復興へ活気呼ぶ釜石まつり、秋に彩り 華やか曳き船〜みこし渡御 担ぎ手に強力助っ人


2015/10/26
復興釜石新聞アーカイブ #観光

薬師公園前の御旅所に到着したみこし

郷土芸能団体のにぎやかなお囃子の中、薬師公園前の御旅所に到着したみこし(前が尾崎神社)

 

 釜石の秋を彩る「釜石まつり」は17日、釜石湾内で恒例の「曳き船まつり」が行われ、澄みきった青空の下、大漁旗を翻した13隻が華やかな海上パレードを繰り広げた。最終日の18日は尾崎神社と新日鉄住金釜石製鉄所山神社の合同みこし渡御が行われ、東日本大震災からの復興を目指すまちを活気づけた。

 

 尾崎神社のみこしが海上を渡御する曳き船まつりは江戸時代から続く。東北では最も古くからの船祭りとされ、海上安全や大漁などを祈願する。尾崎半島青出浜の同神社奥宮で、ご神体をみこしに迎えた13隻の船団は昼過ぎに帰港。新浜町の第2魚市場岸壁では、大勢の見物客が出迎えた。

 

秋晴れに恵まれた曳き船まつり。青空に色とりどりの大漁旗が輝く

秋晴れに恵まれた曳き船まつり。青空に色とりどりの大漁旗が輝く

 

 色鮮やかな大漁旗をはためかせた各船には神楽、虎舞の郷土芸能団体や神社関係者が乗船し、お囃子(はやし)や踊りを披露しながら進んだ。みこしを乗せた御召船「第18宝生丸」が近づくと、見物客らはそれぞれの願いを胸に手を合わせた。

 

 震災の津波で港町の自宅を失い、愛知県名古屋市に移り住んだ鈴木博和さん(59)は「中学生の時、自分も祭りの船に乗っていた。船も人の数も多かった」と懐かしみ、今の釜石について「人口が減ってしまい寂しい。職場が増え生活基盤が整う復興を期待する」と古里再生を願った。

 

 18日は両神社の合同みこし渡御が行われた。行列参加者が鈴子町のシープラザ遊に集まり合同祭の神事を行った後、正午に出発。14団体、約1100人が大渡町から新浜町にかけて練り歩いた。

 

 近年、市内の祭りでは高齢化や震災の影響などでみこしの担ぎ手不足が表面化しているが、尾崎神社のみこしでは今年も多くの頼もしい助っ人が活躍した。松原、嬉石地区と大町、浜町など東部市街地の復興事業を手がける中央ブロック共同提案体(4社)は昨年に続き2回目の参加で、協力2社を含め総勢64人が、みこし担ぎや道具持ちなどを務めた。

 

 同提案体統括所長の安間正明さん(58)=熊谷組=は「白装束で祭りに参加する機会はなかなか無いので、みんな喜んでいる。昔ながらの伝統も学べ、コミュニケーションもとれる」とし、地域住民との信頼関係を深めながら1日も早い工事の完了へまい進することを誓った。

 

 みこしの担ぎ手協力を発案し事業提案書に盛り込んだ戸田拓也さん(49)=同=は「有言実行です。自分は東京から単身赴任で来ていて、こんな歴史のある祭りは初めて。とても感動している」と声を弾ませた。

 

 御旅所と目抜き通りのおまつり広場では芸能披露があり、各団体が自慢の舞で威勢を放った。見物客は復興工事で少しずつ変わりゆく街並みを背景に、秋の大祭を見守った。

 
目抜き通りを練り歩くみこしに手を合わせる見物客=大町

目抜き通りを練り歩くみこしに手を合わせる見物客=大町

 

 近所の仲間で祭りを見に来た源太沢町の川畑トミ子さん、八幡ミヨ子さん、佐々木英子さんは「今年は天気も良いし見応えがある。人出も昨年より多いようだ。まちが元気にならないと人も打ちしおれてしまう。祭りとかで景気良くしていかないとね」と、復興に祭りは欠かせないことを強調した。

 

(復興釜石新聞 2015年10月21日発行 第429号より)

 

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