「絆、忘れない」別れの餅つき 甲子B仮設住宅自治会〜支援の学生らとハーモニー、仮設住宅集約化で6月までに退去へ

2016/02/02|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

「絆」と刻まれた復興リンゴを手に記念撮影する自治会長の萬さん(前列左から2人目)

「絆」と刻まれた復興リンゴを手に記念撮影する自治会長の萬さん(前列左から2人目)

 

 雪が舞う釜石市甲子町松倉の甲子B仮設住宅で24日、法政大の学生らが協力して「大餅つき大会」が開かれた。同仮設住宅は市の集約化計画に伴い、今年6月にも撤去される予定。餅つき大会は、半年後を見据えた最後のイベントとして企画。震災後5年にわたり支え合ってきた住民らは「別れ別れになっても、ここで培った絆は忘れない」との思いを込め、力強く杵(きね)を振るった。

 

 餅つき大会は、同仮設住宅自治会(萬敬一郎会長)が県共同募金会被災地住民支えあい活動助成金を活用して企画した。同住宅住民のほか、周辺の仮設住宅にも呼びかけ、約50人が参加。高速道路を維持管理する会社で、被災3県で支援活動に取り組むネクスコ・エンジニアリング東北(仙台市青葉区)は仙台と北上市の事業所から7人の社員が駆け付け、「絆」の文字を浮き彫りにした復興リンゴ200個を住民らに贈った。

 

 イベントに協力したのは、法政大多摩キャンパスで学ぶ現代福祉学部の学生有志でつくる復興ボランティア団体「スタ学」。2年前から同仮設のイベントに協力するなど支援活動に取り組んでおり、今回は法大落語研究会のメンバーにも呼びかけ、18人が支援に訪れた。

 

 学生らはイベント会場を用意したほか、トン汁やあんこ餅を振る舞うなど大活躍。落研のメンバーは「ときそば」などを熱演。何とも不器用な「南京玉すだれ」を披露し、住民らを笑わせる場面もあった。

 

 同住宅では住民有志が毎月2回、歌の練習に取り組んでおり、この日のイベントでは学生らも交え、復興支援ソング「花は咲く」など3曲を披露。ハーモニーの輪で絆を結んだ。

 

支援の学生らと合唱を披露する仮説住宅の住民ら

支援の学生らと合唱を披露する仮説住宅の住民ら

 

 同仮設住宅には、ピーク時には52世帯が生活していたが、復興公営住宅の整備などに伴って減少し、現在は29世帯に。集約化に伴い6月までにすべての世帯が退去。市内6カ所ほどの仮設住宅へバラバラに移り住むという。

 

 港町で被災し、3代目の自治会長を務める萬さん(72)は「今回が最後の大きなイベントとなるが、若い学生さんたちと一緒にやれるのは本当に楽しく、人と人の信頼、絆を強く感じる」と喜ぶ。萬さんは甲子町松倉の仮設住宅に移り、そこから只越町の復興住宅に入居する予定。スタ学代表の日高純菜さん(21)=3年=と仲良く杵を持ち、「ここで勉強させてもらったことを、次の仮設住宅や復興住宅のコミュニティーづくりに役立てたい」との決意を込め、振り下ろした。

 

 臨床心理士を目指して勉学やボランティア活動に励む日高さんは「この仮設住宅での活動は最後になりますが、ここでの経験を後輩に伝え、釜石での支援活動は継続していきたい」と話す。

 

(復興釜石新聞 2016年1月27日発行 第456号より)

 

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