唐丹小中、新校舎 完成を前に公開〜高台から浜を一望、木造のぬくもり 住民に好評

2017/02/21|カテゴリー:復興釜石新聞 文化・教育

普通教室に隣接して配置されたワークスペース。明るい開放感と懐かしい木の香りが心地良い

普通教室に隣接して配置されたワークスペース。明るい開放感と懐かしい木の香りが心地良い

 

震災から6年 仮設からやっと本設へ

 

 東日本大震災で大きな被害を受けた唐丹小・中を併設して建設する新校舎がほぼ完成。仮設校舎からの引っ越しを前に11日、地域住民に公開された。震災から仮設校舎で授業を続け、6年を経て、やっと本設の校舎へ。高台から唐丹の町並み、唐丹湾を一望する木造の校舎は、震災で大きな痛手を負った地域の希望のランドマークとなる。新年度からの新校舎での授業に向け、今週末の18、19日に引っ越し作業が行われる。

 

 唐丹小中併設校は、現在合同仮設校舎が立つ唐丹中の敷地と西側斜面を切り崩して建設。約2万平方メートルの敷地に2階建ての木造校舎5棟を整備する。当初は鉄筋コンクリート造りを計画したが、全国的なコンクリート不足などを受けて木造に変更。仮設校舎を使用したまま国道45号側から順次新校舎を建設。今年4月に部分開校した後、児童館が入る棟1、プール、グラウンドを整備し、来年3月までの工事完了を目指す。設計見直しにより事業費は約60億円から45億円に縮小した。

 

 新校舎は高低差約25メートルの敷地に建物を分棟、1階分ずつ高さをずらしながら市松状に配置。棟間の外部を利用した経路は、地域の避難ネットワークを強化する。また、天井や柱には木造のぬくもりが感じられ、普通教室に隣接し、廊下のようなワークスペースを配置。他学年や小中の交流の場とする。

 

高低差25メートルの敷地に建物を分棟、市松状に配置された唐丹小中の新校舎

高低差25メートルの敷地に建物を分棟、市松状に配置された唐丹小中の新校舎

 

 新校舎の公開には地域住民約180人が訪れ、「予想した以上に立派」「木の香りが懐かしい」と喜びの声を上げた。

 

 ラグビー釜石シーウェイブスの元選手で震災前から唐丹に住む津田康太さん(38)は「広くて迷子になりそう。木造の校舎から海も見えて素晴らしい」と高評価。長女の紗良さん(唐丹小1年)は「エレベーターもあるよ」と声を弾ませた。

 

「立派だね、良かったね」と地域の住民から声をかけられる唐丹中生中

「立派だね、良かったね」と地域の住民から声をかけられる唐丹中生中

 

 友達と2人で訪れた大坂凛さん(同4年)は「ずっと工事を見ていて、やっと中に入れた。早くここで勉強したい。新しい体育館で空手の練習もしたい」と思いを広げた。

 

 唐丹中同窓会の会長で地元漁協組合長も務めた上村勝利さん(73)は「少ない数の児童生徒には、もったいないぐらいの校舎。これを機に、唐丹に人が戻ってきてくれれば」と願う。

 

学校が入る棟4の外観。棟と棟は渡り廊下でつながれる

学校が入る棟4の外観。棟と棟は渡り廊下でつながれる

 

 校舎の前でたばこ店を営む千葉陽一さん(82)は妻妙子さん(76)と連れ立って訪れ、「もう一度、学校に入り直したい」と興奮。店舗を兼ねた自宅1階が津波で壊れ、母親も亡くしたが、地域の希望の光に感慨を深くした。

 

 震災後に立ち上げた「本郷シニアの会」で活動する山崎静子さん(74)は「幸せだよ、今の子どもたちは」と言いつつも、「学校がなくなれば唐丹もへき地になってしまう。ありがたいね」と感謝。

 

 いずれも唐丹小、中卒業生の尾形節子さん(77)、砂野桂子さん(77)は「私たちもこの場所で学んだが、昔の校舎とは全然違う。開放感があって、とてもいい」と、子どもたちをうらやんだ。

 

(復興釜石新聞 2017年2月15日発行 第563号より)

 

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