釜石市民劇場 被災母子の「小さな幸せ」描く〜前を向いて生きる家族の絆

2015/11/16|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

釜石市民劇場

大好きな父親との思い出に支えられ、強く生きる親子の姿を描いた第29回市民劇場公演

 

 第29回釜石市民劇場「小さな幸せの花~あなたを忘れない」(同実行委主催)は8日、釜石市鈴子町のシープラザ遊で上演され、約200人が観劇した。東日本大震災による休演を経て復活3年目の今年は、震災で父親を亡くした母子の物語。4年の歳月を経た日常に、大切な思い出を胸に前を向いて生きる家族の絆が描かれた。深い悲しみを経験した人たちに希望をつなぐ内容が共感を呼んだ。

 

 全8景の舞台。震災で父親が行方不明になり、残された母親と3人の子どもは、近所の友人や父の職場の同僚らに見守られ暮らしていた。ある日、長女が帰宅せず大騒ぎに。無人駅でうとうとする長女は夢に現れた父から亡くなった生母の存在を聞くとともに、今の母、自分、2人の妹に向けられる深い愛情を知る。「母の日」、家族は母の大好きな花の花言葉「小さな幸せ」をかみしめる。

 

 家族愛が表現された夢の中のシーンは、セリフの一部を歌にしてミュージカル風に演出。原作・脚本は実行委の久保秀俊事務局長が手がけた。キャストは子どもから大人まで14人。約50人のスタッフ、実行委員が支えた。

 

 公演後、母親役(主人公)の小笠原景子さん(31)は、小学生の時に父を亡くした自身の経験と重ね、「(故人を)思い出すことで、姿は無くとも存在し続ける。悲しみは幸せの肥やしとなり、耕された後には必ず”小さな幸せの花”が咲くと思う」と劇に込めた気持ちを観客に伝えた。

 

 同劇場公演は震災前、市民文化会館の自主文化事業として行い、郷土の先人をテーマに釜石ならではの市民手づくり舞台を毎年継続してきた。同会館が被災し2年の休演を余儀なくされたが、関係者の熱意で復活。苦労を重ねながらも創意工夫によるテント公演を実現させている。

 

 一関藤沢市民劇場に携わる男性(59)は「十分ではない環境の中で、今までの歴史を守っていこうという皆さんの心意気を感じる。劇を見ながら、死はつらいが生きている人間も何とか頑張っていかなくてはと思った」と語った。

 

 転勤で釜石に戻り、10年ぶりの出演となった阿部健一さん(47)は「何か協力できればとの思いもあって参加。仕事後の稽古など体力的にきつい面もあるが、市民劇場の仲間はやっぱりいい」と笑顔。初参加の鬼頭佑介君(釜石中1年)は「一からなので難しかったが、うまくできてほっとしている。また役者で出てみたい」と充実感を見せた。

 

 演出を担当して3年目となる坂脇和恵さん(44)は「みんなの力が集まれば、何もないテントでも公演ができる。人の力って本当にすごい。(2年後に完成予定の)市民ホールでのこけら落とし公演も決まっているので、キャストには本物の舞台で演じてほしい」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2015年11月11日発行 第435号より)

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昨日は、第29回釜石市民劇場【小さな幸せの花~あなたを忘れない~】へご来場いただきまして、本当にありがとうございました!天候が悪いにもかかわらず、たくさんの方に観劇いただき、感謝の気持ちでいっぱいです。第29回釜石市民劇場公演は終了しましたが、ほんの数ヶ月後には、次回公演に向けて始動いたします。今後とも、釜石市民劇場をよろしくお願いしますm(__)m

Posted by 釜石市民劇場 on 2015年11月9日

 

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