「被災者の力になりたい」と決意、多田弁護士 4代目所長に〜釜石ひまわり基金法律事務所

2017/06/27|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

釜石ひまわり基金法律事務所の4代目所長に就任した多田創一弁護士と前任の加藤静香弁護士

釜石ひまわり基金法律事務所の4代目所長に就任した多田創一弁護士と前任の加藤静香弁護士

 

 全国の弁護士過疎地域に開設される公設事務所の一つ、釜石市上中島町の「釜石ひまわり基金法律事務所」は6月1日から新たな所長に多田創一弁護士(28)が就任。17日、前任の加藤静香弁護士(33)の労をねぎらい、多田弁護士を激励する会が市内のホテルで開かれた。3月から釜石での業務を開始している多田弁護士は「被災者の生活再建など悩みを抱える方々の力になりたい」と決意を新たにする。

 

 4代目の所長となる多田弁護士は東京都三鷹市出身。早稲田大、同法科大学院で学び、2013年に司法試験に合格した。仙台市で司法修習を行い、15年1月に弁護士登録。同市内の法律事務所勤務を経て、釜石に赴任した。

 

 大学卒業時に東日本大震災を経験。「いつか弁護士として復興に携わりたい」との思いを胸に、司法試験に挑んだ。試験直後、ボランティア活動で初めて足を踏み入れた被災地で住民の苦悩に触れ、あらためて現地で働くことに意を強くしたという。

 

 釜石に来て3カ月余り。すでに80件以上の新規相談を受ける。「債務整理や住宅再建に関わる相談が多く、自立による新たな問題も生じている。市民の皆さんに寄り添い、問題解決につなげたい」と多田弁護士。地域に根差し信頼される弁護士を目指し、新たな一歩を踏み出した。

 

 5月末で3年半の任期を終えた加藤弁護士は沿岸初の女性弁護士として活躍。在任中に受けた相談件数は894件に上る。赴任(13年10月)当初は区画整理に伴う土地の換地問題が多かったが、復興の進展とともに二重ローンなどの住宅問題、遺産分割、離婚といった問題が現れてきたという。DV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)、性犯罪被害女性の相談体制充実にも取り組んだ。

 

 7月からは山形県酒田市の父親の経営する法律事務所で働く。「釜石で培った経験を糧にどんな事件にも対応できる弁護士に」と地元貢献を誓う。3カ月間、仕事を共にした多田弁護士について「物腰が柔らかく、細やかなフォローで相談者にいろいろな可能性を提示してくれる」と頼もしい仲間の後任を喜んだ。

 

 ひまわり基金法律事務所は、日本弁護士連合会が1999年に立ち上げた基金をもとに全国各地に開設。これまでに117カ所設置され、釜石には06年11月、全国75番目の事務所として開所した。震災当時は浜町の市営ビル2階にあったが、津波で被災し中妻町に移転。現在は上中島町のビル3階に事務所を置く。

 

 岩手弁護士会の東海林利哉会長は「釜石は弁護士が2人しかおらず、過疎地域という状況に変わりはない。多田弁護士には、仙台での経験と若さを生かし、心のケアを含む今後の復興課題に取り組んでほしい」と期待する。

 

(復興釜石新聞 2017年6月21日発行 第598号より)

 

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