災害時の広域連携強化へ課題共有〜沿岸自治体、応援職員意見交換「震災5年目シンポジウム」大槌町で開く

2016/02/01|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

沿岸自治体関係者ら120人が参加した「震災5年目シンポジウム」

沿岸自治体関係者ら120人が参加した「震災5年目シンポジウム」

 

 県沿岸広域振興局(佐々木和延局長)が主催する「東日本大震災津波5年目シンポジウム」が22日、大槌町浪板の三陸花ホテルはまぎくで開かれた。大槌町や釜石市など震災で甚大な被害を出した沿岸自治体関係者ら約120人が参加。応援職員を交えて他自治体からの復興支援の取り組みを振り返り、現状を検証するとともに、災害発生時の自治体間の連携強化に向け、パネル討論などで意見を交換。今後の広域支援のあり方や課題を探り、情報を共有した。

 

 震災発生当時、県防災危機管理監として災害対応の指揮を執った越野修三さん(岩手大地域防災研究センター専任教授)が「東日本大震災津波における広域支援について」と題して基調講演。震災発生当初の被害状況を説明し、「被害は予想をはるかに超え、被災地の行政は機能しなかった」と振り返った。

 

 その背景には「被災市町村における圧倒的な人・物・情報の不足があった」と指摘。▽膨大な量の救援物資の集積、配分、輸送業務▽燃料不足の中での救援活動―などを挙げ、「国の調整窓口が一元化していないため、調整に苦労した。国としての広域的な物流システムを確立すべき」と強調。今後の課題として、▽応援側、受援側の指揮・調整を円滑にできる仕組みと体制の構築▽被災地のニーズを吸い上げる情報収集体制と行政、民間などの役割の明確化▽全国的な支援基盤の構築―を挙げた。

 

 「将来の災害対応に備えた自治体間連携の必要性」をテーマにしたパネル討論で、震災直後から被災地の後方支援に当たった菊池保夫さん(遠野市総務部参事)は「震災前に後方支援拠点構想を掲げ、沿岸9市町村と津波対応協力会議を設けていたのが大きく生かされた」と説明。「自治体の権限や財源強化、対応マニュアルの策定、ニーズや情報の把握、強力なリーダーシップが必要」と指摘した。

 

災害時の広域連携強化へ向け繰り広げられたパネル討論

災害時の広域連携強化へ向け繰り広げられたパネル討論

 

 震災から2年後に本県に派遣された清水充さん(東京都都市整備局市街地整備部用地担当課長)は「被災地の受援ニーズ把握が非常に難しかった」と振り返り、「支援のリスト化や協定締結が必要」と強調。

 

 阪神淡路大震災での応援や中越地震での災害対応を経験した今井重伸さん(新潟県長岡市地域戦略部主査)は「遠野市の取り組みから学びたい。災害時における自治体間の連携は進化しているのではないか」と高く評価した。

 

 パネル討論にも加わった越野さんは「支援をする方、受ける方も、どれだけ事前に準備しているかに尽きる。平素から役割や目的をきちんと決めておかなければ連携はできない。事前の備えの7~8割をマニュアル化し、ルールを決め標準化しておくことが大切だ」などとアドバイスした。

 

 沿岸振興局の佐々木局長は「県と沿岸市町村の連携を強め、復興を加速させたい」と強調。多くの自治体職員の応援を受けている大槌町の平野公三町長は「まちづくりはこれからが正念場。自治体間のネットワークを生かし、真の復興につなげたい」と決意を述べた。

 

(復興釜石新聞 2016年1月27日発行 第456号より)

 

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