被災地にエールの「宇宙桜」、橋野鉄鉱山に希望の植樹〜「三春滝桜」の種 若田さんと地球を回る、栗林小児童らも夢ふくらませ


2018/04/24
復興釜石新聞アーカイブ #地域 #観光

「橋野鉄鉱山」とともに幾千年も受け継がれることを願い、希望の「宇宙滝桜」を植樹

「橋野鉄鉱山」とともに幾千年も受け継がれることを願い、希望の「宇宙滝桜」を植樹

 

 宇宙を旅した日本の名桜(14種類)の種から発芽した希少な「宇宙桜」の一本が、釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」内の憩いの広場に植えられた。茨城県龍ヶ崎市の一般財団法人ワンアース(長谷川洋一代表理事)が行う東日本大震災復興支援「きぼうの桜事業」の一環。植えられたのは、日本三大桜の一つ、福島県三春町(鈴木義孝町長)の「三春滝桜」の子孫木で、14日、関係者によって植樹祭が行われた。

 

 同鉄鉱山インフォメーションセンターで、長谷川代表がプロジェクトの概要を説明。同法人名誉顧問の山崎直子宇宙飛行士のビデオレターが上映され、長谷川代表から野田武則市長に桜の根元に埋設する「紲(きずな)石」と宇宙フライト証明書が贈呈された。栗林小(佐藤勉校長、児童43人)の全校児童が、各地の植樹祭で歌い継がれるテーマソング「きぼうの桜」を合唱した。

 

「宇宙滝桜」に夢を託し、万歳三唱で植樹祭を締めくくる参加者

「宇宙滝桜」に夢を託し、万歳三唱で植樹祭を締めくくる参加者

 

 植樹場所の広場には、ドウダンツツジ190本をハート形に配した植え込みを用意。中心に発芽から8年が経過し樹高約3メートルに育った「宇宙滝桜」を据えた。ハートの先端は苗の故郷、三春町の方角を向く。鈴木町長、橋野町振興協議会の和田松男会長、栗林小児童会の佐々木健心会長、野田市長が桜の根元に土をかけ、児童らが代わる代わる水をやった。

 

 佐々木会長(6年)は「来てくれたお客さんに囲まれ、きれいに育ってほしい。ずっと成長を見守っていきたい」、岩﨑涼風さん(6年)は「元気に大きく育つよう願いを込めた。みんなに『見に来てね』と自慢できるような桜になれば」と夢を膨らませた。

 

 母樹の三春滝桜は樹齢1千年を超える枝垂れ桜の巨木で、毎年何十万人もの見物客が訪れる。2008年に地元小学生が拾った種(約200粒)はスペースシャトル・エンデバー号で国際宇宙ステーションに届けられ、日本のモジュール「きぼう」船内で、若田光一宇宙飛行士とともに4100回地球を回る8カ月半(08年11月~09年7月)の旅を行った。

 

 同町に帰還した種は再び小学生がまいて育て、関係者が特別に手入れを行ってきた。釜石市に贈られたのは、順調に育った約10本のうちの1本。鈴木町長は「震災や原発事故でわが町も大変だが、力を合わせ復興していきたい。宇宙桜を両市町の復興、絆のシンボルに」と願った。

 

宮沢賢治も大好きだったというラピスラズリでできた「紲石」

宮沢賢治も大好きだったというラピスラズリでできた「紲石」

 

 宇宙桜は、有人宇宙システムの社会貢献事業で誕生。同事業発案者で、15年に財団法人を設立した長谷川代表は、被災した東北3県の沿岸全市町村に宇宙桜を植える構想を継続中。「いずれ巨木となるであろう宇宙桜でつなぐ景観は、震災の記憶を後世に伝えるものとなる。100年後、世界遺産になる可能性は十分にある」とし、21年までに桜ラインをつなげたい意向を示した。

 

 今回植樹された広場沿いには、八重桜など数種の桜の木が連なり、これから順次開花する。同協議会が主催する今年の「八重桜まつり」は5月13日に開催される予定。

 

(復興釜石新聞 2018年4月18日発行 第682号より)

 

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