や魅力などを伝えた

67歳から水彩画を始めた鈴木光幸さんは入選作品を見せながら、絵画を始めた動機や魅力などを伝えた

 
甲子小で読み聞かせボランティアを行う千田雅恵さんは絵本の魅力を紹介。生徒も声を出して絵本の世界を楽しんだ

甲子小で読み聞かせボランティアを行う千田雅恵さんは絵本の魅力を紹介。生徒も声を出して絵本の世界を楽しんだ

 
文化箏の教室を開く中村ひろみさんは弾き方を教え、和楽器の音色に触れてもらった

文化箏の教室を開く中村ひろみさんは弾き方を教え、和楽器の音色に触れてもらった

 
 閉会式で講師を代表しあいさつした桜庭さんは「それぞれに得た学びをこれからの学校生活や社会に出た時の参考にしてもらえれば。たくさんの人に支えられて今があるということも今日の授業で気付くことができたのでは。地域に誇りを持ち、ぜひ甲子地区を盛り上げるように取り組んでほしい」と生徒にエールを送った。
 
 同校生徒会はこれまで「てくてくクリーン大作戦」という地域の清掃活動を続けてきたが、クマの出没増で昨年度から実施が見送られていた。同活動は地域を歩いて回ることで、気付かなかった良さを再発見でき、住民とコミュニケーションを取れる機会にもなっていたことから、生徒から復活を望む声が多かった。そこで生徒会執行部が考えたのが、清掃活動に替わる新たな取り組み。学校運営協議会の場で、「地域とのつながりを絶やしたくない」との思いを伝え、協力を願った。生徒会が提案した幾つかの案にアドバイスをもらい、最終的に今回のミニ授業の企画に至った。
 
 生徒会長の米澤悠真さん(3年)は「教科書では学べないことや学校の先生方では教え切れないことをたくさん知ることができた。地域と関わりたいという生徒の声に応えられたのは、(運営協委員や講師ら)地域の皆さんの協力のおかげ」と感謝。自身はラグビーの授業で「目標を達成するために何をすべきか考え行動に移すこと、相手を尊重することの大切さ」を実感。松倉虎舞に参加しており、「地元芸能の由来や踊りの意味を知れた。次に踊る時は今回の学びも生かしたい」と心にとどめた。
 
閉会式では各学年の代表が感想を発表。それぞれに貴重な学びの機会となったよう

閉会式では各学年の代表が感想を発表。それぞれに貴重な学びの機会となったよう

 
 甲子小・中の学校運営協委員で、今回の講師集めに尽力した鈴木みどりさん(69)は「生徒たちは真剣に講師の話を聞いていた。いろいろな分野の方々が集まったので楽しかったのでは。地域の方も甲子の子どもたちを応援したいと講師を引き受けてくれたと思うので、そういう気持ちも受け止めてもらえたら」と期待した。

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釜石市議会、新庁舎で初の議員全員協 進むデジタル化 電子表決、12月から本格運用

新庁舎に移転後、初めて開かれた釜石市議会の議員全員協議会

新庁舎に移転後、初めて開かれた釜石市議会の議員全員協議会

 
 釜石市議会(千葉栄議長、定数18)は9月28日、市役所新庁舎への移転後初めてとなる議員全員協議会を新議場で開催した。12月に開会する定例会の本会議から本格的に運用する押しボタンによる電子表決のデモンストレーションを実施。新たに設けられた質問者席、議場内モニター、字幕表示など設備の運用を確認した。
 
 新市庁舎は行政機能を集約し、ユニバーサルデザインを取り入れたほか、災害時には災害対策本部として機能する防災拠点となる。市民が交流できる空間も設け、「市民に開かれ、親しまれる庁舎」を目指す。
 
 地元産材を多用した新議場は、各議席への電源の設置や電子表決システムなどを導入しデジタル化を推進。本会議などの審議で資料を見るのに使うため貸与されているタブレット端末などの充電ができ、ペーパーレス化を進める基盤とする。大型モニターを4台設置。発言者の映像や氏名、役職、議案名、残り時間、表決状況などが表示される。
 
電子表決の結果が映し出されるモニター

電子表決の結果が映し出されるモニター

 
電子表決の投票ボタン

電子表決の投票ボタン

 
 これまでの起立による表決から、議席のボタンで賛否を示す方式に変更する。電子表決は手元の賛否ボタンを押すと、議場のモニターに表示される仕組み。議員の名前とともに賛成は白、反対は青色が点灯し、集計結果も映し出される。電子表決によって各議員の賛否が判別しやすくなるほか、起立が難しい議員も態度を示すことができる利点もある。
 
 一般質問では、総括質問後に自席へ戻る従来の方式から、質問者席に着座して再質問を行う方式に変更。議場内のモニターには質問の残り時間を表示し、60分からカウントダウンする。
 
 デモンストレーションでは、実際に電子システムを使った表決や一般質問の進行を予行演習。議員からは表決の表示方法や質問時の着席位置、時間表示などについて質問が上がり、今後実際に運用する中で改善していくことを確認した。
 
一般・報道機関傍聴席には「音声字幕表示」モニターを設置

一般・報道機関傍聴席には「音声字幕表示」モニターを設置

 
議員席の背後にある傍聴席。特別席は防音ガラスを備える

議員席の背後にある傍聴席。特別席は防音ガラスを備える

 
 傍聴環境も充実させ、音声を字幕で表示するモニターを設置。防音ガラスで区切った特別傍聴席は乳幼児を連れた人や車いす利用者などの入場も想定しスロープを設けた。会期中、庁舎内では各階に設置されたモニターで議会の様子を視聴することもでき、以前より来庁者が議会を見やすい環境を整えた。
 
 新たな議場とシステムに、議員らは「賛否が瞬時にはっきりするのはいい。起立では周りを確認しなければならなかったから」「市民に議会を見てもらう機会が増えるのでは」などと期待。「市民に開かれた議会」を目指し、新たな設備を生かした議会運営を進める方針で、千葉議長は「釜石の未来のため、より活発で実りの多い議論を交わしていく」と述べた。

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自然共生サイト認定「片岸公園」の環境は? 親子で生き物探し 外来植物の駆除も

「みのすけキッズチャレンジデー」でトンボとりを楽しむ親子=片岸公園

「みのすけキッズチャレンジデー」でトンボとりを楽しむ親子=片岸公園

 
 沼や池、草地にさまざまな生き物が生息する釜石市片岸町の片岸公園で3日、子どもたちが自然に親しむイベントが開かれた。「みのすけキッズチャレンジデー」と銘打った初の企画で、観光地域づくり法人かまいしDMCが主催。6月に環境省の「自然共生サイト」に認定された同公園の環境を知り、保全への意識を高めてもらおうと開催した。子どもたちは3つのミッションに挑戦。楽しみながら自然環境への学びを深めた。
 
 市内外から親子ら41人が参加した。ミッション(体験メニュー)として用意されたのは生き物探し・観察と外来植物の駆除。スタッフが水中から捕獲した魚や虫などを観察し絵に描くコーナーでは、ドジョウやヌマチチブ(ハゼの一種)、各種トンボのヤゴ(幼虫)、コオイムシなどが見られた。子どもたちは好きな生物を選び、じっくり見ながら絵を描いた。
 
水中から捕獲したさまざまな生き物に目がくぎ付け。「何を描こうかな?」

水中から捕獲したさまざまな生き物に目がくぎ付け。「何を描こうかな?」

 
魚やエビ、ヤゴ(トンボの幼虫)などを観察しながらお絵かき

魚やエビ、ヤゴ(トンボの幼虫)などを観察しながらお絵かき

 
 水辺環境がある公園内にはさまざまな種類のトンボが生息する。子どもたちは虫取り網を手にトンボとりに挑戦。この日は大型のギンヤンマから小型のイトトンボまで複数の種類が確認できた。おまけでチョウやバッタ、コオロギなども捕獲。間近で観察した。
 
虫取り網でトンボなどを捕獲。ミッションをクリアするとシールがもらえる(右下)

虫取り網でトンボなどを捕獲。ミッションをクリアするとシールがもらえる(右下)

 
「何か入ったかな?」草地ではトンボやチョウ、バッタなどさまざまな昆虫が見られた

「何か入ったかな?」草地ではトンボやチョウ、バッタなどさまざまな昆虫が見られた

 
 意外と人気だったのが、外来植物の「セイタカアワダチソウ」の駆除。市内でも元々見られていた植物だが、ここ2~3年で特に目立つようになり、ススキなど他の植物の成長を妨げる要因にもなることから根から引き抜く作業を行った。大きいものでは草丈が2メートルを超えるものもあり、子どもたちは力を合わせて引き抜いた。
 
子どもたちは自分の背丈よりも大きい外来種の「セイタカアワダチソウ」を根から引き抜いた

子どもたちは自分の背丈よりも大きい外来種の「セイタカアワダチソウ」を根から引き抜いた

 
今の時期、黄色い花を付ける「セイタカアワダチソウ」。繁茂しないよう根こそぎ抜き取る

今の時期、黄色い花を付ける「セイタカアワダチソウ」。繁茂しないよう根こそぎ抜き取る

 
 3つのミッションをクリアした参加者は、スタッフからもらった昆虫シールを台紙に貼りつけ受付へ。箱崎町で生産されるイチゴを使ったパウンドケーキ、釜石鉱山から湧き出る天然水で作られた化粧水をプレゼントとして受け取った。
 
 釜石市内から参加した久保夢空瑠さん(9)は「真っ赤なトンボを捕まえた。家の周りにもトンボはいるけど、ここは見たことがない種類が大量にいる」と心奪われた様子。昆虫のほか海の生き物も大好きで、「釜石にいっぱい生き物がいるのはうれしい」と喜ぶ。普段から砂浜のごみを拾うなど、自然環境を守ることにも目を向けている久保さん。母康子さん(47)は「“好き”の延長で環境を守る行動も自然にできているようだ」と見守る。今回は外来植物のことを知り、「気づきの機会を与えてくれるイベント。遊びながら学べるのがすごくいい」と歓迎した。
 
6月に国の「自然共生サイト」に認定された片岸公園。池の周りに遊歩道が整備され、市民の散歩コースにもなっている

6月に国の「自然共生サイト」に認定された片岸公園。池の周りに遊歩道が整備され、市民の散歩コースにもなっている

 
 同公園は東日本大震災の津波被害を受けた場所に整備された。元々、みのすけ沼を中心に魚類や両生類、鳥類などが生息する豊かな自然環境が広がっていたが、津波で全て流失。公園は一部残った沼地や減災機能を兼ねて新たに設けた遊水池を中心に整備され、2021年に完成した。年月を重ね、水辺周辺にはヨシ原などの植生が戻り、水生生物や昆虫、鳥がすみ着くようになった。失われた自然環境を再生し、生物多様性を回復する取り組みが評価され、本年6月、国の「自然共生サイト」に認定された。
 
 イベントのアドバイザー、岩手県立大の島田直明教授(植生学・景観生態学)は同所の環境について、「震災直後は海とほぼ一体化していた時期もあったが、(防潮堤の再建、公園の整備を経て)環境も落ち着いてきた。木々がさらに増えていけば、そこにすむ生き物も戻ってくると思われる」と期待。一方で、元々の沼地は近年、水の循環機能が低下し富栄養化していることから、遊水池への排水や周辺の刈り払いなどで水質改善を図る必要があるとも指摘。「こうしたイベントが問題点把握のきっかけとなり、より良い環境の維持・管理につながっていけば」と望んだ。
 
公園整備から5年。池の周りには草木が増え、生き物のすみかにもなっている。冬にはオオハクチョウも飛来する

公園整備から5年。池の周りには草木が増え、生き物のすみかにもなっている。冬にはオオハクチョウも飛来する

 
 イベント主催者のかまいしDMCは市と連携し、同所の保全活動に取り組む。同社の担当者、村上舞子さんは「地域の自然は地域の皆さんと守っていくことが大事。今後も継続的にイベントを開催し、名実ともに自然共生サイトとなるよう努力していきたい」と話した。

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「消防団員募集」走行バスでPR 岩手旅行社が釜石市消防団協力事業所に 認定は16事業所に

釜石市消防団協力事業所に認定された岩手旅行社と市の関係者ら

釜石市消防団協力事業所に認定された岩手旅行社と市の関係者ら

 
 釜石市は市消防団協力事業所に大渡町の岩手旅行社(菊池直樹代表取締役、従業員17人)を新たに認定した。同社は市の委託で運行する支線部バス(コミュニティバス)の車両などに「消防団員募集」のステッカーを掲示。走行で市民らに入団を呼びかけ、団員不足解消の一助となるべく活動を始めた。5日、鈴子町の釜石消防庁舎敷地で、協力事業所表示証の交付式が行われ、ステッカー掲示車両がお披露目された。
 
 式には同社から菊池代表取締役ら5人が出席。釜石消防署員を含む市の関係者約20人が同席した。小野共市長が菊池代表取締役に交付書を伝達。社内に掲示する表示証も送った。小野市長は「自然災害が頻発し規模が大きくなっている昨今、消防団員の確保は大きな課題。今回の入団促進活動は市と民間が協力し災害に備えるという心構えの表れ」と感謝した。
 
小野共市長から消防団協力事業所の交付書を受け取る岩手旅行社の菊池直樹代表取締役(左)

小野共市長から消防団協力事業所の交付書を受け取る岩手旅行社の菊池直樹代表取締役(左)

 
交付式には「消防団員募集」のステッカーを貼った岩手旅行社の車両3台がお目見え

交付式には「消防団員募集」のステッカーを貼った岩手旅行社の車両3台がお目見え

 
 同社はこれまで、消防団員である従業員が勤務中に消火活動や災害対応にあたる際は出勤扱いとしてきた。今回新たに、自社バスに消防団員募集のステッカーを掲示する入団促進活動を展開。消防署員がデザインしたステッカーは消防団の制服姿の親子や放水するトラのキャラクターなどが描かれ、若年世代の家族が親しみを感じられるものとなっている。車体の側面や後部に着脱可能なマグネットシート製で、3枚を橋野、唐丹方面から運行するコミュニティバスや企業の送迎バスに貼って活用する。
 
 菊池代表取締役は「旅客事業という業種を生かし社会貢献できるのは、私どもとしてもありがたいお話。高齢化で消防団員の確保が課題と聞くので、市内で働く外国人の方々を含め、消防団活動に興味関心を持ってもらうきっかけになればいい」と望んだ。
 
バスのドライバーら(右側)とステッカーを貼った車両を確認する菊池代表取締役(左から2人目)

バスのドライバーら(右側)とステッカーを貼った車両を確認する菊池代表取締役(左から2人目)

 
 市消防団の団員数は8月1日現在で498人(うち機能別団員82人)。2011年(東日本大震災前時点)は787人で、充足率98.4%(条例定数800人)だったが、人口減や高齢化などに伴い減少傾向が続く。現在は定数600人に対し充足率は83%。同市は本年度から5カ年の第6次市総合計画後期基本計画で、20~30代の団員の割合を33.3%まで引き上げることを目標としており、若年層の積極的入団を呼びかける。
 
海と山の風景、虎舞にちなんだトラのキャラクターなど“釜石感”満載の団員募集ステッカーで消防団入団を呼びかける。興味のある方はぜひ釜石消防署へお問い合わせを!

海と山の風景、虎舞にちなんだトラのキャラクターなど“釜石感”満載の団員募集ステッカーで消防団入団を呼びかける。興味のある方はぜひ釜石消防署へお問い合わせを!

 
 消防団協力事業所表示制度は、事業所の理解と協力で消防団員が仕事と団活動を両立しやすい環境をつくり、地域防災力強化につなげようと、総務省消防庁が2006年に創設。釜石市では08年から導入し、今回の岩手旅行社の認定で協力事業所は16となった。認定されると、地域貢献企業として社会的評価や企業イメージの向上が期待されるほか、本県では企業の補助金制度などで優遇措置が設けられている。

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音楽を満喫!釜石よいさも踊り継ぐ 9月最後の週末 2つの催しで「うのスタ」熱気

スターダスト☆レビューのライブで盛り上がる釜石鵜住居復興スタジアム=9月26日

スターダスト☆レビューのライブで盛り上がる釜石鵜住居復興スタジアム=9月26日

 
 9月最後の週末、釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアム(うのスタ)は音楽や「釜石よいさ」の踊りなどを楽しむ人たちの熱気に包まれた。26、27日の2日間にわたって開かれた「うのスタ☆音楽の日」の初日にはロックバンド、スターダスト☆レビュー(スタレビ)が登場。2日目は地域にゆかりのあるアーティストが多彩な音色を響かせたほか、同時開催された初企画「うのスタよいやっさフェスティバル」で老若男女が踊りの輪をつくった。
 
 音楽の日は、東日本大震災からの復興の象徴として建てられたうのスタの活用策の一つ。復興支援を通じて縁があったスタレビの公演が2024年に行われたのを機に、招待ゲストやアマチュアバンドなど一般公募の出演者らの演奏を楽しむ場として継続開催している。
 
「うのスタ☆音楽の日」で熱演するスターダスト☆レビュー

「うのスタ☆音楽の日」で熱演するスターダスト☆レビュー

 
 26日は「スタ☆レビの日」。約900人が歌と軽妙なトークを楽しんだ。45周年ツアーの真っただ中で、「夢伝説」「木蘭の涙」などのヒット曲をはじめ、25年発売の最新アルバム「星屑冒険王」から「星屑兄弟」「渇いた朝」などを披露。リーダーの根本要さん(69)がアマチュア時代に作った映画「がんばれ‼タブチくん‼」のテーマ曲や、20数年ぶりの演奏という「蜃気楼」「夢に~小さな奇跡~」など、長く活動を続けるバンドならではの“マニアック”な音色も聴かせた。
 
 うのスタでのライブは2回目となり、根本さんは「僕たちにとって、かけがえのないまちがまた増えた」とステージからコール。がんで声帯を失い療養中のため前回は参加できなかったパーカッションの林“VOH(ボー)”紀勝(としかつ)さん(66)が今回、一部の演奏に加わり、「Stay My Blue~君が恋しくて~」では港町の釜石にちなんで穏やかな波音をオーシャンドラムで表現した。
 
スターダスト☆レビューと一緒に歌い踊る観客たち

スターダスト☆レビューと一緒に歌い踊る観客たち

 
 約3時間、アンコールを含め全21曲を満喫した客席。山梨県から足を運んだ藤森雄二さん(63)、理恵さん(62)夫妻は「グラウンド席の端だったから思いっきり、遠慮なく踊り楽しんだ。音がビシビシきて良かった」と笑顔を重ねた。10年ほど前に復興の様子を確かめようと三陸沿岸を訪ねており、今回は続きのドライブを予定。ファン歴「うん十年」の2人は、再来の機会をつくってくれたスタレビに感謝していた。
 
根本要さん(右)と松尾雄治さんの絆トーク

根本要さん(右)と松尾雄治さんの絆トーク

 
 スタレビと釜石をつなぐきっかけとなったのは、新日鉄釜石ラグビー部日本一7連覇(1978~84年)の立役者、松尾雄治さん(72)。根本さんとは40年来の付き合いといい、ライブ前には2人で「絆トーク・パート2」として“おもしろ”エピソードを紹介し合った。ラグビーや釜石への思いも話題に。松尾さんは「第2のふるさと釜石バンザーイ」と両手を大きく広げ、会場を沸かせた。
 
 27日は「みんなで作る音楽の日」。よいやっさフェスの踊りやゲーム企画の合間に、ステージで合唱、バンド演奏、ダンスなどのパフォーマンスが展開するスタイルで、来場者は見たり聴いたりしながら思い思いに時間を過ごした。
 
うのスタよいやっさフェスティバルで踊りを楽しむ参加者=9月27日

うのスタよいやっさフェスティバルで踊りを楽しむ参加者=9月27日

 
釜石ゆかりの団体や個人が出演した音楽の日のステージ

釜石ゆかりの団体や個人が出演した音楽の日のステージ

 
 よいやっさフェスは、2025年を最後に34回の歴史に幕を下ろした釜石よいさの流れをくむイベント。よいさを踊る機会を途切れさせぬよう、旧実行委メンバーらが中心となり別イベントとして催した。
 
 9団体約350人が参加。今回初めて、うのスタの芝生上で踊った。「地域のイベントを盛り上げたい」と群舞に交じったのは釜石東中の生徒、教職員ら有志約30人。生徒会長の佐々木一真さん(3年)は「踊りは一夜漬け。へたでもノリで踊れちゃう。楽しんでいる雰囲気を見てもらえたらいい」とほほ笑んだ。
 
地元開催のイベントを盛り上げる釜石東中の生徒

地元開催のイベントを盛り上げる釜石東中の生徒

 
元気いっぱいに踊る上中島こども園の園児

元気いっぱいに踊る上中島こども園の園児

 
職場や活動の仲間と楽しい時間を共有する踊り手たち

職場や活動の仲間と楽しい時間を共有する踊り手たち

 
 岩手県沿岸広域振興局チームは職員ら有志約30人で踊りの輪に加わった。参加の段取りを担った総務課の高橋秀幸さん(54)は、職場の仲間が楽しく踊る姿を確かめ、ほっとひと息。自身は初参加で、地域のイベントを知る機会になったと喜んだ。ただ、思ったより参加者が少ないと感じたようで、「街なかでやっていたら、もっと人出があったのでは。ぜひ街なかで」と期待を口にした。
 
 街なか開催-。経費や交通規制、運営人員不足などの課題解決のため、市中心市街地からうのスタに会場を移した後も、そう望む声は根強く残った。うのスタ開催を3年間続け、昨年、実行委の解散を決定。一区切りとしたが、一部の実行委メンバーらは街なかでの復活に向けた新たな担い手の名乗りや動きを待ちつつ、踊り継ぐ方法の模索も同時に進めた。
 
うのスタの芝生上に踊りの輪ができた

うのスタの芝生上に踊りの輪ができた

 
よいさの群舞を楽しむ釜石市の職員ら

よいさの群舞を楽しむ釜石市の職員ら

 
 移行期の形として試行したのが、よいやっさフェス。新旧の実行委員長を務める下村達志さん(51)は「実行委が解散しても釜石よいさがなくなるわけではない。途絶えさせず、踊る機会をつくりたかった」と明かす。熱い思いの先にあるのは、子どもら若い世代への地域文化の継承。「子どもは1年踊らないだけでも大きく変わるから」と、新型コロナウイルス禍で大規模開催を見送った時期もできる形を考え、子どもたちが釜石よいさに触れる機会だけは途切れさせなかった。
 
 その熱意は、フェスで実施した各種プログラムに盛り込んだ。踊ることを軸にしつつ、子どもが遊べるおまつり広場を充実させたほか、30店舗超が出店したフードコーナーや人力車の乗車体験など家族で楽しめる企画を用意。岩手県出身のお笑い芸人「忠犬立ハチ高」(王坂さんは釜石出身)をゲストに招き、ネタの披露などでイベントを盛り上げてもらった。
 
ジャンボだるま落としに挑戦した「忠犬立ハチ高」

ジャンボだるま落としに挑戦した「忠犬立ハチ高」

人力車やゲーム、グルメとお楽しみがいっぱい

人力車やゲーム、グルメとお楽しみがいっぱい

 
 「ゲームがいっぱいで楽しい。食べ物もおいしい」と満喫したのは、レオ・クラーセン・翼さん(10)。曽祖母に会うためスイスから来釜し、滞在中にフェスの開催を知り、家族や親族ら16人と足を運んだ。母のクラーセン・篤子さん(48)も「子どもが楽しめる催し。気候も良かった」と上々の評価。祖父母の中村昇さん(74)、るみ子さん(75、釜石出身)夫妻=千葉県在住=は「よいさは見るより参加して一緒に踊るのがいいと思う。3世代が一緒に楽しめるのもいい。どんどんやってほしい」と求めた。
 
 フィナーレは参加団体が入り交じった輪踊り。下村さんは「最後まで元気に踊ってもらえたようで、ほっとした。ありがとうございます」と感謝の言葉で締めくくった。この後もバンド演奏などは続き、この日は約2000人が多彩な音に包まれながら思い思いに時間を過ごした。
 
釜石よいさの雰囲気を楽しむ子どもたち

釜石よいさの雰囲気を楽しむ子どもたち

 
 「釜石よいさの名を冠したイベントは、一時的に休んでいるだけ」と下村さん。他行事と日程が重なったことで参加団体は減ったものの、「絶やさず続けるという役割は果たせた」と実感する。
 
 地域の踊りを未来につなぐことに加え、留学生など在留外国人が異文化体験を通じた地域交流の機会にもなっていたことから、継続への思いは深化。「年に1回の祭りだけでなく、学校行事や盆踊りでも踊られるようになっていいと思う。文化として根付き、広がってほしい」。そう願う下村さんは、街なか開催を担う新体制の誕生を強く待ち望む。
 

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3年ぶりのみこし渡御 震災15年の鵜住居地区に活気 出身者、ゆかり人、近隣の町からも応援多数

3年ぶりにみこしが繰り出した鵜住神社例大祭=9月27日

3年ぶりにみこしが繰り出した鵜住神社例大祭=9月27日

 
 釜石市鵜住居町の鵜住神社(花輪宗嗣宮司)の例大祭は9月27日に行われ、3年ぶりのみこし行列が町内を練り歩いた。まちに甚大な被害をもたらした東日本大震災から15年―。津波被害を受けた同神社のみこしは、全国からの支援で2015年に新調され11年の時を刻む。新みこしの渡御は今回で6回目。虎舞や鹿踊りなどの郷土芸能団体を従えた行列は、再建された家々の前を進み、待ちわびた住民らの熱い歓迎を受けた。
 
 同神社で例大祭の神事が行われ、ご神体がみこしに移された。行列の出発を前に、祭典実行委員長の前川義博さん(同神社氏子総代長)は町内外の協力者に深い感謝の気持ちを表し、「みこし渡御祭を成功させ、次世代の方々にも祭りを通して地域への愛着を持ってもらえれば幸い」とあいさつした。
 
神事を終え渡御に出発する本みこし(左)、古峯神社みこし(右上)、子どもみこし(右下)=鵜住神社

神事を終え渡御に出発する本みこし(左)、古峯神社みこし(右上)、子どもみこし(右下)=鵜住神社

 
 高台の神社境内から本みこし、子どもみこし、同神社の敷地内に祭られる古峯神社のみこしが繰り出した。子どもみこしは12年に銀座西七丁目町会(東京都)から、古峯神社のみこしは13年に京都府南丹市園部町から寄贈されたもの。参道沿いの祭り場では3基のみこしに地域の代表者が玉串をささげ、鵜住居青年会の手踊り、外山鹿踊が奉納された。
 
鵜住居青年会の子どもたちによる手踊り「うさぎ舞」

鵜住居青年会の子どもたちによる手踊り「うさぎ舞」

 
刀振りとともにダイナミックに舞う外山鹿踊

刀振りとともにダイナミックに舞う外山鹿踊

 
祭り場から国道45号に出て進むみこし行列。沿道では地域住民らが出迎えた

祭り場から国道45号に出て進むみこし行列。沿道では地域住民らが出迎えた

 
 祭り場を出発した行列は国道45号を北進。スーパーなどが入る商業施設「うのポート」の角を曲がり、再建された住宅が並ぶエリアに入った。住民らは自宅前に塩や酒を準備してお出迎え。さい銭をあげてみこしに手を合わせた。行列は折り返し地点となる寺前交差点付近の金毘羅公園に到着。津波で被災し、移設安置された金毘羅神の石碑の前で、神事と郷土芸能の奉納が行われた。地元の神ノ沢鹿踊、新神大黒舞などが踊りを披露すると、集まった地域住民らが盛んな拍手を送った。
 
感謝を込め、みこしに手を合わせる住民。行列参加者と笑顔を重ねた

感謝を込め、みこしに手を合わせる住民。行列参加者と笑顔を重ねた

 
地元芸能、神ノ沢鹿踊は2017年3月に市指定文化財となった

地元芸能、神ノ沢鹿踊は2017年3月に市指定文化財となった

 
こちらも古くから伝承される新神大黒舞。小槌と扇子を手に祝いムードたっぷり

こちらも古くから伝承される新神大黒舞。小槌と扇子を手に祝いムードたっぷり

 
 同公園近くに暮らす83歳女性は被災した自宅を再建。行列に参加する地元の知り合いらと笑顔を重ね、「やっぱり祭りはいいよねー。踊りを見るとうきうきする」と心を躍らせた。震災後のみこし渡御は復興に向かう住民らに大きな力を与えてきた。「こうして続けられているのは皆さんの協力があってこそ。なくさないでほしい。自分も長生きしないとね」と笑った。
 
 神ノ沢鹿踊の刀振り、松本朱利さん(30)は産後初の祭り復帰。幼い子ども2人も金子振りで参加した。祖父が同鹿踊の笛吹きで、自身は4歳から踊りに参加。代々、地元芸能に携わってきたことに「感慨深い」と特別な思いを抱く。地域では家族ぐるみの参加で芸能の継承に努めるが、近年は踊り手となる若い世代が減少し、人員確保には苦労を伴う。「どうやって残せるか。課題は多いが何とかつないでいければ」と願った。
 
みこしは住宅の敷地に乗り入れるサービスも!

みこしは住宅の敷地に乗り入れるサービスも!

 
 行列はこの後、震災犠牲者を追悼する祈りのパークがある駅前広場「うのすまい・トモス」に向かった。渡御ルート一帯は震災前、住宅や農地があり、祭りには2町内会が手踊りで参加していた。区画整理で姿を変え住宅の数も大幅に減ったが、駅前には市民体育館も整備され、各種大会やイベントに市内外から多くの人が訪れている。広場では田郷鹿子踊などが踊りを奉納。見物客も広場を囲み、各団体の踊りを楽しんだ。
 
うのすまい・トモスに到着したみこしは広場を旋回。見物客を楽しませた

うのすまい・トモスに到着したみこしは広場を旋回。見物客を楽しませた

 
虎舞のお囃子(はやし)、威勢のいい掛け声でみこしを盛りたてる

虎舞のお囃子(はやし)、威勢のいい掛け声でみこしを盛りたてる

 
田郷鹿子踊の金子振りの子どもら。はかま姿がりりしい

田郷鹿子踊の金子振りの子どもら。はかま姿がりりしい

 
広場には大勢の見物客が集まり、各団体の踊りに見入った。雌鹿をめぐる雄鹿の戦い「突合い」(右上)は激しい踊りが特徴

広場には大勢の見物客が集まり、各団体の踊りに見入った。雌鹿をめぐる雄鹿の戦い「突合い」(右上)は激しい踊りが特徴

 
 鵜住居出身の佐々木敬子さん(79)は友人らと祭り見物。父や兄が田郷鹿子踊の太鼓や踊りをやっていたといい、「見ると親や兄弟が思い出されて胸がいっぱいになる」と古里愛をにじませた。震災からの時の流れも実感。「みんなの力があってここまできたと思うと感動。まちに若い人が増えてもっとにぎやかになればいい」と郷土の未来に期待を寄せた。
 
 本みこしの担ぎ手には約40人が結集。地元住民のほか山田町、大槌町、釜石市の各神社の担ぎ手衆が協力した。みこし責任者の藤原輝行さん(64)は「今は他からの応援がなければ渡御は成り立たない。今回も近隣市町から多くの方々が集まってくれた」と感謝。震災後の人口減が著しい鵜住居ではあるが、「いざ、祭りとなればこれだけの人が集まる。沿道で喜んでくれる顔を見ると、絶やしてはだめだと実感する」。
 
 釜石市浜町、尾崎神社のみこし担ぎ手団体「輿衆(よしゅう)会」の甲斐谷定貴さん(53)は今季、県内外の複数のみこし渡御に応援協力。担ぎ手の横のつながりができているといい、「みこし好きなので、人が足りないとなれば快く駆け付ける。人数不足でできないというのは担ぎ手としては悲しいもの」と仲間を思いやる。「地域を盛り上げたい」との思いもあり、「震災前以上のものをお見せするお手伝いができれば」と望んだ。
 
みこしの担ぎ手衆は心を一つに巡行。笑みもこぼれる

みこしの担ぎ手衆は心を一つに巡行。笑みもこぼれる

 
 行列は最後の御旅所となる日向グラウンドへ―。前回は諸事情で同所への立ち寄りを見送ったため、楽しみにしていた地区住民らが大勢集まった。日向振興会の手踊りは7年ぶりの参加。こちらも踊り手不足が課題となる中、今年は頼もしい若手女性2人が加わった。タイ出身で、市内の工場で働くウォンサー パパッソーンさん(31)とセーンジャン サウワラツクさん(30)。「日本の音楽や文化、祭りに興味がある」というウォンサーさんが誘って参加。「最初は難しかった。でも練習して上手になった」と2人。2週間ほどの練習で全6曲の踊りを覚えたという。「母国の家族に伝えたらびっくりしていた」とセーンジャンさん。初めての祭りを「みんなやさしい。笑顔いっぱい」と満喫。ウォンサーさんも「いろいろな踊りがあって素晴らしい」と地域の伝統文化に感激。たくさん撮った写真を家族に送るのを楽しみにしていた。
 
日向振興会の手踊りに初めて参加したタイ出身女性2人は踊りも完璧。日本の祭りを存分に楽しんだ

日向振興会の手踊りに初めて参加したタイ出身女性2人は踊りも完璧。日本の祭りを存分に楽しんだ

 
7年ぶりの日向手踊りを喜ぶ地元住民ら

7年ぶりの日向手踊りを喜ぶ地元住民ら

 
 同神社の花輪宮司は「住民がみこしに手を合わせてくれるのを見ると、やはり待ち望んでいるのだと感じる。『いい祭りだ』と言ってくださる方も多い」と安堵の表情。震災からの15年、地域住民は幾多の困難を乗り越え、まちの再生に力を尽くしてきた。祭りは住民の結束力を高め、明日への希望にもなってきた。「氏子の方々にとって渡御への参加は誉れ。気持ち良く祭りを楽しみ、その後の日常でも神様のご加護を感じながら、ちょっとした幸せをかみしめてもらえれば」と花輪宮司。住民の心のよりどころとなる祭りの継続へ意欲を高めた。
 
鵜住居青年会の虎舞には飛び入りの踊りも!

鵜住居青年会の虎舞には飛び入りの踊りも!

 
鵜住居青年会の踊りの締めは「傘甚句」(下)。住民らが楽しみにする演目の一つ

鵜住居青年会の踊りの締めは「傘甚句」(下)。住民らが楽しみにする演目の一つ

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自慢の味PR!釜石・甲子川のアユをお振る舞い 家族連れら「かぶりつくのがうまい」

甲子川の清流で育ったアユのお振る舞い

 
 釜石市の甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)、甲子地域会議(田畑孝議長)は9月26日、同市甲子町の道の駅釜石仙人峠で甲子川のアユを味わう会を開き、利用者にアユの塩焼きを無料で振る舞った。
 
 地域自慢の味をPRしようと実施。同協力会など市内外の釣り人らが協力し、7月5日の解禁日から釣り上げた計約350匹を提供した。
 
道の駅釜石仙人峠で開かれた甲子川のアユを味わう会

道の駅釜石仙人峠で開かれた甲子川のアユを味わう会

 
焼き上がったアユにかぶりつく子ども

焼き上がったアユにかぶりつく子ども

 
おいしさを味わって!釣り名人や地域住民が腕を振るう

おいしさを味わって!釣り名人や地域住民が腕を振るう

 
 「楽しみに来た」と話すのは、近くに住む70代の女性。一緒に訪れた小学4年生の孫に「アユはそのままかぶりついて食べるもんだよ」と教えながら、残すものなく完食し、「おいしさは知っている。懐かしい味」と余韻をかみしめていた。
 
 振る舞いは約3時間で終了する盛況ぶり。安久津会長は(85)は「大雨による増水など河川の状況で数を確保できるか心配もあったが、釣り名人の皆さんのおかげで達成できた。来場者の喜ぶ顔を見られてほっとした」とうれしそうに話した。
 
アユの塩焼きをうれしそうに味わう家族連れ

アユの塩焼きをうれしそうに味わう家族連れ

 
清流で育まれたアユの味わいを楽しむ来場者

清流で育まれたアユの味わいを楽しむ来場者

 
 甲子川のアユは、2016年に岐阜県で開かれた「清流めぐり利き鮎会」の味比べでグランプリを獲得するなど、味の良さで釣り人らを魅了する。安久津会長は「アユの餌となるいいコケがあるから、いいアユが育つ。川の環境をできるだけ自然のままにして守り続けたい」と先を見据えた。
 
釣り人や地域住民が力を合わせる活動を来場者も応援

釣り人や地域住民が力を合わせる活動を来場者も応援

 
 河川漁業のない甲子川では、同協力会など釣り愛好家ら有志が市の補助金や寄付を活用して資源管理を行っている。5月にはアユの稚魚250キロ(約2万7700尾)を放流した。会場では募金活動も行い、来場者が寄せた気持ちを稚魚の放流事業に役立てる。

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地球環境にやさしい風力発電に感心 栗林小の親子「地域学習会」で新山の風車を見学

ユーラス釜石広域ウインドファームを見学した栗林小の児童と保護者ら=PTA行事「地域学習会」、9月26日

ユーラス釜石広域ウインドファームを見学した栗林小の児童と保護者ら=PTA行事「地域学習会」、9月26日

 
 釜石市立栗林小(高橋昭英校長、児童24人)の児童と保護者は9月26日、釜石、遠野、大槌3市町にまたがる風力発電所「ユーラス釜石広域ウインドファーム」を見学した。同校PTA行事として毎年実施する「地域学習会」の一環。事業者のユーラスエナジーホールディングス(本社:東京都千代田区)の社員から施設概要や風力発電の仕組みを学び、再生可能エネルギー先進地である郷土への誇りを感じた。
 
 児童、保護者、教職員約30人が参加。学校からバスと自家用車に分乗し、釜石市の和山経由で、大槌町新山展望台近くの6号機ヤードに向かった。風車が建つ場所は標高約900メートルの高原地帯。曇り空のこの日は、山ならではの深い霧に包まれ、風車の全景は見ることができなかったが、同社地域創生推進部課長代理の清水俊哉さん(34)から風力発電事業についてさまざまな説明を聞いた。
 
ユーラスエナジーホールディングスの社員から風力発電の説明を聞く参加者

ユーラスエナジーホールディングスの社員から風力発電の説明を聞く参加者

 
 同発電所は2004年12月から稼働してきたが、高経年化のため設備の更新が必要となり、23年3月で営業運転を終了。既存の風車43基を撤去し、新たに出力の大きい風車11基を建設し、本年3月から発電を開始している。総出力は以前と同じ4万2900キロワット。これは一般家庭約2万4000世帯の消費電力に相当する供給量。新しい風車は海外製で、全高142メートル。以前の約1.5倍のサイズで、近くで見上げるとその大きさに圧倒される。
 
 清水さんは風力発電の仕組みや電気がどうやって家庭に届くかも説明。風力発電のメリットとして、「天気が悪くても風さえ吹けば発電できる。昼だけでなく夜も可能。発電時に温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)が出ない」と教えた。そよ風程度から発電できるが、台風レベルの風速(約25メートル以上)になると、安全のため自動で運転が停止するという。
 
 この日は風車建設時の写真パネルを見せながら、工事の過程についても説明。建設場所に通じる山の道路はカーブが連続することから、部材を運ぶ際は細心の注意を払い、57メートルある一枚もののブレード(羽根)は横にすると破損の恐れがあるため、起立した状態で運んだことを明かした。
 
風車の部材輸送や組み立て工事の写真パネルを見せながら説明するユーラス社の清水さん

風車の部材輸送や組み立て工事の写真パネルを見せながら説明するユーラス社の清水さん

 
 参加者が驚いたのは風車のメンテナンスについて。補修作業はクレーンに人を乗せて行うほか、人がブレードに沿って降下し作業にあたる“ロープアクセス”という方法があるという。参加者はロープアクセスの作業員が墜落防止のために装着するハーネスも体験した。約80メートルのタワー内部にも入った。発電に必要な増速機が格納される最上部まではエレベーター移動。「昔ははしごだった」と聞くと、驚きの声が上がった。
 
高所作業での墜落事故を防ぐためのハーネスを装着してみる。なかなかできない体験

高所作業での墜落事故を防ぐためのハーネスを装着してみる。なかなかできない体験

 
クイズコーナーは大盛り上がり!示された3つの答えから正解を選ぶ

クイズコーナーは大盛り上がり!示された3つの答えから正解を選ぶ

 
 クイズコーナーでは「風車が回転する時のブレード先端のスピードはどのくらい?」など3択問題が出題され、親子で楽しみながら学びを深めた。最後は質問コーナーもあり、児童や保護者が興味をそそられた点を社員らに聞いた。
 
 三浦莉南さん(5年)はタワーに貼ってある“黒い目玉シール”が印象に残ったそう。実はこれ、鳥が風車に接近するのを防ぐためのもの。鳥が近づいてきたら風車の稼働を制御するシステムも導入されているという。「鳥がぶつからないように工夫しているのがいいと思った。タワーの中は意外と大きな音がしていて、エレベーターも狭くて怖かった」とメンテナンス作業にあたる人たちの大変さを感じている様子だった。
 
高さ約4メートルの階段を上り、タワーの内部に潜入。メンテ作業で最上部に上がるためのエレベーターにも入ってみた

高さ約4メートルの階段を上り、タワーの内部に潜入。メンテ作業で最上部に上がるためのエレベーターにも入ってみた

 
 川﨑真大さん(6年)は「自分たちが暮らす地域に大きな風力発電施設があるのはすごいなーって思うし、こんな所に建っていたとは驚き」と目を丸くした。環境にやさしいことも教わり、「地球温暖化が進んできているので、これでちょっとでも止められたらいい」と期待。「次は天気のいい時に見てみたい」と再訪を望んだ。真大さんの母望さん(40)は「釜石市の全世帯分以上をまかなえる電気がここで生み出されているのはすごい」と郷土の自然を活用したエネルギー産業の立地を誇るべきものと捉えた。中学時代の同級生が施設のメンテナンスなどに携わっていたことも知りびっくり。2人の子どもには「普段、簡単に使えている電気はいろいろな人の力で届けられていることにありがたみを感じ、大切に使ってもらえれば」と願った。
 
晴れていればこんな景色が見られる。風車は風向や風速に応じて自動制御で向きを変えられる

晴れていればこんな景色が見られる。風車は風向や風速に応じて自動制御で向きを変えられる

 
 新しい風車が稼働してから子どもたちが現地を見学するのは今回が初めて。ユーラス社の清水さんは「天気が悪くて見えづらかったが、親子で和気あいあいと楽しんでくれたよう」と胸をなでおろした。また、「再生可能エネルギーの発電の仕組みを知り、地球環境に少しでも貢献できる電源であることを理解してもらえたら。風力発電を身近に感じ、いつかユーラスで働きたいと思ってくれるきっかけになればさらにうれしい」と笑った。
 
これだけ深い霧に包まれる場面に遭遇するのもまれ?回転するブレードの赤い先端部がわずかに見える(写真左)

これだけ深い霧に包まれる場面に遭遇するのもまれ?回転するブレードの赤い先端部がわずかに見える(写真左)

 
 同学習会は地域の歴史や文化、自然などに触れ、郷土愛を深めてもらうのが目的。昨年は市郷土資料館や鉄の歴史館を見学。一昨年は橋野地区の水力発電施設や市指定文化財の「古里の御神楽スギ」、「牧庵鞭牛隠居屋敷跡」などを地元住民のガイドで見て回った。栗林小は本年度で閉校し鵜住居小と統合することから、今回の学習会はさらに思い出深い行事となった。