さお振って大漁祈願〜尾崎白浜で「するめっこ釣り」

2017/01/23|カテゴリー:復興釜石新聞 文化・教育

顔に墨を浴び、イカの鳴き声を発して繁栄と健康のお告げを伝える子ども

顔に墨を浴び、イカの鳴き声を発して繁栄と健康のお告げを伝える子ども

 

 漁師にふんした子どもたちが家々を回って大漁を祈願する浜の小正月行事、「するめっこ釣り」が15日、釜石市の尾崎白浜地区で行われた。幼児から小学生までの男児16人が地区(92世帯)内の20軒ほどを訪ね、イカの疑似餌を付けた釣りざおを振りながら「キュッ、キュッ」とイカの鳴く声をまねし、大漁や家内安全を祈った。

 

 この伝統行事は、子どもがイカ釣り船の漁師、家主が船主という想定で、イカを釣った漁師に船主が手当てをやる様子を演じる。地域の宝、子どもの成長ぶりを住民が確かめ、喜び合う意味が込められている。

 

 ねじり鉢巻きをした子どもらが釣りざおを持ち、尾崎本宮神社を出発。気温3度以下の寒気を突き、来訪を待つ家々を巡った。子どもの世話役は地区PTAの父親らが務めた。

 

 子どもは、大漁旗を掲げた家々の玄関や神棚を飾った床の間で釣りの動作を繰り返す。家主が成果を問うと、「満船(まんせん=大漁)」と応じ、家主は手当てを弾む。子どもたちの顔はイカの墨にまみれ、「大漁」と書かれた文字が増えていく。

 

 4回目のするめっこ釣りという佐々木隆正君(8)=平田小2年=は「面白い。やり方の順序は覚えたけど、するめの鳴き声がうまくできない。家に帰ると必ず鏡を見る。本当は、(筆で)書かれるのは気持ち悪い」と少々渋い顔。

 

 まだ4歳の久保海翔(かいと)君=平田幼稚園=には高校生以上の姉3人がいるものの、漁業の父秀孝さん(44)にとっては一家の「するめっこ釣りデビュー」となった。「いっぱい食べて、早くお父さんのように大きくなりたい」と、秀孝さんが箸で運ぶおでんにかぶりついた。

 

 長年にわたり世話役を引き受けてきた漁業箱石忠男さん(61)は「息子2人が男孫3人と一緒に回っているので留守番。小正月に、家でゆっくり飲めるのは久しぶりだ。震災もあって地域の行事は少ない。するめっこ釣りはみんなを楽しませる。続けてほしい」と願った。

 

(復興釜石新聞 2017年1月18日発行 第555号より)

 

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