「魚のまち」再興へ〜釜石魚市場 新施設完成、新浜町と2場体制で

2017/05/24|カテゴリー:復興釜石新聞 産業・経済

供用が始まった釜石魚市場

供用が始まった釜石魚市場

 

 東日本大震災の津波で被災し、釜石市が新築復旧を進めてきた釜石魚市場の魚河岸地区荷さばき施設が完成し、16日、現地で供用開始式典が行われた。鳥獣の侵入を防ぎ、殺菌冷海水や排ガスの出ない運搬車を導入するなど衛生管理機能を高めた新市場の稼働により、魚市場機能が本格的に回復し、産地魚市場としての機能も強化。2013年4月に再開した新浜町地区の施設と併せて「魚のまち釜石」の復興加速に期待がかかる。

 

 魚河岸地区の施設は鉄骨造り2階建て、延べ床面積約6500平方メートル。建物幅約165メートル、奥行き約35メートルと旧市場と同規模で整備。鳥獣などが入らないようシャッターで囲われた閉鎖型の構造を採用した。排ガスが出ないバッテリー式フォークリフトや殺菌冷海水の供給設備を導入し、衛生管理を徹底。陸揚げから選別・計量、陳列・販売(入札)、出荷に至る区画を直線的に配して作業を効率化し、魚介類の鮮度を保つよう工夫した。

 

 整備事業費は約36億7500万円。水産庁の水産基盤整備事業費、復興特別交付税を活用し、市の負担は約5千万円。管理運営は釜石市漁業協同組合連合会が担う。

 

 釜石魚市場の年間水揚げ額は、最盛期の1980年代に100億円を超えていたが年々減少。魚のまちを復活させるため魚河岸地区と2場体制にしようと、震災前から新浜町地区に大型漁船の水揚げ拠点として荷さばき施設の整備を進めていた。完成間近だったが、震災の津波で両施設とも被災。比較的被害が少なかった市漁連が運営する第2魚市場を11年8月に再開、代替えとして活用しながら、新浜町地区の魚市場も再開させた。

 

式典には漁師らも祝いの大漁旗を掲げて新しい魚市場に駆け付けた

式典には漁師らも祝いの大漁旗を掲げて新しい魚市場に駆け付けた

 

 魚河岸魚市場は2015年2月に着工し、今年3月に完成した。これにより2場体制が復活。魚河岸地区は定置網を中心とした地元漁船、水深の深い新浜町地区ではサンマ船など大型船の水揚げに対応し、機能を分担する。

 

 震災前の旧市場の水揚げは30億円程度で推移していたが、震災のあった11年には14億円台まで落ち込んだ。その後も低調に推移し、昨年は約17億円と伸び悩んでいる。市は市場周辺に水産加工など4事業者を誘致し、水産業の復興を推進。海産物を食べたり買ったりできる、にぎわい創出施設の整備計画もあり、当面の目標は「年間水揚げ量2万トン、水揚げ額36億円」としている。

 

関係者がテープカットで祝う

関係者がテープカットで祝う

 

 式典には関係者ら約100人が出席し、テープカットして完成を祝った。野田武則市長が「2場体制で水産業の本格復興を図りたい」とあいさつ。市漁連の小川原泉会長は「震災から6年が経過する中、この日を迎えることができ、喜びに堪えない。生産者、連合会一丸となって水揚げ増加に取り組み、新鮮で安心安全な魚介類を消費者に届けていきたい」と力を込めた。

 

(復興釜石新聞 2017年5月20日発行 第589号より)

 

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