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釜石市民吹奏楽団 震災乗り越え36年ぶり東北大会へ 支援への恩返しに心一つ

東北吹奏楽コンクールに向け練習に励む釜石市民吹奏楽団=28日夜

東北吹奏楽コンクールに向け練習に励む釜石市民吹奏楽団=28日夜

 
 釜石市民吹奏楽団(山内真紀人団長、団員60人)は、9月4日に福島県いわき市で行われる第65回東北吹奏楽コンクール職場・一般の部に本県代表として出場する。同団の東北大会進出は1986年以来、36年ぶり5回目。全日本コンクールの東北代表が選ばれる高みの舞台。団員らは東日本大震災で受けた支援への感謝を胸に、最高の音を響かせようと練習に励む。
 
 同団は7月31日に北上市で行われた第60回岩手県吹奏楽コンクールに沿岸地区代表として出場。県内5地区から10団体が出場する中、評点で1位、最高賞の金賞を受賞した。2位で金賞のパシフィック・ブラス・オルケスタ(盛岡地区)とともに東北コンクールへの出場権を獲得した。
 
団は週2~3回、市民ホールTETTOで練習中

団は週2~3回、市民ホールTETTOで練習中

 
 釜石市吹は本年度の全日本コンクール課題曲5曲の中から「ジェネシス」(鈴木英史作曲)を選択。自由曲は「Comet(コメット)」(堀田庸元同)とし、沿岸地区予選、県大会に挑んできた。86年以降も県大会での金賞受賞はあったが、東北大会出場には手が届かずにいた同団。今年、堂々トップの成績で目標の舞台への切符を手にした。
 
 県大会は新型コロナウイルス感染防止対策のため、会場で他団体の演奏を聞くことができず、結果発表もメール通知となった。団員らは帰宅後、個々に結果を知った。「まさに青天のへきれき。ここ数年では一番いい演奏ができた実感はあったが、驚きの方が先だった」と山内団長(48)。指揮者としても団をまとめる立場で、「自分たちが目指してきたことと審査員が求めることが合致したのでは」と分析する。
 
指揮者として演奏全般も指導する山内真紀人団長(左)。音の響かせ方のイメージを伝える

指揮者として演奏全般も指導する山内真紀人団長(左)。音の響かせ方のイメージを伝える

 
大小さまざまな金管楽器を奏でるメンバー

大小さまざまな金管楽器を奏でるメンバー

 
 同団は1978年創立。コンクールへの出場のほか、定期演奏会、各種イベントへの出演など多彩に活動し市民に愛される。2011年の震災では活動拠点としていた市民文化会館が津波で浸水。団の楽器も失われるなど大きな被害を受けた。一旦は1年間の活動休止を宣言したが、支援に駆け付けた県内外のブラス仲間の演奏に心を動かされ、3か月後には練習を再開。翌年5月には定期演奏会開催にこぎ着けた。旧大松小音楽室を借りて練習を続け、16年の県コンクールでは11年ぶりに金賞を受賞。同年の定期演奏会は通算50回目を数えた。
 
合奏練習前にはパートごとに音出し。個々の演奏も入念にチェック

合奏練習前にはパートごとに音出し。個々の演奏も入念にチェック

 

 
 現団員の中には過去の東北大会出場経験者も。ホルンの多田由佳さん(68)は4回の東北大会を経験、高橋一見さん(64)は入団した86年に出場している。2人とも今回の決定を知った時は「まさか。信じられない」と目を疑ったそうだが、再びの大舞台に喜びもひとしお。「みんな張り合いができ、目標に向かって頑張っている。自分も無事に吹き切れれば」と多田さん。高橋さんも「いつも通り平常心で。気持ち良く演奏できれば」と気負いはない。
 
東北大会出場を報告した釜石市民吹奏楽団役員5人(中央)=22日

東北大会出場を報告した釜石市民吹奏楽団役員5人(中央)=22日

 
 22日には、山内団長ら役員5人が野田武則市長に東北大会出場を報告した。山内団長は「オールアマチュアで代表になれたのは大きい。釜石は元々、新日鉄釜石、釜石南高の全国、東北大会出場を含め、吹奏楽の土壌があった地域。今回も反響をいただいている」と注目の高さを実感。目標の一つだった東北大会で、「これまでの積み重ねを存分に発揮し、震災後の支援への恩返しをしたい」という団員の強い思いを代弁した。
 
県吹奏楽コンクールで獲得した金賞トロフィーや賞状を披露

県吹奏楽コンクールで獲得した金賞トロフィーや賞状を披露

 
 野田市長は「震災からよくぞここまで復活し、素晴らしい成績を収められた。これを糧にさらに上位を目指してほしい。皆さんの頑張りは他の文化活動団体の励みになる」とエールを送った。

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SUP、カヤック、生き物探し…海遊び満喫「この夏一番の思い出」 釜石・箱崎白浜でワンデイキャンプ

思い思いに海遊びを楽しむ家族連れら

思い思いに海遊びを楽しむ家族連れら

  
 ふるさと釜石の海の素晴らしさを体感し、自然とともに生きる力を育む「海あそびワンデイキャンプ」が21日、釜石市箱崎白浜地区で開かれた。市内で海に関わる活動を展開する団体や地元漁師らでつくる「海と子どもの未来プロジェクト実行委員会(通称・さんりくBLUE ADVENTURE)」が主催し、今年で9回目。新型コロナウイルス禍でさまざまな体験活動が制限される中にあっても、子どもたちに夏の思い出を提供しようと感染症対策を講じて実施。海辺にはたくさんの歓声と笑顔が広がった。
   
 コロナの影響で、2年ぶりの開催。参加者を釜石市と近隣市町村在住者に限定。過去2週間に感染の可能性がある滞在や接触がないことを確認し、シュノーケリング用具などに名前を付け1日同じものを使うことなど感染対策に気を配った。
  
通称「小白浜」と呼ばれる海岸に地元漁師の船で上陸

通称「小白浜」と呼ばれる海岸に地元漁師の船で上陸

  
 海遊びの場は、白浜漁港から船で約3分の隠れ家的ビーチ、通称「小白浜」と呼ばれる海岸。古くから地元住民らがレジャーを楽しんでいた場所で、実行委によると、美しい景観と安全確保の条件の良さが魅力。有事の際にはハイキング路を利用し、高台避難も可能だという。市内を中心に小学生や保護者同伴の幼児ら約40人が参加し、地元漁師の船で上陸した。
   
水しぶきを上げるだけで弾ける笑顔

水しぶきを上げるだけで弾ける笑顔
  
カヤックから落ちたとしてもみんな笑い顔

カヤックから落ちたとしてもみんな笑い顔

  
SUPを乗りこなし満面の笑みを見せる子も

SUPを乗りこなし満面の笑みを見せる子も

  
 ウエットスーツとライフジャケットを身に着けた参加者は、インストラクターらに教わりながらシーカヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)で水上散歩を楽しんだ。シュノーケリングでは海中の生き物探しに挑み、ヒトデやカニ、小魚などを観察。釜石ライフセービングクラブによる「浮いて待て」を合言葉にした海辺の安全講習もあり、もしもの時を想定した浮き身の方法を学んだ。
  
 遠野市の伊勢崎歩君(綾織小5年)は「水の透明度がすごい。きれい。SUP、カヤックとか普段できない遊びができて、めっちゃ面白い。海の生き物もいっぱい見つけた。この夏一番の思い出」と笑顔を弾けさせた。
   
シュノーケリングで生き物探しを楽しんだ

シュノーケリングで生き物探しを楽しんだ

  
子どもたちは海の生き物に興味津々

子どもたちは海の生き物に興味津々

  
 東日本大震災後に進んだ“海離れ”を食い止めたい、地元の自然に誇りと愛着を持ってほしい―と始められたキャンプ。震災後に生まれた子どもが多くなる中、津波の記憶を残す親世代が海に行くことにためらいを持つことなどから、海になじみのない子どもが増えているという面もある。中妻町の櫻井京子さん(38)も一時期、海から足が遠のいていたが、「安全に遊ぶことを分かりやすく教えてくれるキャンプ」への参加を重ね、海が身近な存在に戻ったという。
  
 同実行委共同代表の佐藤奏子さん(43)は「海や自然は脅威にもなるが、豊かな恵みをもたらし、命を支える、美しくて楽しい存在。海で遊ぶ子どもたちの笑顔を間近に見ることで、『夏は海に行く』という古里の原風景をいい思い出として心に残してほしい」と願う。同キャンプは、釜石にゆかりのある元プロトライアスリートのマイケル・トリーズさん(英国出身)が設立した社会貢献団体「Tri 4 Japan(トライ・フォー・ジャパン)」の寄付で継続実施、運営する。
  
古里の海で夏の思い出をつくったワンデイキャンプ

古里の海で夏の思い出をつくったワンデイキャンプ

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釜石にもあった!「金」の山 橋野町青ノ木で砂金探しイベント 市民ら夢中

川底の砂をすくって砂金を探した「ゴールデンハシノ」=橋野町青ノ木、金山沢

川底の砂をすくって砂金を探した「ゴールデンハシノ」=橋野町青ノ木、金山沢

 
 世界遺産「橋野鉄鉱山」を有する釜石市橋野町青ノ木地区。鉄鉱石を採掘し、洋式高炉で鉄生産が行われていたことは多くの人が知るところだが、金鉱石の採掘事業で栄えた時代があったことは市民にもあまり知られていない。同町の金山の歴史を知り、砂金採り体験を楽しむイベントが20日、現地で開かれ、子どもから大人まで15人が地元の山に眠る地下資源に思いを巡らせた。
 
 「ゴールデンハシノ(砂金を探せ!!)」と銘打った同イベントは、市世界遺産課と商工観光課が企画。「三陸ジオパーク」に認定される同市の魅力を“鉄”以外でも味わってもらおうと初めて開催した。講師を務めたのは、市内の金山調査を長年続ける小田島圭司さん(75)=産金遺跡研究会釜石支部=と、青ノ木出身で橋野の歴史や自然に精通する三浦勉さん(70)=釜石観光ガイド会=。講話と体験の2本立てで、その価値を伝えた。
 
 歴史資料などによると、橋野地域には5つの金山があったとされる。今回、砂金採りを行った青ノ木川支流・金山沢沿いの「六黒見(むくろみ)金山」は、1800年代初頭の試掘に始まり、江戸、明治期の採掘の記録が残る。昭和初期(1935~43年)には日立系列の日本鉱業が本格的採掘に乗り出し、約200人が働いた。9年間の採掘量は約8万5千トン。鉱石は鵜住居から貨物列車に積み込み、山田線回り盛岡経由で茨城県日立市の精錬所まで運んだ。
 
橋野町の六黒見金山について説明する三浦勉さん

橋野町の六黒見金山について説明する三浦勉さん

 
 現地では複数の坑道や選鉱場、事務所などの場所が確認されており、今でも坑道や社宅跡、関連すると見られる石碑を見ることができる。講話の中で三浦さんは、同金山で働いた測量士、事務員から聞き取った話、自身が見つけた金鉱石の写真なども紹介した。
 
 橋野鉄鉱山インフォメーションセンターでの講話後、金山沢下流域に移動。小田島さんらの指導の下、砂金探しに挑戦した。縁部分に溝がある丸皿に川岸や岩陰にたまった砂を取り、水と一緒に回しながら“光るもの”に目を凝らした。約1時間の探索で数ミリほどの砂金を幾つか発見。参加者は金山の存在をあらためて実感した。
 
六黒見金山を流れる「金山沢」下流域が採集場所

六黒見金山を流れる「金山沢」下流域が採集場所

 
砂金の採り方を教えた小田島圭司さん(右)

砂金の採り方を教えた小田島圭司さん(右)

 
「砂金はあるかな?」 丸皿の中を見回して探す

「砂金はあるかな?」 丸皿の中を見回して探す

 
 甲子町の洞口陽希君(11)は小田島さんからお墨付きを得た砂金を手に、「さっきから全然採れなかったので、すごくうれしい。コレクションにする」とにっこり。父雄紀さん(41)は「釜石でも金が採れるのを初めて知った。市内に住んでいても知らないことは多い」と貴重な学びの場を歓迎。陽希君が喜ぶ姿に「都会ではできないこと。釜石ならではの体験を今後もさせてあげたい」と話した。
 
見つけた砂金(右下拡大・白丸部分)に興味津々で見入る参加者

見つけた砂金(右下拡大・白丸部分)に興味津々で見入る参加者

 
 「初めてで(砂金が)採れるのはあまりないこと。ここまで出るとは思わなかった」と驚く小田島さん。市の担当者は参加者らの予想以上の反響に「坑道跡の見学会なども企画できれば」とさらなる構想を膨らませた。
 

かまいし軽トラ市

令和4年度「かまいし軽トラ市」第3回

令和4年度「かまいし軽トラ市」

 

釜石市では、市内産農産物・加工品等の販売を行う「かまいし軽トラ市」を開催します。各店舗で購入した際にもらえるスタンプを集めると、景品がもらえるスタンプラリーも実施します。釜石の“美味しいモノ”が大集結した軽トラ市にぜひお越しください。

1.日時・場所

第3回 8月28日(日) 9:00~11:00 市民ホールTETTO前広場
 
※新型コロナウイルス感染症対策としてマスク着用・手指消毒・会場での検温にご協力をお願いします。
※市内の感染状況によっては、中止とする場合があります。

2.内容

【第3回 8月28日(日)開催内容】
①軽トラ等による市内産農産物、加工品、工芸品、水産加工品の販売
②スタンプラリーの実施 (市内産農産物プレゼント)
第3回(8月28日開催)出店者情報[PDF:522KB]

3.主催・共催

主催:釜石市(担当課:産業振興部水産農林課)
共催:(一社)釜石観光物産協会、(株)かまいしDMC

4.出店申込

・出店希望者は、開催要領をご確認の上、申請書を提出して下さい。
・出店登録は随時受付、出店申込は各回の2週間前の金曜日(ただし、第1回は1週間前)を締切とします。
令和4年度かまいし軽トラ市開催要領[PDF:693KB]
令和4年度かまいし軽トラ市出店申込様式[XLS:239KB]

この記事に関するお問い合わせ
産業振興部 水産農林課 農業振興係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8426 / Fax 0193-22-1255 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2021051400036/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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木のぬくもりに包まれた新校舎に初登校 釜石祥雲支援学校 平田に移転、小中高一体整備

真新しい校舎での生活に期待を高める生徒たち

真新しい校舎での生活に期待を高める生徒たち

  
 釜石祥雲支援学校(外館梯校長、児童生徒67人)は23日、釜石市平田町に完成した新校舎の利用を始めた。定内町の旧校舎の約13倍となる広い環境に小中学部と高等部を一体的に整備。夏休み明けの子どもたちが元気に初登校し、木のぬくもりに包まれた真新しい校舎での生活に期待を膨らませた。
   
 体育館で全体集会を行った後、児童生徒は各教室で夏休みの思い出を伝え合ったり、校舎内を探検したりした。木がふんだんに使われたきれいな校舎にワクワクした様子で、高等部生徒会長の佐々木都(ひろ)君(3年)は「下級生との交流も楽しめたら」と想像。中学部3年の三浦翔太君は「バスケットボールとかスポーツを頑張りたい」、クラスメートの佐竹惇希君と栗澤茜さんも紙漉(す)きなどの作業学習に意欲を見せた。
   
平田町に新設された釜石祥雲支援学校の新校舎

平田町に新設された釜石祥雲支援学校の新校舎

  
木をふんだんに使い、ぬくもりあふれる空間が完成した

木をふんだんに使い、ぬくもりあふれる空間が完成した

   
 新校舎は旧釜石商高跡地約2万8000平方メートルを活用し整備。木造一部鉄筋コンクリート造り2階建てで、延べ床面積は3932平方メートル。図書室に配置したテーブルやいす、書架などは県産材を利用した。車いす利用者のスムーズな移動にも配慮した広い廊下、建物内外の段差の解消、エレベーターや多目的トイレを設置するなどバリアフリーに対応している。
   
 定内町の旧校舎は1978年に前身の県立釜石養護学校として建設された。敷地面積2200平方メートル、延べ床面積1662平方メートルと狭いため教室が不足し、高等部は甲子町の釜石高内に併設される形となっていた。体育館もなく、校舎自体も老朽化。課題を解消するため移転新築工事を進め、今月5日に完成した。
  
学部を超えた交流促進も期待される

学部を超えた交流促進も期待される

  
 小中高等部を一体的に整備したことで、12年間の一貫指導が可能になる。外館校長は「刺激し合いながら伸び伸びとやりたいことにチャレンジし、力を発揮してほしい」と期待。国立釜石病院の入院者が学ぶ院内のしゃくなげ分教室は存続し、交流を模索する。

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釜石市新庁舎 津波対策講じ計画通り天神町に建設へ 市が住民説明会開始

新市庁舎建設に係る住民説明会=22日、唐丹町

新市庁舎建設に係る住民説明会=22日、唐丹町

 
 県が3月に公表した最大クラスの津波浸水想定を受け、新庁舎建設計画の再検討を進めてきた釜石市は、津波対策を講じた上で計画する天神町・旧釜石小跡地への建設方針を固め、22日から住民説明会を開始した。31日まで6カ所で開催。市民の理解を得て、新たに必要な経費などを9月議会に提案する。
 
 22日は唐丹地区生活応援センターで説明会が開かれ、町内会の代表など11人が出席した。野田武則市長は津波による浸水が想定される同所への建設について、「県の浸水想定はあくまでも避難のための発表で、土地利用には影響しない。中心市街地の人口減、経済的衰退を防ぎ、津波避難場所を確保するためにも東部地区への建設が必要」と理解を求めた。
 
 市は2019年に新庁舎建設基本計画を策定。20年に国が公表した「日本海溝沿いの最大クラスの津波浸水想定」を受け、敷地を1~2メートル程度かさ上げする設計変更を行ったが、本年3月、県が新たに最大津波の浸水想定を示したことで、再検討が行われてきた。県の想定では、建設地はかさ上げ後の地盤高で3メートル程度(建物1階の約3分の2)浸水する可能性があるとされる。
 
釜石市の新市庁舎建設予定地(天神町・旧釜石小跡地)

釜石市の新市庁舎建設予定地(天神町・旧釜石小跡地)

 
 説明会で市は、新市庁舎建設検討委員会、市議会、市総合振興審議会で了承された方針として、①建設場所を引き続き天神町とする②2階以上での避難を基本とし、1階フロアは機材や書類などの配置を最小限とする―ことを説明。計画の大幅な変更は行わず、一時避難場所の確保、浸水による業務への影響低減を図れるようにする。
 
 唐丹地区の出席者からは、交流スペースや電話回線への要望、現庁舎跡地の活用についての質問が出されたが、示された方針に対する反対意見は出なかった。
 
建物外観イメージや各階エリア図などが示された

建物外観イメージや各階エリア図などが示された

 
建設計画案について説明後、住民の意見を聞いた

建設計画案について説明後、住民の意見を聞いた

 
 新市庁舎は4階建てで、1階に窓口とみんなのホール(交流スペース)、2~3階に執務室と会議室、4階に議場を設ける計画。財源は庁舎建設基金、市債発行など。コロナ禍や社会情勢の変化で建設資材の高騰が続いていることから、あらためて建設費を算出する。浸水想定区域内への建設のため、津波に対する耐久調査費用も加える予定。
 
 市は本年度中に設計の再積算などを終え、23年度当初に発注手続き、工事着手したい考え。工事期間は22カ月を見込み、24年度末の完成、25年度の開庁を目指す。
 
天神復興住宅(右)駐車場と新たに整備した市道を隔てた場所が建設予定地

天神復興住宅(右)駐車場と新たに整備した市道を隔てた場所が建設予定地

 
 今後の住民説明会の日程は次の通り。
8月27日(土)午前10時・市民ホールTETTO、午後1時半・中妻地区生活応援センター/29日(月)午後6時半・松倉地区コミュニティ消防センター/30日(火)午後6時半・小佐野地区生活応援センター/31日(水)午後6時半・鵜住居地区生活応援センター

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清流が育む自慢の味 釜石・甲子川のアユ300匹お振る舞い!地域団体初の企画

道の駅釜石仙人峠で開かれた「甲子川のアユを味わう会」=21日

道の駅釜石仙人峠で開かれた「甲子川のアユを味わう会」=21日

 
 味の良さで全国の釣り人を魅了する釜石市、甲子川のアユ―。良好な水質が生む魚のおいしさを感じてもらい、河川環境の保全意識につなげようと21日、甲子町の道の駅釜石仙人峠でアユのお振る舞いイベントが開かれた。地元の甲子地域会議(菅原武議長)が甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)、同道の駅(佐々木雅浩駅長)の協力を得て初めて企画。用意した300匹のアユは、開始から2時間余りでなくなる盛況ぶりを見せた。
 
 甲子川のアユは、2016年に岐阜県で開かれた「清流めぐり利き鮎会」の味比べでグランプリに輝いた実績がある。この日のお振る舞いでは、市内の釣り人らが今シーズン釣り上げたアユを塩焼きにして無料提供。店頭には並ばない味を求めて、午前10時の開始前から行列ができた。来場者は焼き立てを受け取ると、川沿いの特設席などで味わった。
 
アユの塩焼きをカプッと!! お味はいかが?

アユの塩焼きをカプッと!! お味はいかが?

 
甲子川の眺めを前にアユを味わう家族連れ

甲子川の眺めを前にアユを味わう家族連れ

 
 鵜住居町の佐藤直輝さん(32)は「アユは苦手だったが、最近食べられるようになった。今日のは臭みもなくて、とてもおいしかった」と地元の味を堪能。魚好きの長男凰斗(おと)君(3)はこの日がアユ“デビュー”。串焼きのアユを頬張り、初めての味に満面の笑みを広げた。
 
 河川漁協のない甲子川では、同協力会に寄せられる釣り人らの寄付や市の助成金で毎春、稚アユの放流事業を実施。資源維持に努めている。会によると、今年は解禁日以降、大雨などの影響で水温の変動が激しく、釣果は近年になく低迷。安久津会長(81)は「地元の釣り人の協力で何とか目標の数を確保できた。サイズは平均20センチとやや小さいが、味は抜群」と天然の川で育ったアユをPR。
 
アユは甲子川鮎釣協力会のメンバーらが炭火などで焼いて提供

アユは甲子川鮎釣協力会のメンバーらが炭火などで焼いて提供

 
 甲子川は三陸沿岸特有の地形で斜度がきついため、砂や泥がたまりにくく、大雨後の水の濁りの回復も早い。上流の山々から湧き出る水は、「仙人秘水」に代表されるように水質が良く、アユの餌となる豊富なコケを育む。こうした好条件がアユのおいしさにつながっている。
 
 同道の駅の佐々木駅長(60)は施設入り口に掲げられる「アユ躍る清流と甲子柿の里」という道路案内標識に触れ、「オープンして7年。来店客からアユを食べたいという声も多く聞かれた。今回、その味をお披露目できたのは大きい。次につながる一歩」と歓迎。同地域会議の菅原会長(78)は「甲子川のアユはここでしか味わえない味。きれいな川を守りながら、また日本一になれるように地域としても盛り上げていければ」と話した。
 
続々と訪れる客に焼き立てアユをお振る舞い

続々と訪れる客に焼き立てアユをお振る舞い

 
アユの塩焼きを受け取り、笑顔を見せる来場者

アユの塩焼きを受け取り、笑顔を見せる来場者

 
 会場では資源維持のための募金活動も行った。来場者が寄せた募金は稚魚の放流事業に役立てられる。

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング

DAZN presents いわてグルージャ盛岡 パブリックビューイング

 

8月27日(土)18時から釜石PITで「いわてグルージャ盛岡 vs アルビレックス新潟」のパブリックビューイングを開催します。J2残留をかけた引き続き大事な一戦になります。釜石PITから熱い応援を送りましょう!

対象試合

2022明治安田生命J2リーグ 第33節
いわてグルージャ盛岡 vs アルビレックス新潟
会場:いわぎんスタジアム(HOME)

日時

2022年8月27日(土) 18:00 キックオフ
開場 17:30

場所

釜石PIT(岩手県釜石市大町1-1-10)

料金

参加費(運営協力費)500円
・会場でお支払いください
・PV参加者へは、ドリンク(500ml)1本サービス
・運営協力費は本PV開催の為の運営費の一部として使用いたします

その他

・入場時は検温および手指消毒をお願いします
・観戦時のお食事はできません
・大声を出しての声援はお控えください

主催

釜石まちづくり株式会社

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

「釜石新聞News」夏季休載のお知らせ

「釜石新聞News」夏季休載のお知らせ

 

日頃は釜石新聞NewSをご覧いただき、誠にありがとうございます。
夏季休載期間として、下記の期間は記事の配信を休止いたします。

 

休載期間:2022年8月22日(月)~8月24日(水)

 

取材に関する情報提供やお問い合わせ等につきましても、25日(木)からの対応とさせていただきます。
ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 

2022年8月22日
釜石まちづくり株式会社

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自由に弾いて♪釜石市民ホールにストリートピアノ 釜石商議所青年部が寄贈「音で街を明るく」

釜石市民ホールに設置されたストリートピアノ

釜石市民ホールに設置されたストリートピアノ

 
 誰でも自由に演奏できる「ストリートピアノ」が8日、釜石市大町の市民ホールTETTOにお目見えした。市が、釜石商工会議所青年部(宍戸文彦会長、会員28人)から寄贈を受けて設置。同日の寄贈式典では、かまいしこども園(藤原けいと園長)の園児10人がピアノ演奏に合わせて歌声を響かせ、「テットにすてきなピアノがきてうれしい」と喜びを表現した。
 
 贈られたのはヤマハのアップライトピアノ1台で、同ホール1階共通ロビーに設置。釜石商議所青年部が東日本大震災から復興したまちの新たなにぎわいづくりに役立ててもらおうと、会員らから寄付を募って購入し、市に寄贈を申し出た。管理を担当する同ホールでは「催しなどに影響がなければ、誰でも自由に弾いてもらえるようにしたい」としている。
 
ピアノの設置を祝って歌声を響かせた子どもたち

ピアノの設置を祝って歌声を響かせた子どもたち

 
「きれいな音だね」。鍵盤に手を伸ばして音を確認

「きれいな音だね」。鍵盤に手を伸ばして音を確認

 
 式典で、園児たちは保育教諭のピアノ伴奏に合わせて歌や踊りを披露。実際に鍵盤に触れて、音を確認したりした。小笠原大智(ひろとも)君(5)は「きれいな音だった。さっき歌った『ツバメ』を弾けるようになりたい」とうなずいた。
 
寄贈した釜石商工会議所青年部の会員ら。手前が宍戸会長

寄贈した釜石商工会議所青年部の会員ら。手前が宍戸会長

 
 宍戸会長(47)は「震災後、まちは再構築されたが、これからは心の復興が課題になる。音楽は心を和ませ、希望を持たせてくれる。音を使って中心市街地を明るく盛り上げたい。このピアノが釜石を訪れるきっかけ、観光資源になれば」と期待した。
 
ストリートピアノで音を奏でる楽しさを共有

ストリートピアノで音を奏でる楽しさを共有

 
 設置されると早速、演奏に来る人も。吹奏楽部の先輩(大学生)と連弾を楽しんでいた市内の高校生は「立派なピアノを自由に弾けて、すてきな思い出になる。温かい音がいい。音楽は詳しく知らなくても人とつながれるし、語らずとも伝わるものがある。また弾きに来たい」と笑顔を重ねた。
 
 

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企業版ワーケーション受け入れ好調の釜石を視察 北海道・富良野市の観光関係者ら、応用へ手応え

ワーケーションの現場視察で釜石市を訪れた富良野市の関係者ら

ワーケーションの現場視察で釜石市を訪れた富良野市の関係者ら

 
 新型コロナウイルス禍で注目されるのが、仕事と休暇を組み合わせた労働形態「ワーケーション」。全国各地で普及に向けアイデア合戦が繰り広げられる一方、一過性にとどまらず都市から地方への人の流れを定着できるか試行錯誤が続く。美しいラベンダー畑など雄大な自然を抱く観光地、北海道富良野市もワーケーションによる「持続可能な観光(サスティナブル・ツーリズム)」に着目するが、発展途上。2018年以降4年連続で「世界の持続可能な観光地100選」に選ばれた釜石市の取り組みからヒントを探ろうと、富良野の市職員や観光関係者ら9人が5日から2泊3日の日程で来釜、現場を視察した。
 
 富良野はテレビドラマ「北の国から」のロケ地として知られ、コロナ禍前は延べ約190万人が訪れる人気観光地。ただ、ドラマファンらは50代以上と年齢が高めで、観光の先細りを防ぐため、若年者といった新しい客層の取り込みを模索する。美瑛町など近隣市町村と地域連携DMOを設立しているが、独自の取り組みを推進する必要性を認識。宿泊費助成などでワーケーション客の受け入れを進め、今年度、現時点での実績は約40人。全体ビジョンや戦略が固まっておらず、提供する体験プログラムの開発などが課題だという。
 
釜石情報交流センターや市民ホールがある中心市街地を視察

釜石情報交流センターや市民ホールがある中心市街地を視察

 
 釜石でワーケーション事業を担うのは、観光地域づくり法人「かまいしDMC」(河東英宜代表取締役)。ワーケーション施設を開設するだけでなく、市の観光振興ビジョン「釜石オープン・フィールド・ミュージアム構想」をもとに、釜石に生き、暮らす人、そのなりわいに光を当て、それらをプログラム化し、固有の自然や歴史、文化を学ぶことができる仕組みを作っている。地域交流を通じた新たな価値創造につながると期待が高まり、今年はこれまでに延べ約250人が利用する。
 
根浜海岸では震災後の地域づくりに理解を深めた

根浜海岸では震災後の地域づくりに理解を深めた

 
いのちをつなぐ未来館では利用状況を聞いた

いのちをつなぐ未来館では利用状況を聞いた

 
 今回の視察では5日に、河東代表取締役らの案内で大町の釜石市民ホール、鵜住居町のいのちをつなぐ未来館、根浜海岸などをめぐり、東日本大震災後の復興まちづくりや防災、海を生かした観光の取り組みなどの説明を受けた。かまいしDMCが指定管理する魚河岸の魚河岸テラスで、観光まちづくりの実践を聞き取った。
 
 河東代表取締役は「利用者は日常と離れた学び直しの機会に注目している。観光資源のない釜石が持続可能な観光づくりを進めるには体験プログラムを磨いていくしかない。地域のことを深く学び、関わることで繰り返し来る。それが釜石の観光」と強調。企業や団体をターゲットにニーズを聞きながらプログラムを充実させてきた経緯などを伝えた。
  
魚河岸テラスではワーケーション普及に向け意見交換した

魚河岸テラスではワーケーション普及に向け意見交換した

  
 富良野の10人は、釜石市内全域を「屋根のない博物館」に見立てた同構想に興味を持った様子。法人立ち上げの資金、プログラムの開発法、観光協会といった既存組織との連携などについて熱心に質問した。翌日には地元漁師が案内する漁船クルーズ体験を控え、富良野市企画振興課の松野健吾主査(51)は「富良野には応用できる地域資源、素材がある。やり方を工夫すれば魅力的なプログラムを作れる」と実感を込めた。
 
 同商工観光課の本田寛康課長(49)は「ワーケーションを企業単位で受け入れている成功事例が釜石。手法をまねれば、できるものでもない。参考にし、ワーケーション実践者を引き付けるものを見つけたい」と刺激を受けた。知名度を生かした観光に、持続可能性を見据えた取り組みを加えるには「民間の力が必要」と再認識。「地域の産業に密着し、実践者も地域も喜ぶ取り組みにしたい」と前を向いた。

hanabi1089

お帰り!釜石の夏 港彩る大輪の花に歓声 3年ぶりの納涼花火に市民ら笑顔

釜石港を彩る「釜石納涼花火2022」=11日

釜石港を彩る「釜石納涼花火2022」=11日

 
 新型コロナウイルス感染症の影響で2年間中止が続いていた釜石市の納涼花火大会(市、釜石観光物産協会主催)が今年復活。11日夜、釜石港で開かれた。東日本大震災犠牲者の鎮魂、新型コロナの早期終息などを願い、午後7時から約1時間にわたり約3千発を打ち上げ。港周辺に設けた4つの観覧場所合わせて約1万人が夏の風物詩を楽しんだ。
 
 例年、盆入り前に行われる同市の納涼花火。3年ぶりの開催となる今年は、観客の期待も大きく、開始1時間前から各観覧場所に家族連れや若者グループなどが続々と集まった。魚河岸の市魚市場エリアと港町の陸中海岸グランドホテル付近には出店も並び、久しぶりの夏風景が広がった。
 
 午後7時。協賛企業や団体の紹介後、秋田県大仙市「大曲の花火協同組合」の4社17人による花火の打ち上げが始まった。港町の桟橋から3~5号玉、創作花火、スターマインなどの各種花火が打ち上げられたほか、小型船が移動しながら仕掛ける水中花火が次々と繰り出された。多彩な色や形、複数の花火を組み合わせた演出に観客は魅了され、目に焼き付けるとともにスマートフォンのカメラに美しい光景を収めた。
 
花火の光で桟橋のクレーンが浮かび上がる光景は釜石ならでは!

花火の光で桟橋のクレーンが浮かび上がる光景は釜石ならでは!

 
月明かりとコラボする水中花火。海面に映る光とも華やかに競演

月明かりとコラボする水中花火。海面に映る光とも華やかに競演

 
多くの人がスマホカメラを片手に観覧。美しい光景を記憶と記録に残す

多くの人がスマホカメラを片手に観覧。美しい光景を記憶と記録に残す

 
 家族3人で訪れた花巻市の髙橋理央さん(24)は初めて釜石の花火を観賞。岸壁から間近で見る水中花火に感動し、「すごい迫力。他の地域にはない特別感」と声を弾ませた。ここ2年、コロナ禍で各地の花火大会が中止されてきたが、「感染防止対策もしっかりしつつ、地域の活性化につながるイベントを開催していけるようになれば」と願った。
 
 同級生4人で申し合わせ、浴衣姿で訪れた植田杏奈さん(釜石中3年)は「3年前に見た時より豊富な色合いで、迫力も全然違った。すごくきれい」と感激。中学最後の夏休みは、来春の高校受験に向けた勉強で大忙し。「久しぶりにみんなで集まれて良かった。いい思い出もできて、これからの受験勉強も頑張れそう」と力を蓄えた様子。地域のにぎわい復活も喜んだ。
 
市魚市場エリアの観覧会場で花火を楽しむ観客

市魚市場エリアの観覧会場で花火を楽しむ観客

 
岸壁から見る水中花火は音とともに迫力満点!右奥にはライトアップされた釜石大観音も

岸壁から見る水中花火は音とともに迫力満点!右奥にはライトアップされた釜石大観音も
 
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嬉石方面より撮影/撮影:西条佳泰(株式会社Grafica)

 
 釜石観光物産協会によると、今年の人出はコロナ前とほぼ同等。各会場では手指の消毒のほか、出店の配置を工夫するなど観客が密にならないような対策を講じた。「久しぶりの花火大会を皆さん楽しみにしていたようで、人出は予想以上。事故もなく無事に終えられたことが何より」と同協会。
 
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嬉石方面より撮影/撮影:西条佳泰(株式会社Grafica)