松原町に「慰霊の碑」〜震災5年 記憶と教訓刻む

2016/03/07|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

芝崎住職が祈祷した慰霊碑の除幕式

大勢の出席者が見守る中、芝崎住職が祈祷した慰霊碑の除幕式

 

 東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市松原町に津波犠牲者を供養する「慰霊の碑」が完成し、2月28日、現地で除幕式が行われた。この碑は松原町内会(八幡徹也会長、69世帯)が実行委員会を組織し、高台の松原墓地入り口に建立。震災から5年を迎える住民らは、碑の前で犠牲者の鎮魂と教訓の伝承に思いを強くし、二度と悲劇を繰り返さないことを誓い合った。

 

 式には町内会員や市、警察関係者ら約80人が出席した。八幡会長と野田武則市長が除幕を行い、仙寿院の芝崎惠應住職が祈祷(きとう)。出席者は焼香し祈りをささげた。同町で夫と夫の弟を津波で亡くし、平田の仮設住宅に暮らす女性(68)は「慰霊碑ができてありがたい。5年がたち、だんだん落ち着いてきた」と心境を話し、犠牲者の冥福を祈った。

 

慰霊碑の前で焼香し静かに手を合わせた

式の出席者は完成した慰霊碑の前で焼香し静かに手を合わせた

 

 芝崎住職は法話で「亡くなった者を慰めるだけでなく、震災の教訓を伝えてこそ慰霊碑本来の意味が果たされる。語り継ぐことが生き残った者の務め」と諭した。

 

 御影石の慰霊碑は高さ1メートル30センチ(台座含む)。「二〇一一年三月一一日 東日本大震災慰霊之碑」と刻まれた。右隣の銘板には、町内会員が考えた文言「鎮魂のいのりは永遠に波濤を超えて」と刻まれ、共に高さ約60センチの土台の上にしつらえられた。総工費は約180万円。町内会員と同町出身者ら縁故者からの寄付金で賄われた。

 

 松原町では震災の津波で住民25人が犠牲になり、町内の事業所に勤務していた人や通行人ら約40人もこの地で命を落とした。当時、町内会には220世帯、30事業所が加入していたが、全体の3分の2が被災。低地に集中していた事業所は9割が流失した。

 

 町内会は震災後約5カ月間、避難所運営に奔走した。その後は毎月1回、仮設住宅などで暮らす人たちも含む集まりの場「松原会」を開き、住民の絆を守り続けてきた。会の中で慰霊碑の話が持ち上がり、震災から5年の節目に念願の建立にこぎ着けた。

 

 八幡会長(64)は「ここから津波で亡くなられた方々が松原の復興を見守り続けてくれるものと思う。1日も早い完全復興、住み心地のいいまちを目指したい」と決意を新たにした。

 

(復興釜石新聞 2016年3月2日発行 第466号より)

 

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