高台からさまざまな思い交錯、進む造成「早く戻りたい」、鵜住居まちづくり協議会「見晴らし台」住民に公開


2015/10/05
復興釜石新聞アーカイブ #地域

造成が進む鵜住居地区、片岸地区を一望できる見晴らし台にて

造成が進む鵜住居地区、片岸地区を一望できる見晴らし台で、工事関係者から説明を受ける住民ら

 

 釜石市鵜住居町の鵜住神社北側で進む鵜住居小・釜石東中の新校舎整備事業に伴い、グラウンド予定地に設置された「見晴らし台」が26日、一般開放された。鵜住居地区、片岸地区のかさ上げ工事などの状況を見てもらおうと、鵜住居地区復興まちづくり協議会が主催。「涙が出る」「不安だ」「楽しみ」など、訪れた人らはさまざまな思いを抱えながら工事が進むまちを見下ろした。

 

 海抜14・7メートルの地点にある見晴らし台は、学校建設用地の造成や両地区の震災復興土地区画整理事業でかさ上げ工事などを行っているUR都市機構が設置した。一般開放に合わせ両地区の将来の計画図(案)などのパネルも掲示。同機構の職員らは工事の進ちょく状況のほか、現在整備が進められている高さ14・5メートルの防潮堤、近く建設工事が始まるという災害公営住宅の5階部分が、見晴らし台と同様の位置に見えることなどを訪れた人たちに説明した。

 

 2017年度からの使用開始を目指して建設が進む小・中学校の完成予定の模型も展示。鵜住居小1年の佐々木真央さんは「早く3年生になりたい。休み時間に何しようかな。本もたくさん借りたい。新しい学校楽しみ」と夢を膨らませた。弟の一真ちゃん(3)は「高いねー」と笑顔。母親の孝子さん(47)は「多くの子どもたちが楽しそうに通う姿を早く見たい」と期待した。

 

 「大変だったあの時を思い出し、涙が出る」と言葉を詰まらせたのは、震災で自宅が浸水したという鵜住居町日向地区に暮らす女性(66)。71歳の夫は「まちの状態を見ることができると思って来たが、見学しても将来の姿が想像できない。ここで生きていこうと思っているが、人が戻ってくるか心配。まちになるのか不安だ」と故郷の行く末を案じた。

 

 栗林町の仮設住宅で暮らす佐々木幸一さん(77)は根浜地区で漁業を営み、見晴らし台の前を毎日通っている。「工事をやっている人も一生懸命頑張っている」と労をねぎらい、「早く根浜に帰りたい。海は怒ると怖いが、広くて気持ちよく、やっぱり見ていたい」と待ち望んでいる。

 

 同協議会では今後も同様の見学会を実施したい考え。同機構釜石復興支援事務所の横山裕主査は「復興するまちのイメージを膨らませてもらえれば。多くの人に見てもらいたいので、機会があれば協力したい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2015年9月30日発行 第423号より)

 

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