釜石市内各界の代表が集った新年交賀会。鏡開きし、まちづくりへの思いを確認し合った。

2018 新年交賀会、復興完遂 誓い合う〜ラグビーW杯へ準備本格化、震災教訓生かし市民憲章づくりも

 釜石市内各界の代表が集った新年交賀会。鏡開きし、まちづくりへの思いを確認し合った。

釜石市内各界の代表が集った新年交賀会。鏡開きし、まちづくりへの思いを確認し合った。

 

 2018年仕事始めの4日、釜石市の新年交賀会が大町のホテルサンルート釜石で開かれた。市、市議会、釜石商工会議所が主催する年頭の恒例行事には、市内各界の代表や市民ら約200人が出席。東日本大震災からの復興完遂と市勢発展を誓い合った。

 

 「君が代」を斉唱したあと野田武則市長が年頭のあいさつ。「昨年は林野火災、大雨洪水など災害が多かったが、被災した鵜住居、唐丹の学校が完成し子どもたちが元気に登校でき、魚市場、市民ホール、新しい橋も完成し市中心部の発展に期待が高まる年になった。復興の歩みを着実に感じられるところまで何とかたどり着いた」と振り返った上で、「復興住宅の建設、宅地造成をスケジュール通りに完成させ、今年こそ被災した方の住まいの再建、復興の完遂を目指すという固い決意を皆さんとともに確認し、全力を尽くしたい」と決意を述べた。

 

 市では今年、魚河岸地区のにぎわい施設整備、鵜住居駅周辺の追悼・伝承施設、体育館の建設などと合わせ、震災の教訓を生かし二度と悲劇を起こさないため市民憲章づくりも進める。同時に、来年に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)開催に向けた準備も本格化させたい考え。

 

 野田市長は「復興の完遂を目指すことは同時にW杯の準備でもある。W杯は釜石の歴史の中でもこれまでにない大事業となり、成功に向け総力を挙げて取り組まなければならない。また、まちの発展につなげるような仕組みも作っていくという意味で今年は釜石の歴史にとって大事な一年になると改めて肝に銘じているところ。実現のためにはぜひとも市民の力が必要だ」と述べ、復興の完遂、W杯の成功に向けた取り組みへの支援と協力を願った。

 

 佐々木義昭・市議会議長、釜石商議所の山崎長也会頭のあいさつに続き、鈴木俊一五輪相の祝辞を秘書の鈴木俊太郎さんが代読。震災復興、水産業を中心とした基幹産業と市街地のにぎわい再生に向けた取り組みを滞りなく進めてほしいと期待を寄せた。

 

 沿岸広域振興局の小向正悟局長らが加わり、威勢よく鏡開き。小野共県議の音頭で乾杯し、新しい年を展望しながら懇談した。

 

(復興釜石新聞 2018年1月6日発行 第653号より)

 

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雪景色の中で技術を高める「炭焼き人」(左端・小澤さん、右端・山口さん)

地域資源掘り起こしの「のろし」に、炭焼きの光景復活〜来春には窯を囲んで交流イベントも、唐丹町山谷

雪景色の中で技術を高める「炭焼き人」(左端・小澤さん、右端・山口さん)

雪景色の中で技術を高める「炭焼き人」(左端・小澤さん、右端・山口さん)

 

 五葉山の麓、釜石市唐丹町の山谷地区で、炭焼き窯から煙がたなびく。山麓一帯の豊富な森林資源を活用した木炭生産が盛んだった地域に、数十年ぶりの光景が復活した。一筋の煙は木炭による住民の交流、歴史と知恵、資源の掘り起こしを目指す「のろし」でもある。

 

「ドラム缶式」で試験操業

 

 ドラム缶を加工した専用窯は農業小澤孝行さん(78)、ふみ代さん(78)夫妻が住む家の南向きの畑地にある。11月から試験操業を開始。27日には6回目の炭出しを迎え、程よい仕上がりの竹炭が取り出された。

 

 メンバーは小澤さんと唐丹地区生活応援センターの小山善司所長ら職員。“仕掛け人”の元釜援隊、山口政義さん(35)は市の任期付職員として同センターを中心に唐丹のまちづくりを担う。

 

 「古くから山谷、荒金地区は炭焼きが盛んで、山間地の貴重な現金収入だった。木炭は家庭の燃料、製鉄の材料になった。炭焼きは原料の木材資源をもとに、品質の良い炭を造る知識が必要だ。唐丹の自然や資源を掘り起こすには、炭焼きも一つの手段になる」と山口さん。インターネットで技術と用具を調べ、「ドラム缶式」を探り当てた。

 

 石積み、火口を耐火レンガで覆い、選ばれた粘土で包み込む。雨よけの屋根は、強風にも耐えるよう地元の建築大工が腕を振るった。工事は1カ月かかった。

 

「今回の出来は上々」と炭出しを楽しむ=27日

「今回の出来は上々」と炭出しを楽しむ=27日

 

 小澤さんは高齢の両親を介護するため30年ぶりに帰郷し、1998年に夫妻で転居した。自宅周辺に広がる約2ヘクタールの所有地は大半が山林だったが、南斜面を切り開き畑地に変えた。ラベンダーを植栽し、6種の約400株を育て、摘み取り時期には多くの来園者を迎えるまでになった。小規模ながらブルーベリー、イチジクなど果樹も増やしている。

 

 小澤さんは「小さいころ、父親ら家族も炭焼きをしていた。私は食糧や用品を背負って山の奥にある窯まで運んだ。炭焼きの生活は体験しているが、技術は知らない」という。山口さんは木炭製造の原理は理解するが、技術は暗中模索だった。

 

 山谷地区は11世帯が暮らす。80代の男性が炭焼きを経験しており、強力な「助っ人」になった。

 

 サクラなどの小枝、雑木、竹を原料にした5回の試作品は地元の集会行事でも披露された。「(竹炭は)荒れる竹林の整備にもなる」と町内の竹林所有者から譲り受けた。雑木の提供も打診している。竹炭は消臭、水の浄化などに関心を集め、木炭は冬の漁船漁業での暖房用にと要望があった。

 

 この事業は唐丹地域会議(川原清文議長)が進める。ドラム缶式炭焼きは約8時間で完了することから、イベントへの活用も容易。「唐丹の資源、魅力を子どもたちに伝えるとともに、炭焼きを知る年代にも喜ばれるだろう。炭焼きと、炭を使った体験、交流イベントもできる」と山口さん。炭を入れるワラの「炭すご」作りも準備が進んでいる。

 

 炭焼き窯の披露とイベントは、雪解け後の来春を見込む。

 

(復興釜石新聞 2017年12月30日発行 第652号より)

 

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中心市街地のにぎわいや釜石港の物流機能強化につながると期待される千年橋を渡り初めする子どもたち

甲子川に「千年橋」開通、港の物流強化へ〜イオンタウン釜石と国道を直結、避難路の利用も想定

中心市街地のにぎわいや釜石港の物流機能強化につながると期待される千年橋を渡り初めする子どもたち

中心市街地のにぎわいや釜石港の物流機能強化につながると期待される千年橋を渡り初めする子どもたち

 

 釜石市の市道港町2号線の道路整備事業が完了し、27日に開通した。甲子川に橋を新設し、港町2丁目(通称・中番庫地区)と国道283号を結ぶ道路。橋の名称は600通を超える応募の中から「千年橋」に決まった。震災後、釜石港ではコンテナ取扱量が増大。復興への取り組みが続く中、資材などを運ぶ大型車両の通行量もいまだに多く、同港へのアクセス道路としての活用や渋滞緩和が期待される。大型商業施設と公共施設を効果的に配置した市中心街の利便性を高めるとともに、中番庫地区からの避難経路の一つとしての利用も想定。同日には開通式が現地で開かれ、野田武則市長ら関係者、地域住民ら約200人が新橋の誕生を祝った。

 

 同事業は港町2丁目から鈴子町地内が施工範囲。長さ91メートル、幅15メートルの橋を新設し、橋に接続する市道220メートルを改良。国道側は交差点を設置するため、丁字路の両側340メートルを改良した。公益財団法人県土木技術振興協会が設計、小澤組が施工し、2013年度に着工。整備に当たり甲子川の洪水時の水位、橋の上を通過する三陸鉄道の高架橋との距離、国道との接道などで厳しい施工条件があり、クリアするため橋げたをできるだけ薄くする「パネルブリッジ」という工法を採用した。サケの遡上(そじょう)などにも配慮しながら工事を進め、4年がかりで完成。不発弾探査などを含め、事業費約24億円をかけて整備した。

 

 橋の名称は8月に市内小・中学校の児童・生徒を対象に公募し、617件の応募があった。選考の結果、大瀧結菜さん(甲子中2年)が寄せた「千年橋」が最優秀賞に選ばれ、名称として採用。「震災で被災した町が復興し、明るい未来に向かって千年先もにぎわい、住民が安全安心に暮らせるように」との願いを込めた。このほか、優秀賞には13件、42人が選ばれた。

 

 揮ごうした橋名板を持つ命名者の大瀧結菜さん(左)、野田武則市長

揮ごうした橋名板を持つ命名者の大瀧結菜さん(左)、野田武則市長

 

 開通式で、野田市長は「東部地区の拠点性が発揮される場所で、効率的な交流が図られると期待。いい名称も付けてもらった。大切に、親しみを持って利用してほしい。込められた思いを実現させ、市の発展につなげたい」とあいさつ。公募した名称の優秀作品者に表彰状を贈った。

 

 関係者らがテープカットした後、全員で渡り初め。かまいしこども園の園児は虎舞を披露し、開通に花を添えた。

 

開通を祝って関係者がテープカット

開通を祝って関係者がテープカット

 

 橋名板を揮ごうし、最後の取り付け作業も行った大瀧さんは「選ばれてびっくり。考えたものが残ると思うとうれしい。安全で使いやすい橋になればいいな」とはにかんだ。

 

名称公募の優秀賞は次の通り。
▽復興大橋・復興橋・復幸橋=政木心南、阿部帆歌、佐々木美結、佐藤陽菜、髙木柊、福舘早紀(甲子中)佐々木杏津(小佐野小)鹿本勁雅(大平中)久保翔太(唐丹小)
▽旭橋・朝日橋=井上右望(鵜住居小)福士花凛(甲子中)
▽にぎわい中番庫橋=川崎茜羽(甲子小)
▽昇鮭橋=千葉太陽(甲子小)
▽中番庫橋=栗澤真登、川崎逞斗(栗林小)
▽望海橋・希見橋・のぞみ橋・のぞみばし=工藤麻純(釜石小)藤本恵梨子(小佐野小)久保杏奈(双葉小)佐々木大地(白山小)
▽絆橋・きずな橋・キズナ橋=玉木那奈(釜石小)前川咲希(釜石中)米澤心優、山口葉月、小久江七音、池端穂花、山口夢夏、高橋こと、池端愛音(甲子小)母良田花、藤井俊介(甲子中)植田杏奈(小佐野小)山﨑遥香(双葉小)佐々木愛佳(釜石東中)
▽かがやきばし=菊池眞暖(双葉小)
▽みなとばし=工藤純之助(釜石小)
▽かもめ橋・かもめばし=菊池一朗(甲子小)工藤叶羽(小佐野小)
▽うみがきらきらばし=小岩南月(甲子小)
▽幸運橋・興運橋=中村俊翔、藤井暖(甲子小)
▽鮭見橋・鮭観橋=佐々木里夏(鵜住居小)藤原和海(釜石小)

 

(復興釜石新聞 2017年12月30日発行 第652号より)

 

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