懐かしの「みのすけ沼」を写真で 野鳥、昆虫、水生生物など60点〜自然の宝庫復活願い、21日まで鵜住居で

2017/12/22|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

「みのすけ沼」の豊かな自然環境を紹介する写真展

「みのすけ沼」の豊かな自然環境を紹介する写真展

 

 東日本大震災で失われた釜石市片岸町の「みのすけ沼」周辺の自然や生き物を紹介するミニ写真展が、鵜住居町の鵜住居公民館で開かれている。ふるさとの自然を愛する仲間でつくる市内の任意団体「グリーンリンケージ」(加藤直子代表)が企画。沼周辺の観察を通して撮りためた野鳥や昆虫、水生生物などの写真約60点を展示している。21日まで(土、日曜は休館)。

 

 みのすけ沼は大槌湾に注ぐ鵜住居川の河口の開けた場所にあり、面積は約1万平方メートル。地元では、もともと沼としてあったという説もあれば、かつては川の一部で堤防が建築されたため蛇行する川の流れが途切れて沼になったという人も。「みの助さん」という人が釣りをしていたのでそう呼ばれるようになったという話もあるとか…。

 

 沼の周辺には畑や田んぼが広がり、環境省のレッドデータブック準絶滅危惧種に指定されているミズアオイが自生するほか、野鳥が年間200種、トンボは30種が確認されるなど優れた自然環境を有していた。

 

 震災では沼周辺も壊滅的な被害を受けた。同団体の臼澤良一さん(69)=大槌町=は「(みのすけ沼は)県内有数の野鳥観察のスポット。巨大な生態系を釜石に残し、多くの人に自然を見てもらうため活動してきた」と振り返り、そうした気持ちは今も変わらないと強調。自然の多様な生き物たちが片岸町に戻ってくることを願い、写真展を企画した。

 

 展示されているのは被災前の沼周辺の風景、自然観察や調査時の様子を紹介する写真。国の天然記念物のオジロワシ、“パンダガモ”とも呼ばれるミコアイサなどの野鳥、ギンヤンマやマダラヤンマといった多種のトンボ、ナマズ、ウシガエル、スジエビなど水生生物を写したものも並ぶ。

 

 写真の多くは甲子町出身の菊地利明さん(52)=気仙沼市=が撮影。「みのすけ沼の自然環境を象徴する生き物たちを選んだ。市内の自然観察の憩いの場で、その周辺でしか見えないものもあった」と作品を見つめる。

 

 加藤代表(71)=甲子町=らが再生に取り組むミズアオイを紹介する写真もある。震災で沼の周辺では全ての生き物が消えたと思われたが、2012年、かつてミズアオイが自生していたと思われる片岸町内の土砂を採取し、場所を移して発芽実験を実施。開花に成功させると、その年以降にはトンボやカエルなど生き物の姿も見えるようになっているという。

 

 ミズアオイの花言葉は「前途洋々」。加藤代表は「懐かしいと思いながら見てほしい。皆さんの思い出と重なり、心を温めてもらえたら、うれしい」と願う。

 

(復興釜石新聞 2017年12月16日発行 第648号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

釜石のトピックス