コロナ禍で1年延期した「いわての森林の感謝祭」の開催を決めた実行委の会合

いわての森林の感謝祭 10月2日開催に~限りなく規模を縮小、簡素化

コロナ禍で1年延期した「いわての森林の感謝祭」の開催を決めた実行委の会合

コロナ禍で1年延期した「いわての森林の感謝祭」の開催を決めた実行委の会合

 

 第13回いわての森林(もり)の感謝祭実行委員会(会長・野田武則釜石市長)は25日、同市役所で会合を開き、8月中に最終判断するとしていた開催の可否について、当初の予定通り10月2日に開くことを決めた。参加者は市内の関係者を中心とした数十人程度に縮小。限りなく簡素化した形で植樹、式典を実施するとした。

 

 委員6人が出席し、新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえて協議した。植樹は鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムを会場に、作業時間を短縮して実施。スタッフを含めた約300人の参加予定者は大幅に縮小し、市内の児童の参加も見合わせる。参加予定だった関係者にはパンフレットや記念品(林野火災の被災木を活用した皿、地元産乾燥シイタケ)などを発送する。

 

 同感謝祭は県や各市町村、県緑化推進委員会が主催。県民参加の植樹や育樹活動を通じ、森林の恵みに感謝する行事として2007年度に始まり、各市町村を巡って開いている。第13回は20年秋の開催予定だったが、コロナの影響で1年延期していた。

 

 県緑化推進委の赤澤由明常務理事は「木を植え、緑化思想の啓発につなげることが感謝祭の意義。経験したことのない状況下、スタイルを変えざるを得ない」と指摘。野田市長は「限りなく縮小した形で、開催に理解を得られるよう準備を進めていく」とした。

GI保護制度の登録証や甲子柿のPRポスターがある空間で作業が進められた

農福連携・甲子柿 出荷準備着々~障害者福祉施設利用者らシール貼り作業

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透明の容器に2種類のシールを貼る女性。やさしい手つきで作業に励んだ

 

 農業の人手不足を解決し、障害者の働く場を確保する「農福連携」の取り組みが、釜石市内で進められている。甲子(かっし)柿の里生産組合(藤井修一組合長)は、出荷準備作業の一部を市内2カ所の福祉作業所に委託。NPO法人遠野まごころネット(佐藤正市理事長)が運営する甲子町の障害者自立支援施設「まごころ就労支援センター」(山本智裕施設長)で8月24日、出荷用の箱などに名称シールを貼り付ける作業が始まった。

 

 甲子柿は、渋柿の一種の小枝柿を「柿室(かきむろ)」と呼ばれる暗室に入れ、1週間ほどいぶして渋抜きしたもので、釜石を代表する秋の味覚。完熟トマトのような甘さとゼリーのような食感、甘さが特長だ。

 

 今年3月、地域ならではの農林水産物や食品のブランドを守る国の「地理的表示(GI)保護制度」の対象に登録された。専用のGIマークを付けて販売できることから、地域ブランド産品としての差別化や販路拡大に、生産者らが寄せる期待は大きい。ブランド化の機運が高まり、20ほどだった組合員数は27個人・団体に増えている。登録を受け、出荷用化粧箱や食品包装容器にGIマークを付ける必要があり、同施設などに作業を依頼した。

 

GI保護制度の登録証や甲子柿のPRポスターがある空間で作業が進められた

GI保護制度の登録証や甲子柿のPRポスターがある空間で作業が進められた

 

 この日は、同施設を利用する18~64歳の5人が作業に参加。利用者はGIマークとともに、「甲子柿」とブランド名が印刷されたシールを一つ一つ丁寧に貼り付けていった。佐藤弘一朗さん(26)は「指定されたところに正確に貼ろうと集中して頑張った。マークがあることで、買った人がおいしいんだなと思ってくれたらいい」と熱心に手を動かした。

 

「角に合わせてきっちりと」。集中して作業に取り組む施設利用者ら

「角に合わせてきっちりと」。集中して作業に取り組む施設利用者ら

 

 シール付けは化粧箱2000個、容器8000個を予定し、2施設で分担する。10月初旬には柿の実を磨く仕上げ作業も開始。今季は10月中旬からの出荷が見込まれており、11月下旬までのシーズン中は継続して取り組む。

 

 農福連携は、高齢化する生産現場の労働力確保と、働く機会の拡大を図る障害者福祉事業者の農業分野参入や社会参画による生きがいづくりにつなげる取り組み。作業を見守った同組合事務局、市水産農林課の櫻庭理恵主任は「双方の課題を解決するウィンウィンの関係が作られている」と強調した。市は本年度、農福連携に関する補助金事業を設けており、甲子柿以外の作物での活用も期待する。

釜石市 交通事故死ゼロ1年6カ月達成 県警から賞賛状

釜石市 交通事故死ゼロ1年6カ月達成 県警から賞賛状

釜石市 交通事故死ゼロ1年6カ月達成 県警から賞賛状

「交通事故死ゼロ」継続へ気持ちを高める関係者ら

 

 釜石市は8月16日で交通死亡事故1年6カ月間ゼロを達成した。市に対する賞賛状の伝達式が18日、市役所で行われ、野田武則市長や交通安全関係者がさらなる記録の伸長を誓った。

 

 釜石署の前川剛署長、松舘茂雄交通課長らが市役所を訪問。菊池重人釜石地区交通安全協会長、佐藤鉄太郎市交通指導隊長らが同席した。前川署長から県警本部長の賞賛状を受け取った野田市長は「警察、関係機関の支援と協力のおかげ。さらに気を引き締めて交通事故ゼロ作戦に取り組んでいきたい」と思いを語った。

 

 前川署長は「市民一丸となって見事に更新し、交通安全に寄与してもらっている。今後も交通安全活動を推進し、安全安心なまちとして発展してほしい」と願った。

 

 同署によると、市内では2020年2月16日に新町地内の市道で横断中の歩行者に車両が衝突し、高齢の女性が犠牲となる事故があって以来、死亡事故が発生していない。人身事故件数、負傷者数ともに減少傾向にあるが、まもなく訪れる秋の夕暮れ時はあっという間に暗くなり、歩行者の事故が多くなるという。

 

 今後は、▽シグナルストップ広報活動(信号で停止した車両のドライバーに対し、チラシなどを配布しながら交通安全を呼び掛け・毎週水曜日実施)▽パトロールを目立たせる「見せる警戒」活動▽「速度を落とせ」「早め点灯」などパネルを掲げる街頭活動-などに力を入れて事故抑止を図る考えだ。

今年も中止が決まった「釜石まつり」。感染症が原因での中止は関係者も記憶にないと話す=写真:2019年

「釜石まつり」2年連続の中止に 新型コロナ感染拡大防止図る

今年も中止が決まった「釜石まつり」。感染症が原因での中止は関係者も記憶にないと話す=写真:2019年

今年も中止が決まった「釜石まつり」。感染症が原因での中止は関係者も記憶にないと話す=写真:2019年

 

 10月15~17日に予定されていた釜石市の「釜石まつり」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止される。6日に開かれた釜石まつり委員会(委員長=野田武則釜石市長)で決まった。2年連続の中止となる。

 

 釜石の秋を彩る同まつりは、尾崎神社(浜町)と釜石製鉄所山神社(桜木町)の合同祭。1967(昭和42)年の市制施行30周年を機に始まり、釜石湾内での曳き船まつり(尾崎神社海上渡御)、両神社合同みこし渡御が呼び物の市内最大規模の祭りとして親しまれる。

 

 東日本大震災があった2011年にも合同祭の神事は行い、翌12年からは合同渡御も復活。まちの復興を後押ししてきたが、昨年春から続く新型コロナ感染症の影響で、今年の合同祭も見送られることになった。曳き船まつりは2019年も悪天候のため開催できず、3年連続という異例の中止となった。

 

大漁、海上安全などを祈願する「曳き船まつり」。来年こそはと願わずにはいられない=写真:2017年

大漁、海上安全などを祈願する「曳き船まつり」。来年こそはと願わずにはいられない=写真:2017年

 

 両神社はそれぞれ宵宮祭、例祭の神事を、規模を縮小して関係者のみで行う予定。

新型コロナウイルス感染症対策及び夏期休業による取材休止・休載のお知らせ

新型コロナウイルス感染症対策及び夏期休業による取材休止・休載のお知らせ

日頃は釜石新聞NewSをご覧いただき、誠にありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症対策及び夏期休業のため、以下の通り取材休止・休載とさせて頂きます。

 

取材休止期間:
2021年8月26日(木)~8月31日(火)
 
記事配信休載期間:
2021年9月1日(水)~9月7日(火)

 

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、取材休止・休載期間が延長される場合があります。あらかじめご了承ください。

 

引き続き、「釜石新聞NewS」をよろしくお願いいたします。

「かまいし絆宣言」パネルの寄贈を喜ぶ絆会議メンバーら

震災の教訓つなぐ「かまいし絆宣言」パネルに 地元水産会社が贈る

「かまいし絆宣言」パネルの寄贈を喜ぶ絆会議メンバーら

「かまいし絆宣言」パネルの寄贈を喜ぶ絆会議メンバーら

 

 「私たちは伝え続けます 大震災から学んだことを 未来のみんなの笑顔のために 光輝く 未来へと」。釜石市の14小中学校でつくる「かまいし絆会議」が、東日本大震災の教訓継承のため今年3月に策定した「かまいし絆宣言」がパネルになり、市教育委員会と各校に届けられた。子どもたちは、さまざまな思いを紡いだ宣言を大切にし、内外に発信する気持ちを高めている。

 

 パネルの製作、寄贈は両石町の泉澤水産(泉澤宏代表取締役)と岩手銀行(田口幸雄頭取)による取り組み。同社が発行した、いわぎん「みらい応援私募債」の手数料の一部を活用した。

 

パネルを贈った泉澤さんの思いに子どもたちは耳を傾けた

パネルを贈った泉澤さんの思いに子どもたちは耳を傾けた

 

 8月5日、大町の市民ホールで絆会議が開かれるのに合わせ、贈呈式が行われた。泉澤代表取締役は「多様性を受け入れて多くの絆を結び、より良いまちをつくるリーダーに育ってほしい」と激励。岩銀釜石支店の野々村渉支店長は「宣言にある事柄を着実に実行してほしい」と期待した。

 

 贈られたパネルは全部で16枚。各校に配置されるのは縦45センチ、横60センチのパネルで、受け取った佐々木健心君(釜石東中3年)は「宣言に込めた思いを未来につなぎ、たくさんの人に発信していきたい」と感謝した。縦1メートル、横2メートルのものは市教委で保管。子どもたちの思いを多くの人に見てもらおうと、同ホールにもパネル(縦520センチ、横730センチ)を掲げることにしている。

 

高校生や大人を交えた絆会議で、小中学生が地域についての思いや考えを伝えた

高校生や大人を交えた絆会議で、小中学生が地域についての思いや考えを伝えた

 

 贈呈式の後に行われた会議では、9月25日の「絆の日」にちなんだ取り組みを話し合った。協働まちづくり推進に向け市民で構成する「かまいし未来づくりプロジェクト」、スーパーサイエンスハイスクール(SSH、文科省指定)として地域課題研究を行う釜石高の生徒らを交え、▽規則正しい生活▽地域防災▽釜石の良さ―などをテーマにした意見交換会も行った。

8年目の運行を開始した「SL銀河」。雄姿再び!

待ってた!お帰り!SL銀河 8年目の運行開始に沿線住民も笑顔

8年目の運行を開始した「SL銀河」。雄姿再び!

8年目の運行を開始した「SL銀河」。雄姿再び!

 

 JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)を走る蒸気機関車「SL銀河」は、21日から今季の運行を開始した。初日は「SL銀河東北DC結び号」として、特別に盛岡駅始発で釜石駅まで運行。沿線では、1年ぶりの運行を喜ぶ住民らが手旗を振って歓迎した。12月5日まで、毎週土・日曜日に上下32本の運行を予定する。

 

 東日本大震災で被災した東北の復興支援、地域活性化を目的に、2014年に運行を開始した「SL銀河」。例年は春の観光シーズン入りに合わせ、4月に運行を開始するが、今年は昨年の運行終了後、数年に一度の機関車の大規模な点検整備を実施したことで夏の開始となった。

 

 21、22の両日は、「東北デスティネーションキャンペーン(DC)」(4月1日~9月30日)のヘッドマークを付けて運行した。東北DCは、震災10年に合わせ、東北6県の自治体、観光関係者、JRなどが一体となって行う大型観光キャンペーンだが、新型コロナウイルス感染拡大により、各地で予定されていたイベントや周遊列車は相次いで中止に。同結び号には「駅や鉄道と地域を結ぶ架け橋に」との願いが込められた。

 

釜石駅に到着。周辺では市民らがお出迎え=21日

釜石駅に到着。周辺では市民らがお出迎え=21日

 

 21日は午前8時に盛岡駅を出発。午後3時10分に釜石駅に到着した。当初、各駅では郷土芸能やご当地キャラクターによるおもてなしを予定していたが、県独自の緊急事態宣言発出を受け、一部が取りやめになった。それでも、沿線住民らは列車の通過時に手を振るなど、精いっぱいの歓迎の気持ちを表した。

 

 八雲町の踏切で待ち構えた前田雄基君(釜石小6年)は、「釜石線からありがとう」「結(むすび)」などの文字が入った手旗を振って歓迎した。自宅は線路のすぐ近くで、「乗り鉄」「撮り鉄」「音鉄」を自称する大の鉄道好き。黒煙を上げる姿をタブレット端末に収め、「手を振ったら汽笛を鳴らしてくれた。乗客も手を振ってくれた」と大喜び。「やっぱりSLっていい。ずっと走ってほしい」と、隣に立つ母親と笑顔を重ねた。

 

 釜石駅では、例年行っている虎舞による歓迎は中止されたが、JR社員や観光関係者がホームで横断幕や大漁旗を掲げ、乗客を迎えた。長野県のホテル勤務の男性(30)は、観光業の視察を兼ねてSL銀河に初乗車。「(宮沢賢治の)『銀河鉄道の夜』の世界観が最高。子どもも大人も楽しめる」と感動。今年に入り4路線のSLに乗っており、「それぞれに違う魅力があるのが、SLの楽しみの1つ」と目を輝かせた。

 

対面ホームも使い、距離を取りながら乗客を歓迎

対面ホームも使い、距離を取りながら乗客を歓迎

 

旅の思い出に歓迎の様子をカメラに収める乗客

旅の思い出に歓迎の様子をカメラに収める乗客

 

 吉田正樹釜石駅長は「私たちも心待ちにしていた。乗客からも『やっと乗ることができた』という喜びが伝わってくる。コロナ禍で不安もあったが、お客様の笑顔が見られて何より」と一安心。8年目の運行に「SLの蒸気の音を聞くと元気がもらえるという声をよく耳にする。沿線住民にも乗ってもらい、素晴らしさを体験してほしい」と願う。

 

 SL銀河では、消毒液を用いた車内の拭き清掃、乗員、乗客のマスク着用、手指消毒、検温、停車駅での換気強化など感染防止策を徹底。人気の車内プラネタリウムは当面、休止するが、代わりにスマートフォンでQRコードを読み込むと、映像が見られるようにしている。

 

運行2日目 上り列車も市内各所で歓迎ムード 家族連れらが熱視線

 

上り運行で陸中大橋駅に入るSL銀河=22日

上り運行で陸中大橋駅に入るSL銀河=22日

 

 運行2日目22日は前日からの雨も上がり、市内の各駅や線路沿いのポイントで鉄道ファンや家族連れが花巻行きのSL銀河の到着、通過を待ちわびた。

 

 上りの始発・釜石駅の発車時刻は、昨年までと比べ約1時間早い午前9時57分になった。遠野駅での停車時間を約2時間と長くし、駅周辺観光を楽しんでもらう狙い。花巻駅には午後3時19分に到着する。

 

 仙人峠手前の陸中大橋駅には、午前10時29分の到着時刻を前に、市内や近隣市町から続々と見物客が訪れた。山の緑を背景に黒煙をたなびかせながら走る雄姿を写真に収めようと、周辺では思い思いのポイントでカメラを構える人の姿が。列車がホームに滑り込むと、集まった人たちが手を振って歓迎した。

 

到着した列車に手を振る家族連れら

到着した列車に手を振る家族連れら

 

 約10分の停車時間には、列車を降りた乗客が、周囲の景色とともに車体をカメラに収める光景も。山あいの無人駅がひととき華やいだ。

 

黒煙を上げる機関車の姿は、かつて大橋から鈴子に鉄鉱石を運んだ「釜石鉱山鉄道」時代をほうふつとさせる

黒煙を上げる機関車の姿は、かつて大橋から鈴子に鉄鉱石を運んだ「釜石鉱山鉄道」時代をほうふつとさせる

 

「よい旅を!」花巻に向け出発する列車を見送る

「よい旅を!」花巻に向け出発する列車を見送る

 

 遠野市の佐藤義孝(よしゆき)さん(45)、梨紗さん(35)夫妻は、愛娘の希空(のあ)ちゃん(1)を連れて来駅。「いつも遠くからは見ていたが、こんなに近くで見るのは初めて。すごい迫力。娘も汽笛の音にびっくりしていた」と堪能。職場が釜石という義孝さんは「沿線のまちを元気にする意味でも釜石線を走ってくれるのはいいこと」と歓迎。梨紗さんは「今度はぜひ乗ってみたい」と望んだ。

岸壁の潮だまりで海の生き物探し=平田漁港

海辺の生き物に歓声!「こどもエコクラブ」平田の磯場で観察会

岸壁の潮だまりで海の生き物探し=平田漁港

岸壁の潮だまりで海の生き物探し=平田漁港

 

 子どもたちが身近な自然に親しむことで、環境意識高揚を図る釜石市の「こどもエコクラブ」は7日、本年度初の体験学習で、海辺の生物観察を楽しんだ。県の「特別採捕許可」を受け、ペットボトルのしかけで生き物を捕獲。個体観察を行った後、海に放した。子どもたちは小さな命の営みに感激し、自然環境を守る大切さを学んだ。

 

 市内の小学生ら25人が参加。平田漁港に近い磯場が観察場所となった。市内で漁業体験や海洋教育のコーディネートを行う任意団体「すなどり舎」の齋藤孝信代表(60)が講師を務め、2カ所で生物観察を行った。岸壁の突端にできた潮だまりでは、海草などに隠れたイソガニ、ヤドカリ、ハゼの幼魚を確認。小さなカニは手にとって観察した。

 

「何か動いた!」潮だまりに目を凝らす子どもら

「何か動いた!」潮だまりに目を凝らす子どもら

 

小さなカニがたくさん見つかったよ!!

小さなカニがたくさん見つかったよ!!

 

 続いて、大きな岩や石が転がる海岸線を移動し、杉ノ浜手前の観察ポイントに向かった。ここでは、子どもたちが手作りしたペットボトルのしかけにえさとなるサンマの切れ端を入れ、岩の陰などに沈めて、生き物が入るのを待った。この捕獲法は県の特別許可、釜石湾漁協の同意を得て実施した。

 

手作りのペットボトルのしかけを海に投入。 この日だけの体験

手作りのペットボトルのしかけを海に投入。この日だけの体験

 

 約20分後、しかけを引き上げると、中にはイワガ二、ヤドカリのほか〝思わぬ珍客〟クサフグの姿が。子どもたちは掛かった生物をじっくり観察。中には卵を抱えたカニもいて、目を輝かせながら見入った。イカの短冊を付けたひもを岩の陰などに垂らし、カニ釣りにも挑戦した。

 

「何か入っているかな?」ペットボトルの中をのぞき込む子ども

「何か入っているかな?」ペットボトルの中をのぞき込む子ども

 

捕れたカニやフグを手に笑顔満開!観察後は「元気でね」と海に放した

捕れたカニやフグを手に笑顔満開!観察後は「元気でね」と海に放した

 

 ペットボトルのしかけにフグが掛かった久保伶奈さん(双葉小5年)は「最初は生き物が入るとは思わなかったので、実際に入ってびっくり。釜石は自然がいっぱい。これからも触れ合っていきたい」と話した。

 

 宝田明香里さん(小佐野小4年)、弟の空大(たかひろ)君(同1年)は昨年、仙台市から移住し、初めての釜石の夏を満喫。空大君は「カニを8匹捕まえた。いろんな生き物がいる海が好き」とご満悦。明香里さんは「カニは小さかったが、爪が鋭かった。生き物を守るには、人間が海にごみなどを投げ込まないことが大切。自分も気を付けている」と海洋環境にも目を向けた。

 

 講師の齋藤さんは「震災の影響などで心理的に遠くなっている海を近づける、いい機会。親子で自然の生き物に触れ合う姿はもともとある風景。足元には、まだまだ楽しい遊びがあることを感じてもらえれば」と願った。

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

 

 東京パラリンピックの聖火は、全国47都道府県約880市区町村から集められた火とパラ大会発祥の地・英ストーク・マンデビルの火を合わせ、いよいよ、あす24日、開会式が行われる国立競技場に運ばれる。本県の全33市町村で採火された火は16日、盛岡市で集火され、開催地東京に送り出された。釜石市では、釜石駅前広場の「鉄のモニュメント」から〝ものづくりの灯(ひ)〟を採火し届けた。

 

 近代製鉄発祥150周年を記念し、2007年に設置された同モニュメントには、新日鉄釜石製鉄所(現・日本製鉄)構内で保存される高炉の火が分灯され、「ものづくりの灯」として燃え続けている。

 

 釜石での採火は15日にセレモニーとして行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う県独自の緊急事態宣言発出を受け、翌16日午前に無観客で実施。関係者6人が立ち会った。野田武則市長は「釜石の大事な火が全国の火と1つになり、さらなる元気と勇気を日本、世界に発信してくれることを願う」とあいさつ。モニュメントからトーチに採火し、盛岡に運ぶためのランタンに移した。

 

鉄のモニュメントから野田市長が「ものづくりの灯」をトーチに採火

鉄のモニュメントから野田市長が「ものづくりの灯」をトーチに採火

 

東京パラリンピック24日開幕 釜石の「ものづくりの灯(ひ)」も聖火に

 

 釜石の火を届けるのは、甲子町在住の全盲の砲丸投げアスリート小笠原智さん(75)。野田市長からランタンを託され、「パラアスリートが力いっぱい競技できるよう(祈りながら)、私も頑張って運んできます」と宣言。夕方、盛岡で行われる集火・出立式に妻ノリ子さん(69)、市の担当職員と共に向かった。

 

パラリンピック聖火になる火を野田市長から託される小笠原智さん

パラリンピック聖火になる火を野田市長から託される小笠原智さん

 

大役への感謝と意気込みを示す小笠原智さん(左)と妻のノリ子さん

大役への感謝と意気込みを示す小笠原智さん(左)と妻のノリ子さん

 

 難病で視力を失った小笠原さん。今回の大役に「重大な役目をいただき感謝。パラリンピックは自分も出てみたいと思う憧れの舞台」と喜びを表現。「選手にいい試合をしてもらうことが一番の願い。私たちもそれによって力をもらえる。どれだけうれしいことか。障害を持つ人たちが少しでも前に、外に出て、元気になるきっかけになれば」と思いを込めた。

 

 小笠原さんは、10月に三重県で開催予定の全国障害者スポーツ大会に出場が決まっている。同大会は、一昨年は台風19号、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されており、「何とか今年こそは」と2年越しの大会を目指し練習を重ねる。

 

 20日に東京都内で集火されたパラリンピック聖火は、都内各所での点火セレモニーを経て、あす24日、開会式会場の国立競技場に運ばれる。

震災10年 600発の打ち上げ花火で犠牲者追悼~唐丹ゆめあかり~

震災10年 600発の打ち上げ花火で犠牲者追悼~唐丹ゆめあかり~

震災10年 600発の打ち上げ花火で犠牲者追悼~唐丹ゆめあかり~

 

 東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市唐丹町で7日、犠牲者を追悼し、地域の安寧を祈る花火が打ち上げられた。震災以降、毎年夏に継続するイベント「唐丹ゆめあかり」(同実行委主催)の一環。約600発の花火が上がり、住民らは震災から10年となる特別な年にさまざまな思いを重ねながら、夜空を焦がす大輪の花を見つめた。

 

 花火は仙台市の芳賀火工(芳賀克司社長)によって、同町小白浜漁港で午後7時半から約15分間打ち上げられた。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、岸壁に集まる人は少なめだったが、漁港に面する高台の民家などから多くの住民が夏の風物詩に見入った。

 

小白浜漁港で打ち上げられた唐丹ゆめあかりの花火

小白浜漁港で打ち上げられた唐丹ゆめあかりの花火

 

唐丹の夜空を彩る花火に地元住民らが見入った

唐丹の夜空を彩る花火に地元住民らが見入った

 

 唐丹ゆめあかりは震災があった2011年にスタート。ペットボトルキャンドルを防潮堤など海岸エリアにともし、犠牲者の鎮魂と復興への祈りを込める場としてきた。13年には、東北の被災各地で花火を打ち上げるプロジェクト「LIGHT UP NIPPON」とのコラボも実現。市内外の支援者らの協力で、郷土芸能披露や縁日なども加えた復興イベントに発展してきたが、昨年、今年は新型コロナ感染防止のため、打ち上げ花火のみの実施となった。

 

 夏休み中の一関航帆君(唐丹中3年)は友人4人で岸壁から花火見物。「今までのように盛大にはできないけど、ほとんどのイベントが中止される中、こうやってきれいな花火が見られるのはうれしい」と笑顔。「震災10年という節目の年なので、これまで受けた支援を、今、災害とかで大変な地域に返していくことが大事」と思いを込めた。

 

震災犠牲者の鎮魂とともに、コロナの早期終息への願いが込められた花火

震災犠牲者の鎮魂とともに、コロナの早期終息への願いが込められた花火

 

 同花火の打ち上げは、16年から地域住民や地元企業、団体からの協賛金で支えられる。昨年はコロナ禍で実行委はイベント中止を決めていたが、例年打ち上げに協力している芳賀火工が支援を申し入れ、地域限定の〝サプライズ花火〟として実施された。

 

 唐丹地域会議の佐々木啓二議長(77)は「継続してこられたのは住民の力によるところが大きい。震災を風化させず、次の世代に伝えていこうとする気持ちの表れ」と実感。コロナ禍2年目の夏に、地元を離れる唐丹出身者にも思いを寄せ、「帰ってきたいだろうが、盆にも帰れない状況。震災10年だから地元の様子を見に行こうという人もいたと思う。非常に残念」と心を痛めた。

屋形遺跡で発掘体験を行った小学生ら。地道な作業を熱心に続けた

唐丹町大石・屋形遺跡で発掘調査体験 唐丹小児童 地域の歴史に興味津々

縄文土器のかけらなどを掘り当てた子どもたち

縄文土器のかけらなどを掘り当てた子どもたち

 

 釜石市唐丹町大石の国史跡「屋形遺跡」で5日、小学生を対象にした発掘調査体験が行われた。唐丹小(柏﨑裕之校長)の4、5年生13人が挑戦。土の中から土器のかけらを見つけると「あった!」と歓声を上げた。

 

 同遺跡は東日本大震災の復興事業に伴う発掘調査で出土。縄文時代中期末から後期初頭(4000~3800年前)を主体とする竪穴住居や貯蔵蔵の遺構とともに、三陸沿岸では数少ない希少な事例の貝塚が発見された。三陸沿岸のなりわいの実体を示す遺跡として重要であることなどが評価され、今年3月に国史跡の指定を受けた。

 

 市文化振興課が遺跡の大きさなどを確認する試掘調査を進めていて、子どもたちに郷土の歴史に親しんでもらおうと企画。体験用に設けられた発掘現場に入った子どもたちはスコップなどで少しずつ土を掘り、埋まっている“何か”が見えたら、丁寧に周りの土を取り除いていくという作業を繰り返した。最初に何かを見つけて「ドキドキする」と胸を高鳴らせていたが、結果は石で「残念」と肩を落とす子も。めげずに掘り進めると、表面に紋様のある土器や石器のかけらが次々と見つかった。

 

屋形遺跡で発掘体験を行った小学生ら。地道な作業を熱心に続けた

屋形遺跡で発掘体験を行った小学生ら。地道な作業を熱心に続けた

 

 同課の加藤幹樹主任(36)は「見つかったものは約2300~4800年前のもの。唐丹では古くから魚を捕って暮らしていた」と解説した。試掘調査を行っている現場も案内。途中にある畑や草地に目をやると、縄による模様付けをされた土器のかけらが転がっていて、「普通にかけらが落ちている。この遺跡のすごさが分かる」と強調した。

 

子どもたちは試掘調査の現場も見学して地域の歴史に関心を寄せた

子どもたちは試掘調査の現場も見学して地域の歴史に関心を寄せた

 

 児童らは竪穴住居跡なども見学し、縄文時代から海の恩恵を受けて暮らしていた集落の様子を想像。鈴木琳雅君(5年)は「(土器のかけらが)簡単に出てきてびっくり。自分の住んでいるところにすごいものがあると思った。いろんなことを知った。また発掘してみたい。夏休みの思い出にもなった」と満足げだった。

 

 試掘調査は8日まで実施。市では今後は一般見学の受け入れを目指した整備・活用方法を探る考えだ。

釜石市長からのお願い(市長メッセージ)

新型コロナウイルス感染症に関する情報 釜石市長からのお願い(市長メッセージ)

市民の皆さまへ ~ 釜石保健所管内におけるクラスターの発生について ~

 

 8月12日に、人口10万人当たりの直近1週間の新規患者数が15人を超える16.5人となり、「岩手緊急事態宣言」が発出されました。

 

 その後も県内においては、一日平均40人を超える新規感染者が確認されており、8月19日現在では、人口10万人当たり25.2人まで増加しております。

 

 釜石保健所管内でも、8月15日から連日、新規感染者の確認が続いており、これら一連の感染はスポーツ関連によるクラスター(感染者集団)の発生によるものと公表されております。

 

 現在のところ釜石保健所により感染者の範囲が特定され、感染が拡大することのないようクラスターを封じ込める対応が取られておりますので、いたずらに不安を感じる必要はありません。

 

 しかしながら、県内の感染例は変異株であるデルタ株にほぼ置き換わっており、感染力が高いデルタ株は、これまでとは違うレベルのウイルスであるということに危機感を持つ必要があります。

 

 市民の皆様におかれましては、新規感染をこれ以上増やさないよう、基本的な感染対策を徹底するとともに、人と人との接触を避けるため、不要不急の外出は自粛するようお願いします。

 

 なお、市では、この度の岩手緊急事態宣言を受け、感染拡大防止のため各施設の利用制限を実施しています。

 

 市民の皆様には当分の間、ご不便をおかけいたしますが、ご協力をお願いいたします。

 

令和3年8月19日
釜石市新型コロナウイルス感染症対策本部
本部長 釜石市長 野田武則

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元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020030900307/
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