佐渡裕さん指揮、市民ホール開館祝うブラスサウンド〜被災地支援の思い込め、釜石市民吹奏楽団が共演

2017/12/25|カテゴリー:復興釜石新聞 文化・教育

市民吹奏楽団員や一般客を招き入れ演奏会を締めくくる佐渡さん

市民吹奏楽団員や一般客を招き入れ演奏会を締めくくる佐渡さん

 

 釜石市民ホールの開館を記念し、世界的指揮者の佐渡裕さんが指揮する「シエナ・ウインド・オーケストラ」の演奏会(市など主催)が16日、大町の同ホールで開かれた。約800人が真新しいホールに響くプロの吹奏楽サウンドを楽しみ、芸術文化の殿堂の誕生に心を躍らせた。

 

 吹奏楽の名曲「アルメニアン・ダンス」(全4楽章)、テレビ番組「題名のない音楽会」で佐渡さんが司会をしていた当時のテーマ音楽「キャンディード序曲」などを演奏。ゲスト出演した韓国出身の人気バリトン歌手キュウ・ウォン・ハンさんは、豊かな歌声でオペラやクリスマス曲を届けた。

 

 釜石市民吹奏楽団が共演し「アフリカン・シンフォニー」を演奏するステージも。フィナーレでは佐渡さんの呼び掛けで、同団員や楽器を持って集まった観客がステージに上がり、「星条旗よ永遠なれ」を高らかに響かせた。鳴りやまない拍手に、ホールは大きな感動に包まれた。

 

 佐渡さんは、震災の津波で大きな被害を受けた鵜住居町根浜の宝来館おかみ岩崎昭子さんからの手紙をきっかけに2011年8月、同海岸での鎮魂演奏を開始。指導するスーパーキッズ・オーケストラ(兵庫県)の団員と釜石・大槌を毎年訪れ、演奏会や中・高吹奏楽部、市民吹奏楽団との交流を重ねてきた。佐渡さんらの支援で、子どもたちのバイオリン教室「くらぶ海音(うみのおと)」も立ち上げられた。

 

 新ホールの完成に佐渡さんは「素晴らしい音響のホール。さまざまな人が集い、皆さんの心の広場になることを願う」と地域の音楽活動の活発化に期待。本演奏会の益金から、同教室へ寄付を行う意向も示した。

 

 約2時間の演奏を堪能した中妻町の千葉智子さん(57)は「何を聴いても涙があふれてね…。震災から今日までのことが走馬灯のように思い出された」と感激しきり。市民ホールの今後にも夢を膨らませ、「文化の育成は市の発展につながる。子どもたちも足を運ぶ機会が増えれば」と願った。

 

 市民吹奏楽団でトランペットを吹く山陰勝さん(50)は「佐渡さんと共演できて非常に光栄。ホールは響きが良く、吹いていても気持ちがいい」と喜びの笑顔。村井大司団長は「やっぱりホールでの演奏は最高。来年の定演が楽しみ。この場所が、日常的に音楽が聞こえるようなまちの拠点になれば」と思いを込めた。

 

(復興釜石新聞 2017年12月20日発行 第649号より)

 

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