最後まで全力プレー 甲子園に爽やかな風〜釜石大敗 ベスト8進出ならず


2016/04/05
復興釜石新聞アーカイブ #スポーツ

伝令役の菊池主将がマウンドに走ると岩間投手ら内野陣に笑顔が広がる

八回表の釜石のピンチ、伝令役の菊池主将(右)がマウンドに走ると、岩間投手ら内野陣に笑顔が広がる

 

 第88回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)で初戦を突破した釜石(岩手)は25日、2回戦で滋賀学園(滋賀)に1―9で敗れ、ベスト8進出はならなかった。頼みのエース岩間大投手(3年)の制球が乱れ、初回に2点、二回に1点、四回は3点を失うなど序盤から主導権を握られた。攻めては五回の1得点にとどまった。大敗に終わったものの、釜高ナインは最後まで走攻守に全力で、はつらつとしたプレーを披露。震災の逆境を乗り越えて臨んだ甲子園の晴れ舞台に、爽やかな風を吹かせた。(学年は新年度)=4面に関連記事

 

「よく頑張った」「ありがとう」はつらつプレーに感動の拍手〜釜石ナイン爽やかに散る

 

 接戦に持ち込み、後半に勝負をかけたい釜石だったが、先発岩間は立ち上がりから制球が定まらない。失策から走者を許し、連続安打と中犠飛でいきなり2点を失った。リズムを取り戻せないまま二回、四回にも連打を浴び、失点を重ねた。中でも3番後藤に二塁打2本を含む5安打、4番馬越には本塁打を含む3安打と主軸を抑えることができなかった。攻めては五回に新沼康大(2年)の右中間二塁打から2死一、三塁とし、大尻悠矢(2年)の左前打で1点を返すにとどまった。

 

 九回裏2死、最後の打席に入った岩間大投手が捕飛に終わりゲームセット。釜石ナインは唇をかみ、滋賀学園の校歌を聞いた。足取りも重く三塁側のアルプススタンド前に整列し、応援団に向かって深々と頭を下げた。

 

 「何もできなかった。打たれるとは思ったが、守りでミスが出た。粘れればと思っていたが、流れをつかめなかった。私自身の試合に対する気持ちの作り方が足りなかった」。インタビュールームで佐々木偉彦監督(32)は肩を落として、そう答えた。

 

 試合直前に選手に見せて士気を高めるメッセージ動画をこの日も見せたが、「もう1回ピークをつくるのは難しかった」。

 

 「(小豆島との)初戦は話題性が大きかったが、今度は野球そのものが問われる」(佐々木監督)と気を引き締めて臨んだ2回戦。19安打を浴び、9失点と完敗に終わった。しかし釜石ナインは最後まで笑顔を絶やさず、野球を楽しんだ。

 

 そこには、「たくさんの期待を背負い、子どもたちにはつらい時期もあったと思うが、甲子園では伸び伸びと野球を楽しんでほしい」という佐々木監督の願いもあった。

 

 象徴的だったのは、八回のピンチ。菊池智哉主将が全力で伝令に走ると、マウンドに集まった内野陣に笑顔が広がった。新沼康大一塁手が「投げさせてくれ」と冗談交じりに言うと、「オレも」「オレも」となったという。岩間投手がボールを渡すことはなかったが、笑顔で落ち着きを取り戻した。

 

 最後までベンチで声を出し続けた菊池主将は「悔しい結果となったが、釜石らしい全力野球は見せることができた。チーム全体が成長し、夏には甲子園に戻ってきたい」と誓った。

 

(復興釜石新聞 2016年3月30日発行 第474号より)

 

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