高台移転で集落再建、鵜住居「根浜復興団地」完成〜教訓つなぎ 新しいまちづくりへ、住民ら6年ぶりの帰還を喜び合う

2017/04/17|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

昨年7月に宅地が完成し、住宅の建築が進む高台の「根浜復興団地」

昨年7月に宅地が完成し、住宅の建築が進む高台の「根浜復興団地」

 

 東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受け、高台移転による集落再建を目指してきた釜石市鵜住居町根浜地区に海抜約20メートルの「根浜復興団地」が完成。9日、市による完成報告会と、地元町内会「根浜親交会」(前川昭七会長)が建立した津波記念碑の除幕式が団地内の公園で行われた。親交会は記念祝賀会も開催。住宅再建や復興住宅入居で根浜に戻り始めた住民らは、6年ぶりの帰還を喜び合い、震災の教訓をつなぐ新たなまちづくりと暮らしを支えるコミュニティー強化に意を強くした。

 

 同団地は防災集団移転促進事業と漁業集落防災機能強化事業により、市から委託された県土地開発公社が整備。戸田建設・青紀土木特定共同企業体が施工し、2014年4月に着工した。34万立方メートルの盛り土で海抜約20メートル(現地盤から約15メートル)の高さに2万7218平方メートルの土地を造成。宅地は自力再建31、戸建て復興住宅13(最終建設10戸)の計44区画を整備し、集会所や公園用地も確保した。震災前、根浜地区には67世帯が暮らしており、このうち56・7%に当たる38世帯が新しい団地への居住(自力再建28、復興住宅10)を決めている。

 

 同地区では最大18メートルの津波が襲ったが、「海の見えない生活は不安」だとして防潮堤は震災前と同じ高さ(5・6メートル)にし、高台造成地に集団移転することを希望した。住民主体の復興を成し遂げるべく、毎月1回のお茶会で各地の仮設住宅などで散り散りに暮らす住民らの結束力を維持。行政とも積極的に意見交換し、当初示された時期より1年半遅れとなったが、地元の要望が反映された団地が出来上がった。

 

 報告会で野田武則市長は「以前よりは安全性が確保されたが、安全安心の気持ちを忘れず、根浜のこれからの発展に力を入れていただきたい」とあいさつ。同除幕式の後、復興推進本部職員の案内で、出席者が団地内を見学した。

 

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鏡開きをして根浜の新たな出発に弾みをつける前川会長(中央)ら

 

 同団地に自宅を再建し夫婦で暮らす佐々木ひろ子さん(64)は昨年11月、甲子町の仮設住宅から新居に移った。「やっと根浜に戻ってこられた。景色は変わったが海の匂いがすると古里に帰って来た感じがする。当初は落ち着かなかったけど何とか自分の家になってきた」と実感を込め、「高齢者が多いので互いに声を掛け合い助け合って暮らしていきたい」と願う。

 

 先月、桜木町の仮設住宅から復興住宅に移ったばかりの佐々木朝子さん(75)は「この6年は長かった。地元での暮らしが待ち遠しかった」と振り返り、「一人暮らしなので交通の便など心配はあるが、元の根浜の人たちと暮らせるのはありがたい。前を向き、末永くみんなと元気に楽しい生活を送ることが一番の望み」と明日への一歩を踏み出した。

 

根浜復興団地の公園内で市の担当者の説明を聞く出席者

根浜復興団地の公園内で市の担当者の説明を聞く出席者

 

 同団地の隣接地に13年、夫婦で民宿を再建し、住民の帰還を待ち望んできた前川会長は「辺りに明かりがともり、気持ち的に楽になった。お客さんが帰って母ちゃんと2人きりになると、やっぱり寂しい感じだったんでね。子どもたちの声も聞こえるようになった」と喜び、「これから地域活動も始まる。昔以上にコミュニケーションがとれれば。顔なじみの人たちなので戻ってくれば、すぐ打ち解けられるだろう」と地域再生に思いを新たにした。

 

(復興釜石新聞 2017年4月12日発行 第579号より)

 

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