「津波だ、逃げろ」教訓胸に、高台へ〜仙寿院で新春韋駄天競争、過去最多137人駆け上がる

2017/02/13|カテゴリー:復興釜石新聞 地域

親子が仲良く手をつなぎ、高台を目指して駆け出す=韋駄天競走親子部門のスタート

親子が仲良く手をつなぎ、高台を目指して駆け出す=韋駄天競走親子部門のスタート

 

 「津波だ、逃げろ――」。津波から命を守る高台避難の大切さを伝える「新春韋駄天(いだてん)競走」が5日、釜石市大只越町の日蓮宗仙寿院(芝崎恵応住職)で行われた。全国に知られる兵庫県西宮神社の開門神事「福男選び」をヒントに節分行事として行われるようになって4回目の今回は、これまで最多の137人が県内外から参加。震災時に1千人余りが避難した高台を目指し、標高差約30メートルの急坂を懸命に駆け上がった。

 

 親に抱かれた2歳の子どもから最年長は64歳の女性まで、年齢、性別など6部門に分かれ、高台まで286メートルを必死に走った。ゴールの仙寿院では、震災の犠牲者と行方不明者に黙とうをささげた。

 

「福女」を目指し、急坂を懸命に駆け上がる女性たち

「福女」を目指し、急坂を懸命に駆け上がる女性たち

 

 ”強者”がそろう男性29歳以下の部には、西宮神社の今年の開門神事で福男になった川崎市の大学生、鈴木隆司さん(21)も参加したが、あえなく4着。「最後の坂は西宮神社よりきつかった」と息を切らせた。

 

 仙寿院の福男に選ばれたのは盛岡市の熊谷真倫さん(20)。岩手大陸上部で活動しているが、西宮神社の福男に競り勝ったと聞き、びっくり。「将来は教師になり、津波から逃げ遅れないよう教えたい」と目標を話した。

 

 親子部門のトップでゴールインした佐藤純平さん(36)は大槌消防署に勤務。息子の謙眞君(9)=小佐野小3年=の手を引き、「去年は2位だったので、うれしい。大きな地震にはまず逃げるという教訓を伝えたい」と消防士としての思いを話した。

 

各部門で「福男」「福女」に選ばれた参加者

高台のゴールで、拍手で参加者を迎える家族や知人ら

 

 釜石警察署からも非番の署員10人が参加。野球部主将の鎌田英寿さん(30)は「避難意識が薄れてきていると思う。避難行動の啓発につながれば」と願いを込めた。

 

 関東在住の釜石出身者で活動し、韋駄天競走を発案した「釜石応援団あらまぎハート」副代表の及川健智さん(41)=東京都江東区=は長男到真君(8)、次男達真君(3)と共に参加。「坂道の苦しさを親子で実感できてよかった」と笑顔を見せた。

 

各部門で「福男」「福女」に選ばれた参加者

各部門で「福男」「福女」に選ばれた参加者

 

 西宮神社の「福男選び」を運営する開門神事講社の平尾亮講長(40)は今年も駆け付け、地元の中学生や参拝客らが書いた応援メッセージを添え、祭神「えべっさん」のイラストが入った手袋を参加者に配布。「開門神事の願いが遠い釜石で生かされ、学ぶことも多い。阪神大震災の被災地にも命を守るための情熱を伝えたい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2017年2月8日発行 第561号より)

 

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