釜石混声合唱団、震災後初6年ぶりに定演〜渡辺さん(没後20年)の教えかみしめ


2016/12/20
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

6年ぶりに定期演奏会を開いた釜石混声合唱団

6年ぶりに定期演奏会を開いた釜石混声合唱団

 

 「めぐりあいこんさあと」と題した釜石混声合唱団(菊池征毅団長)の定期演奏会は11月23日、釜石市大町の日本キリスト教団新生釜石教会で開かれた。東日本大震災後初の定演で、2010年に開いて以来6年ぶり。同団の元指揮者で団員が人生の師と仰ぐ渡辺顕麿さん(宝樹寺前住職、1931~96)の没後20周年にも当たり、合唱活動を通して多くの教えを受けたメンバーらは師の思いをあらためてかみしめていた。

 

 指揮者の小浜和子さんを含め15人が出演。4部構成で、鈴木憲夫作曲の「三つの聖母マリア賛歌」などに続き、東日本大震災復興祈念作品として作られた「永遠の花」などを演奏。最後のステージでは、渡辺さんと親交があった高田三郎作曲の合唱組曲「水のいのち」「心の四季」の中から5曲を抜粋して締めくくった。

 

 1960年代から活動を始めた同団は77年、東京荒川少年少女合唱隊の指揮者として全国に知られた渡辺さんの帰郷を機に再発足。高田三郎、清水脩、間宮芳生、石井歓、武満徹など名だたる作曲家の作品に次々と挑み、釜石の合唱活動をけん引してきた。

 

 しかし、転勤などで釜石を離れるメンバーが相次ぎ、20年以上前から毎月盛岡でも練習を行うなど、県内各地に散らばったメンバーが心をつなぎながら活動を維持してきた。

 

 定演を通して重ねた「めぐりあい」は33回目。今回は新たに外国人のメンバーが加わり、同団が長い時間をかけて醸成してきた濃密なハーモニーに新鮮な響きを加えた。

 

 アメリカ・オレゴン州出身で、今年4月から気仙地域の小中学校でALT(外国語指導助手)を務めるダニエル・クルーズさん(27)。日本語の歌詞もしっかりと理解し、全ステージの曲を歌いあげた。

 

 「すばらしいコーラスに加わることができ、とてもうれしい」とクルーズさん。環境の変化やメンバーの高齢化などで「今回の定演が最後になるかも」と覚悟していた菊池団長は、青い目の新しい力に後押しされ、「また、やれるかも」と思い直した。

 

(復興釜石新聞 2016年12月14日発行 第546号より)

 

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